この記事の要点
- SPF は送信元のサーバが、DKIM はメールの署名が、そのドメインのものとして正しいかを確かめ、DMARC は両者の結果を「差出人(From)のドメイン」と突き合わせて扱いを決める仕組みです。
- DMARC の中心は、From のドメインと、SPF・DKIM で認証されたドメインが一致すること(アライメント)を求める点です。
- 認証に失敗したメールの扱いは、ドメインの持ち主が p=none(指定なし)・quarantine(隔離)・reject(拒否)で宣言します。
- DMARC は RFC 7489(2015年3月)で公開され、2026年5月に標準化の区分の RFC 9989 に置き換えられました(2026年9月時点)。モバイルシステム技術テキスト第11版の改版の要点にも挙がっています。
DMARC・SPF・DKIMは、ひと言でいうと何か?
三つとも、メールの送信元のドメインがなりすまされていないかを、受信側が確かめるための仕組み(送信ドメイン認証)です。どれもドメインの持ち主が DNS に情報を公開し、受信側のメールサーバがそれを参照して判定します。
MCPC の公式テキストのページでは、『モバイルシステム技術テキスト 第11版』(2026年2月発刊、第42回から適用)の改版の要点として、なりすまし防止のための送信ドメイン認証 DMARC の記述が加わったことが示されています(2026年9月27日確認)。
3つは、それぞれ何を確かめるのか?
違いは「何を材料に、どのドメインを確かめるか」です。次の表で、見る場所と弱点をセットで押さえてください。
| 観点 | SPF | DKIM | DMARC |
|---|---|---|---|
| 規格 | RFC 7208(2014年4月) | RFC 6376(2011年9月) | RFC 7489(2015年3月)→ RFC 9989(2026年5月) |
| 確かめること | 送信したサーバの IP アドレスが、そのドメインで許可されたものか | メールに付いた電子署名が正しく、途中で書き換えられていないか | From のドメインと、SPF・DKIM で認証されたドメインが一致するか |
| DNS に公開するもの | 送信を許可するサーバの一覧 | 署名を検証するための公開鍵 | ポリシー(失敗時の扱い)と報告の送り先 |
| 対象のドメイン | エンベロープの送信者(MAIL FROM)など | 署名に書かれたドメイン(d=) | 利用者が目にする From のドメイン |
| 弱点 | 転送されると送信元の IP が変わり失敗しやすい | 途中で本文やヘッダが変わると失敗する | SPF・DKIM がないと働かない |
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SPF と DKIM だけでは、「認証されたドメイン」と「利用者が見る From のドメイン」が別でも合格になってしまいます。攻撃者が自分の持つドメインで SPF を通し、From には実在の企業のドメインを書く、というなりすましを防げません。この穴を埋めるのが DMARC です。
DKIM の署名は公開鍵暗号の仕組みを使います。署名と検証の鍵の向きは共通鍵暗号と公開鍵暗号の違い、DNS の問い合わせの流れはDNSの仕組みとはで確認できます。
アライメントとポリシーは、何を意味するのか?
RFC 7489 は、アライメントを「From のアドレスのドメインが、SPF または DKIM(あるいは両方)で認証されたドメインと一致すること」と説明しています。SPF と DKIM のどちらか一方でも、認証に成功し、かつアライメントが取れていれば DMARC は合格です。
一致の判定には二つのモードがあり、DKIM は adkim、SPF は aspf というタグで指定します。relaxed(r、初期値)は組織のドメインが同じなら一致、strict(s)はドメイン名が完全に同じ場合だけ一致とみなします。
| 認証されたドメイン | relaxed(r) | strict(s) |
|---|---|---|
| example.jp | 一致 | 一致 |
| mail.example.jp(サブドメイン) | 一致(組織のドメインが同じ) | 不一致 |
| example-mail.com(別の組織) | 不一致 | 不一致 |
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ポリシーは、DNS の「_dmarc.ドメイン名」に TXT レコードとして公開します。p=none は特別な処理を求めず結果の報告だけを受け取る段階、p=quarantine は疑わしいメールとして迷惑メールフォルダなどに隔離するよう求める段階、p=reject は受信を拒否するよう求める段階です。一般には none で報告を見て、正規のメールが失敗していないことを確かめてから段階的に強めます。
2026年5月に公開された RFC 9989 は、RFC 7489 を置き換え、DMARC を標準化の区分(Standards Track)に位置付けました。p の3つの値とアライメントの考え方は引き継がれ、適用する割合を指定する pct タグが削除され、存在しないサブドメインに対するポリシーを示す np タグと、試験運用中であることを示す t タグが加わっています(2026年9月時点)。
モバイル2級ではどの範囲で、どう問われそうか?
MCPC の公式ページでは、モバイルシステム技術検定2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリに「情報セキュリティ管理」があり、比率は9%と示されています(2026年9月27日確認)。当サイトでは、公式テキスト第11版の第11章「情報セキュリティ」がこの範囲に当たると推定しています(章名からの当サイトの判断で、公式の発表ではありません)。
4択では、次のような観点が考えられます。出題頻度は公表されていないので、特定の型が多いとは言えません。
- 仕組みの対応:説明文が SPF・DKIM・DMARC のどれに当たるかを選ばせる。
- ポリシーの意味:none・quarantine・reject のそれぞれの扱いを問う。
- アライメント:From のドメインとの一致が必要であることを問う。
- 公開場所:これらの情報が DNS に公開されることを問う。
試験全体の形式・日程・受検料はモバイルシステム技術検定2級とはにまとめています。
どこで取り違えやすいのか?
