モバイル2級の用語モバイル2級

EPCとは|MME・S-GW・P-GW・HSSの役割と2級

LTEのコアネットワークEPCを、MME・S-GW・P-GW・HSS・PCRFの役割表と、制御信号と利用者データの通り道の違いで整理。独自の確認問題3問つきで、モバイル2級の装置名の取り違えを防げます。

最終更新
公開
読了目安
約11分
執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • EPC(Evolved Packet Core)は LTE のコアネットワークで、3GPP Release 8 で規定されました。回線交換を持たないオール IPの網です。
  • 制御を担うのが MME(移動と接続の管理)、利用者データを運ぶのが S-GW と P-GW、加入者情報を持つのが HSS、ポリシーと課金のルールを決めるのが PCRF です。
  • 見分けのコツは「制御信号の通り道」と「利用者データの通り道」を分けること。MME は利用者データを運びません。
  • モバイル2級では出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります。記事の最後に独自の確認問題3問を置きました。

EPCとは?一言でいうとLTEのどの部分?

EPC(Evolved Packet Core)は「LTE の基地局(eNodeB)の奥にあり、端末の認証・移動の管理・インターネットへの接続を受け持つコアネットワーク」です。3GPP では TS 23.401 などで規定され、この仕様は Release 8 から始まっています(3GPP 仕様書の登録情報、確認 2026-09-27)。無線側の E-UTRAN と EPC を合わせて EPS(Evolved Packet System)と呼びます。

第3世代までのコアネットワークは、音声用の回線交換と、データ用のパケット交換の2本立てでした。EPC はパケット交換だけのオール IP の網です。そのため LTE で音声を扱うには、IMS を使う VoLTE か、音声のときだけ3Gなどの回線交換に戻る CSFB(回線交換フォールバック)が必要になります。VoLTE の仕組みはVoLTEとIMSとはで解説しています。

MME・S-GW・P-GW・HSS・PCRFはそれぞれ何をする?

EPC の主な装置の役割を、3GPP TS 23.401 の機能の考え方をもとに当サイトで短く整理しました(確認 2026-09-27)。装置名の後ろの「制御」「データ」は、主にどちらの通り道に属するかを示しています。

EPCの主な装置と役割
装置正式名主な役割通り道
MMEMobility Management Entity端末の接続・認証の手続き、待ち受け中の端末の位置の管理と呼び出し、S-GW・P-GWの選択、ベアラ(通信路)の設定の制御制御
S-GWServing Gateway基地局からの利用者データを中継する。基地局間の移動で経路の切り替え点(アンカー)になり、待ち受け中の端末あての下りデータを一時的にためるデータ
P-GWPDN Gatewayインターネットなど外部のパケット網(PDN)との出入り口。端末へのIPアドレスの割り当て、ポリシーの適用、課金のためのデータ量の把握データ
HSSHome Subscriber Server加入者の契約情報と認証に使う情報を持つデータベース。MMEの問い合わせに答える制御
PCRFPolicy and Charging Rules Function通信の品質(QoS)と課金のルールを決め、P-GWに指示する制御

← 表は横にスクロールできます →

覚え方の目安として、名前に Gateway(GW) が付く S-GW と P-GW は「データの通り道の関所」、M(Mobility) の MME は「移動と接続の管理人」、S(Subscriber) の HSS は「加入者の台帳」、P(Policy) の PCRF は「ルールを決める係」と考えると整理しやすくなります。

端末が LTE につながる(アタッチする)と、まずデフォルトベアラと呼ばれる通信路が張られ、P-GW から IP アドレスが割り当てられます。LTE の端末が電源を入れている間、IP でつながった状態を保ちやすいのはこのためです。

制御信号と利用者データの通り道はどう違う?

EPC を理解するいちばんの近道は、制御信号(Cプレーン)と利用者データ(Uプレーン)の経路を分けて描くことです。端末がウェブを見るとき、見ているページのデータは MME を通りません。

2つの通り道(主なインタフェース名つき)
通り道経路主なインタフェース
制御信号(Cプレーン)端末 → eNodeB → MME(→ HSS・S-GW)S1-MME(eNodeB–MME)、S6a(MME–HSS)、S11(MME–S-GW)
利用者データ(Uプレーン)端末 → eNodeB → S-GW → P-GW → インターネットなどS1-U(eNodeB–S-GW)、S5/S8(S-GW–P-GW)、SGi(P-GW–外部網)
ポリシーPCRF → P-GWGx(PCRF–P-GW)

← 表は横にスクロールできます →

S5 と S8 はどちらも S-GW と P-GW の間ですが、ローミングで事業者をまたぐときの呼び名が S8 です。インタフェース名まで細かく覚える必要があるかは公表されていませんが、「MME は S1-MME、S-GW は S1-U」の対は、制御とデータを分ける考え方そのものなので押さえておく価値があります。

さらに 3GPP は Release 14 で、S-GW と P-GW をそれぞれ制御部分とデータ部分に分ける CUPS(Control and User Plane Separation) を規定しました(3GPP TS 23.214、確認 2026-09-27)。データ部分だけを利用者の近くに置けるようにする考え方で、5G コアネットワークの UPF につながっていきます。5G での対応は5GCとはで解説しています。

モバイル2級ではどこで、どう問われる?

