この記事の要点
- NSA(Non-Standalone)は、5Gの無線(NR)を LTE と組み合わせ、コアは4Gの EPC を使う構成です。SA(Standalone)は、NR を5G用のコア(5GC)に直接つなぐ構成です(3GPP、2026年9月27日確認)。
- NSA では、接続の制御を LTE 側が担い、NR は主にデータを運ぶ役に回ります。LTE の設備を生かして早く5Gを始められる一方、5GC の機能は使えません。
- 5GC は機能をサービスとして組み合わせる SBA(Service-Based Architecture) を採り、ネットワークスライシングなど5Gらしい機能の土台になります。
- モバイル2級の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(公式の比率は15%)に当たる範囲です。
5G の SA と NSA は、何が違うのか?
一言でいうと、違いは「どのコアネットワークにつなぎ、誰が接続を制御するか」です。どちらの構成でも、端末は5Gの無線方式である NR の電波を使います。
3GPP の5Gシステムの解説は、NSA を「5Gの無線アクセス網(NR)を既存の LTE と EPC と組み合わせて使う構成」、SA を「NR を5Gのコアに直接つなぎ、5Gの第1段階のサービスをすべて使える構成」と説明しています(2026年9月27日確認)。
つまり、NSA は「無線だけ5G、土台は4G」、SA は「無線もコアも5G」と覚えると、選択肢の正誤を判断しやすくなります。
無線とコアの組み合わせを表にすると、どうなるか?
4G・NSA・SA を、無線・コア・制御の担い手で並べます。3GPP では多くの組み合わせ(オプション)が検討され、LTE の基地局を5GC につなぐ形(オプション7など)もありますが、3GPP の解説が NSA の説明に使っているのは「LTE と EPC に NR を組み合わせる形」です。試験対策ではまず次の3つを区別できるようにしてください。
| 構成 | 無線(基地局) | コアネットワーク | 接続の制御 | ひとことで |
|---|---|---|---|---|
| 4G(LTE) | LTE の基地局(eNB) | EPC | LTE | 無線もコアも4G |
| 5G NSA(代表例はオプション3系) | LTE の基地局と NR の基地局を併用 | EPC | LTE が担い、NR はデータを上乗せ | 無線は4G+5G、コアは4G |
| 5G SA(オプション2) | NR の基地局(gNB) | 5GC | NR | 無線もコアも5G |
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NSA で LTE と NR を同時に使う方式は、EN-DC(E-UTRA-NR Dual Connectivity)と呼ばれます。LTE の基地局が主(マスター)、NR の基地局が従(セカンダリ)になり、NR の電波は主にデータの通り道を太くするために使われます。
総務省の電波利用ポータルも、ローカル5Gの説明の中で、NSA 構成の機材は制御の信号をやり取りするために4Gの基地局とコアネットワークが必要になると注意しています(2026年9月27日確認)。自前で5Gを組む場合でも、NSA なら4Gの網を用意しなければならない、ということです。詳しくはローカル5Gとはで扱います。
EPC と 5GC は、どこが違うのか?
SA と NSA の違いは、突き詰めるとコアの違いです。代表的な機能を対比します。
| 役割 | EPC(4G) | 5GC(5G) |
|---|---|---|
| 端末の接続と移動の管理 | MME | AMF |
| 通信セッションの管理 | MME・ゲートウェイ(S-GW・P-GW)が分担 | SMF |
| 利用者データの転送 | S-GW・P-GW | UPF |
| 加入者情報の管理 | HSS | UDM など |
| 機能どうしのつなぎ方 | 機能の間を決まったインタフェースで1対1につなぐ | 機能をサービスとして公開し合う SBA |
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3GPP は、5GC が SBA を採り、構成要素を「ネットワーク機能(NF)」として定義していると説明しています。機能をソフトウェアの部品として組み合わせやすく、制御の処理(C-Plane)とデータの転送(U-Plane)を分けて配置しやすいのが特徴です。U-Plane を担う UPF を利用者の近くに置けば、エッジでの処理(MEC)とも組み合わせやすくなります。
なぜ NSA から始め、SA へ移るのか?
3GPP は、LTE と組み合わせる NSA の NR 仕様を2017年12月に先に承認し、続いて SA を含めた Release 15 を仕上げました。3GPP は Release 15 を「5Gの最初の完全な仕様群」と位置づけています(2026年9月27日確認)。NSA が先になったのは、既存の LTE の設備を生かして早く5Gのサービスを始めたい事業者の事情に合わせたためです。
一方で、NSA のままでは5GC の機能を使えません。SA へ移る主な理由を整理します。
- 5GC の機能を使うため:ネットワークを用途ごとに仮想的に分けるネットワークスライシングなどは、5GC を前提とした機能です。
- 低遅延や高信頼の用途に合わせるため:制御も含めて5Gの仕組みで完結させると、URLLC のような用途に向けた設計を生かしやすくなります。
- 4Gへの依存を減らすため:NSA では LTE の電波とコアが欠かせず、4Gの設備の都合が5Gの提供に影響します。
用途ごとに網を分ける考え方はネットワークスライシングとはで、無線方式そのものの違いはLTEと5G NRの違いで整理しています。
モバイル2級では、どの範囲で、どう問われそうか?
