この記事の要点
- 第4章は、スマートフォンやパソコンがインターネットにつながる仕組みを扱う章です。IPアドレス、ISP、メールのプロトコル、クラウドといった、第3章の無線の話より「上の層」の基礎を学びます。
- 数字で問われやすいのは、IPv4は32ビット、IPv6は128ビット(RFC 791、RFC 8200)と、メールのSMTP(送信)・POP3(110番)・IMAP(143番)などのポート番号です。
- メールの受信は、端末に取り込むPOP3と、サーバに置いたまま複数の端末で同じ状態を見るIMAPの違いが定番です。
- テキスト(2024年6月末時点の情報)の後、メールのなりすまし対策DMARCが2026年5月にRFC 9989として標準化されました。第4章の基本(アドレスの長さ、プロトコルの役割)は変わっていません(2026年9月27日確認)。
この記事の内容13項目
- 01この章で押さえることは?「住所」「取次ぎ」「郵便」「雲」の4点
- 02節ごとの要点は?7つの節を表で整理
- 03IPアドレスとISPは?32ビットと128ビット、そしてNAT
- 04メールのプロトコルは?送るSMTP、受け取るPOP3とIMAP
- 05クラウドの区分は?SaaS・PaaS・IaaSを「誰が何を管理するか」で
- 06間違えやすい所は?数字と「送る・受ける」の向き
- 07スマホ実務検定での扱いは?第4章は全節が範囲(重みは非公表)
- 08テキストの後に変わった点は?(一次資料で確認)
- 09確認問題1:IPv6アドレスの長さは?
- 10確認問題2:複数の端末で同じメールを見たいときは?
- 11確認問題3:完成したアプリをそのまま使う形態は?
- 12確認問題(当サイトのオリジナル)のあとは?共通ドリルで仕上げる
- 13よくある質問
この章で押さえることは?「住所」「取次ぎ」「郵便」「雲」の4点
第4章の見出しは「インターネットの基礎と接続」で、7つの節があります。当サイトでは、IPアドレス=住所、ISP=インターネットへの取次ぎ役、メールのプロトコル=郵便の送り方と受け取り方、クラウド=ネットの向こうにある計算機を借りる形、という4つのたとえで整理することをすすめます。
対応テキストは『モバイル基礎テキスト 第9版』(リックテレコム、2024年9月、224頁、2,420円、ISBN 978-4-86594-417-4)で、両検定に共通です(2026年9月27日確認)。この記事は節の見出しだけを参照し、説明は当サイトがRFCなどの一次資料をもとに独自に書いています。
節ごとの要点は?7つの節を表で整理
| 節 | 要点(当サイトの整理) |
|---|---|
| 4-1 インターネットの概要 | 世界中のネットワークをTCP/IPで相互につないだもの。DNSで名前をIPアドレスに変換する |
| 4-2 IPアドレス | IPv4は32ビット、IPv6は128ビット。プライベートアドレスとNATでIPv4の不足をしのぐ |
| 4-3 ISPの役割 | 利用者をインターネットにつなぎ、IPアドレスの割当て、メール、DNSなどを提供する |
| 4-4 ISPのユーザアカウントの構成 | ユーザID(アカウント名)とパスワード、メールアドレスのしくみ。ID・パスワードの管理 |
| 4-5 Eメールのプロトコル | 送信はSMTP、受信はPOP3かIMAP。暗号化した接続を使う |
| 4-6 パソコンを用いた通信の方法 | 固定回線やWi-Fi、スマホのテザリングなど、パソコンをネットにつなぐ方法 |
| 4-7 クラウドコンピューティング | SaaS・PaaS・IaaSの3区分と、パブリック・プライベートなどの配置モデル |
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IPアドレスとISPは?32ビットと128ビット、そしてNAT
IPv4のアドレスは32ビットで、8ビットずつ4つに区切って10進数で書きます(RFC 791)。IPv6のアドレスは128ビットで、16ビットずつ8つに区切って16進数で書きます(RFC 8200ほか)。IPv4で表せる数は約43億通りしかなく、アジア太平洋地域では、APNICとJPNICの通常の割り振りが2011年4月15日に終わりました(JPNIC、2026年9月27日確認)。
IPv4の不足をしのぐ仕組みが、家庭や社内で自由に使えるプライベートアドレスと、それをインターネット用のグローバルアドレスに変換するNATです。家庭のルータは、DHCPで端末にプライベートアドレスを配り、NATでまとめて外へつなぎます。詳しくはIPv4とIPv6の違い、名前の変換はDNSとはへ。
ISP(インターネットサービスプロバイダ)は、利用者をインターネットにつなぐ事業者です。接続の提供に加えて、IPアドレスの割当て、メールアドレスとメールサーバ、DNSなどを提供します。スマートフォンでは、携帯電話事業者が接続の役割を担っています。
メールのプロトコルは?送るSMTP、受け取るPOP3とIMAP
メールは、送るときと受け取るときで別のプロトコルを使います。ポート番号は各RFCで確認できます(2026年9月27日確認)。
| プロトコル | 役割 | 主なポート | ポイント |
|---|---|---|---|
| SMTP | メールを送る(サーバ間の配送) | 25 | RFC 5321。サーバどうしの配送に使う |
| SMTP(メール投稿) | 端末からメールサーバへ送る | 587(STARTTLS)、465(最初からTLS) | RFC 6409、RFC 8314。利用者の認証を行う |