略語が並ぶため、「何を見るか」を入れ替えた選択肢に注意します。
| 取り違え | 正しい考え方 | 確認する問い |
|---|---|---|
| SPF はメールに署名する | 署名は DKIM。SPF は送信サーバの IP を確かめる | 材料は IP か、署名か |
| DMARC はメールを暗号化する | DMARC は認証結果の扱いを決める仕組みで、暗号化はしない | 中身を隠す機能か |
| SPF と DKIM の両方の合格が必要 | どちらか一方が合格し、アライメントが取れればよい | 条件は「かつ」か「または」か |
| p=none で隔離される | none は処理を求めず報告を受けるだけ。隔離は quarantine | 受信側に何を求めているか |
| 設定はメールサーバの中だけで完結 | ポリシーや公開鍵は DNS に公開する | 受信側はどこを参照するか |
| DMARC があればフィッシングはなくなる | 防げるのは自社ドメインをそのまま使うなりすまし。似たドメインは防げない | From は本物のドメインか、似たドメインか |
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似たドメインや SMS を使った誘導への備えは、マルウェアとフィッシングの手口で整理しています。
確認問題1:説明に当てはまる仕組みを選べるか?
メールを送信したサーバの IP アドレスが、そのドメインの持ち主が DNS で公開した「送信を許可するサーバ」に含まれるかを確かめる仕組みとして、最も適切なものはどれか。
- DKIM
- SPF
- DMARC
- S/MIME
正解:2。送信元の IP アドレスを、DNS に公開された許可の一覧と照らし合わせるのは SPF です。
1はメールに付けた電子署名を、DNS に公開した公開鍵で検証する仕組みです。3は SPF・DKIM の結果と From のドメインの一致を確かめ、失敗時の扱いを宣言する仕組みです。4はメール本文の暗号化や署名を利用者の証明書で行う方式で、送信サーバの IP は確かめません。
確認問題2:ポリシーの意味を選べるか?
DMARC のポリシーで p=reject を指定したときの意味として、最も適切なものはどれか。
- 認証に失敗したメールは受け取りを拒否するよう、受信側に求める
- 認証に失敗したメールは迷惑メールなどに隔離するよう、受信側に求める
- 特別な処理は求めず、認証の結果の報告だけを受け取れるようにする
- 認証に成功したメールだけを暗号化して配送するよう、受信側に求める
正解:1。reject は、DMARC の判定に失敗したメールを拒否するよう受信側に求める、最も強いポリシーです。
2は quarantine の説明です。3は none の説明で、導入の最初の段階でよく使われます。4は DMARC にない機能で、DMARC はメールを暗号化しません。
確認問題3:アライメントと公開場所を判断できるか?
次の記述ア・イの正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
ア:DMARC では、SPF か DKIM のどちらかで認証に成功し、そのドメインが From のドメインと一致すれば合格となる。
イ:DMARC のポリシーは送信側のメールサーバの設定ファイルだけに書き、DNS には何も公開しない。
- ア:正 イ:正
- ア:正 イ:誤
- ア:誤 イ:正
- ア:誤 イ:誤
正解:2。アはアライメントの考え方として正しい記述です。イは誤りで、ポリシーは「_dmarc.ドメイン名」の TXT レコードとして DNS に公開し、受信側がそれを参照します。
1と3はイを正しいとしている点、4はアまで誤りとしている点で当てはまりません。
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よくある質問
RFC 7489 と RFC 9989 のどちらで覚えればよいですか?
仕組みの中心(アライメントと none・quarantine・reject のポリシー)はどちらも同じです。第11版のテキストは2026年2月発刊で RFC 9989 の公開より前のため、まず共通する考え方を押さえ、タグの追加・削除のような細部は補足として知っておくのが確実です。
DMARC を設定すれば、なりすましメールは届かなくなりますか?
防げるのは、自社のドメインを From にそのまま使うなりすましで、しかも受信側が DMARC を確認し、ポリシーが quarantine や reject になっている場合です。よく似た別のドメインを使うメールは、DMARC では防げません。
メールを転送すると DMARC に失敗するのはなぜですか?
転送すると送信元のサーバが変わるため、SPF が失敗しやすくなります。本文やヘッダが変わらなければ DKIM の署名は検証できるので、DKIM のアライメントで合格できることがあります。
出典・参考
- [1]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと比率、確認 2026-09-27)
- [2]MCPC 公式テキスト(第11版の改版の要点、確認 2026-09-27)
- [3]RFC 7489 Domain-based Message Authentication, Reporting, and Conformance (DMARC)(確認 2026-09-27)
- [4]RFC 9989 Domain-Based Message Authentication, Reporting, and Conformance (DMARC)(2026年5月、確認 2026-09-27)
- [5]RFC 7208 Sender Policy Framework (SPF)(確認 2026-09-27)
- [6]RFC 6376 DomainKeys Identified Mail (DKIM) Signatures(確認 2026-09-27)
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