MCPC の公式ページの図では、モバイルシステム技術検定 2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」の比率が15%と示されています(2026年9月27日確認)。どの用語が何問出るかは公表されていません。
当サイトでは、公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の第4章「コアネットワーク技術」がこの範囲に当たると推定しています(章名から当サイトが判断したもので、公式の対応表ではありません)。
4択での問われ方は、次のような型が考えられます。出題頻度の公式データはないため、型の整理として読んでください。
- 構成の対応:NSA・SA と、使うコア(EPC・5GC)の組合せを選ばせる。
- 機能の対応:AMF・SMF・UPF の役割と、EPC の MME・ゲートウェイとの対比。
- 理由の説明:NSA が先に使われた理由、SA へ移る理由として適切な記述を選ばせる。
- 空欄補充:「LTE を( )として使う」「コアに( )を使う」のような文を完成させる。
試験全体の形式はモバイルシステム技術検定2級とはにまとめています。
どこで取り違えやすいのか?
SA・NSA は略語が似ているうえ、「独立」という訳語から意味を推測すると外しやすい用語です。
| 取り違え | 正しい考え方 | 確認する問い |
|---|---|---|
| NSA は5Gの電波を使わない | NSA でも NR の電波を使う。違うのはコアと制御 | 無線の話か、コアの話か |
| NSA のコアは5GC | 代表的な NSA(オプション3系)のコアは4Gの EPC | どのコアにつながるか |
| SA でも LTE の基地局が必須 | SA は NR を5GC に直接つなぎ、LTE を前提にしない | LTE がアンカーになっているか |
| UPF は制御を担う機能 | UPF は利用者データの転送(U-Plane)。制御は AMF・SMF | C-Plane か U-Plane か |
| ネットワークスライシングは NSA でも同じように使える | スライシングは5GC を前提にした機能 | 5GC がある構成か |
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確認問題1:NSA の構成を選べるか?
5G の NSA(Non-Standalone)構成の説明として、最も適切なものはどれか。
- NR の基地局を5GC に直接つなぎ、接続の制御も NR 側で行う構成
- LTE の基地局だけを使い、コアネットワークに5GC を組み合わせる構成
- LTE と NR の基地局を併用し、LTE が制御を担ってコアに EPC を使う構成
- NR の基地局と Wi-Fi のアクセスポイントを組み合わせて5GC を使う構成
正解:3。NSA は、LTE を制御の足場(アンカー)とし、NR をデータの通り道として上乗せし、コアには4Gの EPC を使う構成です。
1は SA の説明です。2は NR を使っておらず、5Gの NSA の説明になりません。4の Wi-Fi との組み合わせは NSA の定義に含まれず、3GPP が説明する NSA は LTE と EPC を土台にする構成です。
確認問題2:5GC の機能の役割を対応できるか?
5GC の機能と役割の組合せとして、最も適切なものはどれか。
- AMF:利用者データの転送 SMF:接続と移動の管理 UPF:セッションの管理
- AMF:セッションの管理 SMF:利用者データの転送 UPF:接続と移動の管理
- AMF:接続と移動の管理 SMF:利用者データの転送 UPF:セッションの管理
- AMF:接続と移動の管理 SMF:セッションの管理 UPF:利用者データの転送
正解:4。AMF は端末の接続と移動の管理、SMF は通信セッションの管理、UPF は利用者データの転送を担います。制御(AMF・SMF)とデータ転送(UPF)が分かれているのが5GC の特徴です。
1・2・3は、いずれも3つの役割のうち2つ以上を入れ替えています。「U」が User Plane(利用者データ)を表すと覚えると、UPF の位置を固定できます。
確認問題3:SA へ移る理由を説明できるか?
携帯電話事業者が5Gを NSA から SA へ移行する理由として、最も適切なものはどれか。
- 5GC の機能を生かし、ネットワークスライシングなどを提供しやすくするため
- NR の電波をやめ、LTE の電波だけで5Gのサービスを提供するため
- コアネットワークを EPC に戻し、4Gと同じ設備で運用を続けるため
- 端末と基地局の間の無線方式を、OFDM から CDMA へ切り替えるため
正解:1。SA では NR が5GC に直接つながるため、5GC を前提としたネットワークスライシングなどの機能を使いやすくなります。
2は逆で、SA は NR を中心にした構成です。3の EPC を使うのは NSA の側です。4は無線方式の話で、NR は OFDM をベースにしており、SA への移行で CDMA に戻すことはありません。
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よくある質問
NSA の5Gは「本物の5Gではない」のですか?
NSA でも無線区間は5Gの NR です。違うのは、制御とコアに4Gの仕組みを使う点です。試験では「本物かどうか」ではなく、無線・コア・制御がそれぞれ何かで判断してください。
SA と NSA の略語はどう覚えればよいですか?
Standalone は「5Gだけで独り立ちしている」、Non-Standalone は「4Gに支えられて立っている」と読み替えると覚えやすくなります。支えているのは LTE の基地局と EPC です。
出典・参考
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