| POP3 | メールを受け取る(端末に取り込む) | 110、995(TLS) | RFC 1939。取り込んだら端末側で管理する |
| IMAP | メールを受け取る(サーバに置いたまま見る) | 143、993(TLS) | RFC 9051(IMAP4rev2)。複数の端末で同じ状態を見られる |
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RFC 8314(2018年1月)は、メールの投稿と受信に暗号化(TLS)を使うことを求め、最初からTLSで接続するポート(投稿465、IMAP 993、POP3 995)を推奨しています。スマートフォンとパソコンで同じメールボックスを見たいならIMAP、1台の端末に取り込んで管理するならPOP3、という使い分けが基本です。
受け取ったメールが本当にそのドメインから送られたかを確かめる送信ドメイン認証(SPF・DKIM・DMARC)は、第8章のセキュリティにもつながる話題です。詳しくはDMARCとはへ。
クラウドの区分は?SaaS・PaaS・IaaSを「誰が何を管理するか」で
クラウドの定義として広く使われるのが、米国NISTの SP 800-145(2011年9月)です。5つの基本的な特徴、3つのサービスモデル(SaaS・PaaS・IaaS)、4つの配置モデル(パブリック・プライベート・コミュニティ・ハイブリッド)で整理しています(2026年9月27日確認)。
| 区分 | 事業者が用意するもの | 利用者の例 |
|---|---|---|
| SaaS | アプリケーションまで完成したもの | Webメール、オンラインのストレージ、表計算などをそのまま使う |
| PaaS | アプリを動かす実行環境(OS・ミドルウェアなど) | 自社のアプリを作って載せる |
| IaaS | サーバ・ストレージ・ネットワークなどの基盤 | 仮想サーバを借り、OSから自分で管理する |
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スマートフォンの写真や連絡先をネット上に自動で保存するサービスは、利用者から見るとSaaSの一例です。サービスモデル(何を借りるか)と配置モデル(誰と共有するか)は別の軸なので、選択肢で混ぜられても見分けられるようにしておきましょう。
間違えやすい所は?数字と「送る・受ける」の向き
| 誤解 | 正しい整理 |
|---|---|
| IPv6は64ビット | IPv6は128ビット。64ビットはアドレスの後半(インタフェース識別子)によく使われる長さ |
| IPv4は4組の数字なので4ビット×4 | 1組が8ビット(0〜255)で、合計32ビット |
| メールの受信にSMTPを使う | SMTPは送信・配送。受信はPOP3かIMAP |
| IMAPを使うとメールは端末に移動し、サーバから消える | IMAPはサーバに置いたまま扱う。端末に取り込む使い方が基本なのはPOP3 |
| SaaSでは利用者がOSを管理する | SaaSではOSもアプリも事業者が管理する。OSから管理するのはIaaS |
| プライベートアドレスでそのままインターネットと通信できる | ルータなどのNATでグローバルアドレスに変換して通信する |
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スマホ実務検定での扱いは?第4章は全節が範囲(重みは非公表)
テキストの「出題範囲一覧」の表では、モバイル技術基礎検定は全章全節が範囲です。スマートフォン・モバイル実務検定は第3章の3-2〜3-6(電波の性質、FDMA/TDMA、CDMA/OFDM、3G、4G)が範囲外で、第4章を含むそのほかは範囲に入り、テキスト外の時事問題が全体の1割前後出ます(当サイトがテキスト実物で確認)。MCPCの公式ページでも、両検定の出題範囲に「インターネット」が挙がっています(2026年9月27日確認)。
第4章は両検定とも全節が範囲です。章ごとの出題数は、どちらの検定も公式に公表されていません。当サイトでは、ポート番号やアドレスの長さのような数字の暗記は技術基礎検定で、アカウントの管理やメールの設定のような利用者の目線の内容はスマホ実務検定でも問われやすいと考えています(当サイトの推定)。
テキストの後に変わった点は?(一次資料で確認)
テキストは2024年6月末時点の情報で書かれています。第4章の基本(IPアドレスの長さ、メールのプロトコルとポート、クラウドの3区分)は、その後も変わっていません。関連する動きとして、次のものを一次資料で確認しました(2026年9月27日確認)。
- DMARCの標準化:送信ドメイン認証のDMARCは、これまで RFC 7489(2015年3月、Informational)でしたが、2026年5月に標準化過程の RFC 9989 が発行され、RFC 7489 は置き換えられました。
- IMAPの現行版:IMAPの現行の仕様は RFC 9051(IMAP4rev2、2021年)で、以前の RFC 3501(IMAP4rev1)を置き換えています。テキストの時点より前からの変化ですが、「IMAP4」という表記を見たら、版の違いがあることを知っておくと安心です。
HTTPの新しい版(HTTP/3など)はHTTP/2とHTTP/3、TCPとUDPの違いはTCPとUDPで扱っています。
確認問題1:IPv6アドレスの長さは?
IPv6アドレスの長さとして、正しいものはどれか。
- 32ビット
- 128ビット
- 64ビット
- 48ビット
正解:2。IPv6のアドレスは128ビットで、16ビットずつ8つに区切って16進数で書きます。
1 の32ビットはIPv4のアドレスの長さです。3 の64ビットは、IPv6アドレスの後半(インタフェース識別子)によく使われる長さで、アドレス全体の長さではありません。4 の48ビットは、LANの機器を識別するMACアドレスの長さです。
確認問題2:複数の端末で同じメールを見たいときは?
スマートフォンとパソコンの両方から、同じメールボックスを同じ既読・未読の状態で見たい。受信に使うプロトコルとして、最も適切なものはどれか。
- IMAP
- SMTP
- POP3
- DNS
正解:1。IMAPはメールをサーバに置いたまま操作するプロトコルなので、複数の端末から同じ状態で見られます。
2 のSMTPはメールを送る・配送するためのプロトコルで、受信には使いません。3 のPOP3は、メールを端末に取り込んで管理するのが基本で、複数の端末で状態を共有するのには向きません。4 のDNSは、ドメイン名とIPアドレスを対応させる仕組みで、メールの受信方式ではありません。
確認問題3:完成したアプリをそのまま使う形態は?
クラウドサービスのうち、事業者が完成したアプリケーションを提供し、利用者はWebブラウザなどからそのまま使う形態はどれか。
- IaaS
- PaaS
- オンプレミス
- SaaS
正解:4。SaaSは、アプリケーションまで完成したものを事業者が提供し、利用者はそれをそのまま使う形態です。
1 のIaaSは、サーバやストレージなどの基盤を借り、OSから利用者が管理する形態です。2 のPaaSは、アプリを動かす実行環境を借り、アプリは利用者が作る形態です。3 のオンプレミスは、自社で設備を持って運用する形で、クラウドのサービスではありません。
確認問題(当サイトのオリジナル)のあとは?共通ドリルで仕上げる
第4章は、数字(ビット数・ポート番号)と、向き(送信か受信か、誰が管理するか)で点が分かれます。迷った問題はその2点で見直してください。
本番と同じ形式で確かめたい方は、モバイル技術基礎検定の無料お試しまたはスマートフォン・モバイル実務検定の無料お試しを使ってください。前の章は第3章 通信・通話の仕組み、次は第5章 モバイル機器の構造です。
当サイトはMCPC(モバイルコンピューティング推進コンソーシアム)とは関係のない、非公式の個人運営の教材です。合格を保証するものではありません。公式テキストの本文・図表・巻末サンプル問題は使っていません。
よくある質問
ポート番号はすべて覚える必要がありますか?
当サイトでは、SMTP(25、投稿は587)、POP3(110)、IMAP(143)と、HTTP(80)・HTTPS(443)程度を押さえることをすすめます。試験で何が問われるかは公表されていないため、あくまで当サイトの目安です。
キャリアメールもPOP3やIMAPで受け取るのですか?
事業者のメールサービスは、専用のアプリやWebで使う形が多く、設定によってはIMAPなどで受け取れるものもあります。仕様は事業者ごとに違うため、各社の案内を確認してください。
スマホ実務検定でも第4章は出ますか?
テキストの出題範囲一覧では、スマホ実務検定で範囲外なのは第3章の3-2〜3-6だけで、第4章は全節が範囲に入ります。章ごとの出題数は公表されていません。
出典・参考
- [1]リックテレコム『モバイル基礎テキスト 第9版』(2026年9月27日確認)
- [2]MCPC モバイル技術基礎検定(2026年9月27日確認)
- [3]MCPC スマートフォン・モバイル実務検定(2026年9月27日確認)
- [4]RFC 791 Internet Protocol(2026年9月27日確認)
- [5]RFC 8200 IPv6 Specification(2026年9月27日確認)
- [6]RFC 4291 IP Version 6 Addressing Architecture(2026年9月27日確認)
- [7]RFC 9110 HTTP Semantics(既定のポート80・443、2026年9月27日確認)
- [8]JPNIC IPv4アドレスの在庫枯渇に関して(2026年9月27日確認)
- [9]RFC 5321 Simple Mail Transfer Protocol(2026年9月27日確認)
- [10]RFC 6409 Message Submission for Mail(2026年9月27日確認)
- [11]RFC 8314 Cleartext Considered Obsolete: Use of TLS for Email Submission and Access(2026年9月27日確認)
- [12]RFC 1939 Post Office Protocol - Version 3(2026年9月27日確認)
- [13]RFC 9051 IMAP4rev2(2026年9月27日確認)
- [14]NIST SP 800-145 The NIST Definition of Cloud Computing(2026年9月27日確認)
- [15]RFC 9989 DMARC(2026年5月、2026年9月27日確認)
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