モバイル2級の出題カテゴリでは「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります(MCPC 公式ページの図で確認、2026年9月時点)。100問なら約15問の枠です。

公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の章立てでは、第4章「コアネットワーク技術」の範囲と当サイトは見ています。章とカテゴリの対応は当サイトの推定です。出題の頻度や配点は公表されていないため、以下は4択で問われうる観点を当サイトが整理したものです。

  • 装置名と役割の組合せ(「加入者情報を持つのは」「外部網との出入り口は」など)
  • 制御信号と利用者データを扱う装置の区別(MME がデータを運ぶかどうか)
  • IP アドレスを割り当てる装置、ポリシーや課金のルールを決める装置
  • EPC がオール IP であることと、LTE で音声を扱う方法(VoLTE・CSFB)
  • 5G コアネットワークの機能との対応(MME→AMF・SMF、S-GW/P-GW→UPF など)
  1. 5つの装置を「制御」と「データ」に分ける
  2. それぞれの役割を一言で言えるようにする(管理人・関所・台帳・ルール係)
  3. 制御とデータの経路を1本ずつ描き、インタフェース名を添える
  4. 最後に 5G の機能名との対応表で確認する

どこで取り違えやすい?つまずき別の整理

選択肢で迷ったときに見直す点を、つまずき別にまとめました。

よくある取り違え正しい整理見分けるポイント
MMEが利用者データを中継するMMEは制御専用。データはS-GW・P-GWを通るGatewayが付くのがデータの通り道
IPアドレスを割り当てるのはS-GW端末のIPアドレスを割り当てるのはP-GW外部網との出入り口がP-GW
HSSが課金のルールを決めるHSSは加入者情報。ポリシーと課金のルールはPCRFS=Subscriber、P=Policy
EPCは音声用の回線交換も持つEPCはパケット交換だけのオールIP音声はVoLTEかCSFB
S-GWとP-GWは必ず別の装置として置く同じ装置にまとめて実装する構成もある。試験では役割の区別が大事機能の区分と物理的な装置の数は別
5GでもMMEがそのまま使われる5GのSA構成ではAMFとSMFが役割を分けて受け持つNSA構成はEPCを使う

← 表は横にスクロールできます →

確認問題1:外部のパケット網との出入り口になる装置は?

(当サイトの独自問題)EPC において、インターネットなど外部のパケット網との接続点となり、端末への IP アドレスの割り当ても担う装置として、最も適切なものはどれか。

  1. MME(Mobility Management Entity)
  2. P-GW(PDN Gateway)
  3. HSS(Home Subscriber Server)
  4. S-GW(Serving Gateway)

正解:2。P-GW は外部のパケット網(PDN)との出入り口で、端末への IP アドレスの割り当てやポリシーの適用を担います。

1:MME は接続・認証・移動の管理を担う制御の装置で、利用者データを外部網へ出す役割はありません。3:HSS は加入者情報のデータベースです。4:S-GW は基地局側からのデータを中継し、基地局間の移動で経路の切り替え点になりますが、外部網との出入り口ではありません。

確認問題2:利用者データが通らない装置は?

(当サイトの独自問題)LTE の端末がウェブページを閲覧しているとき、閲覧しているページの利用者データが通常の経路で通過しない装置として、最も適切なものはどれか。

  1. 端末がつながっている基地局(eNodeB)
  2. 基地局からのデータを受け取るS-GW
  3. 外部の網との出入り口になるP-GW
  4. 接続と移動の管理を受け持つMME

正解:4。MME は制御信号を扱う装置で、利用者データは通りません。

1・2・3:利用者データは「端末→eNodeB→S-GW→P-GW→インターネット」の順に流れるので、eNodeB・S-GW・P-GW はいずれもデータの通り道に含まれます。

確認問題3:EPCと5Gの機能の対応として正しいのは?

(当サイトの独自問題)EPC の装置と、5G コアネットワーク(5GC)で主にその役割を引き継ぐ機能の組合せとして、最も適切なものはどれか。

  1. HSSの役割は、主に5GCのUPFが引き継いでいる
  2. PCRFの役割は、主に5GCのAMFが引き継いでいる
  3. S-GWとP-GWのデータ転送の役割は、主に5GCのUPFが引き継いでいる
  4. MMEの役割は、主に5GCのUDMが引き継いでいる

正解:3。3GPP の 5G System Overview では、利用者データを扱う UPF が S-GW・P-GW の役割を引き継ぐものとして説明されています(確認 2026-09-27)。

1:HSS に近い役割は UDM(加入者データの管理)で、UPF はデータ転送の機能です。2:PCRF の役割は PCF が引き継ぎます。4:MME の役割は AMF(接続と移動の管理)と SMF(セッションの管理)に分かれて引き継がれています。

読んだあと、次に何をすればいい?

5つの装置を「制御」と「データ」に分けて言えるようになったら、組合せの4択で確かめる段階です。モバイル2級の無料お試し20問は登録不要で、公式カテゴリの比率に合わせた問題と全問の解説を確認できます。

続けて5GCとはで機能名の対応を確認し、5G SAとNSAの違いで「NSA は EPC を使う」点を押さえると、4G と 5G のコアネットワークの関係がつながります。音声の扱いはVoLTEとIMSとは、端末の移動の扱いはハンドオーバーとセルとは、試験全体はモバイル2級の試験概要へ。

よくある質問

EPCとSAEは同じものですか?

SAE(System Architecture Evolution)は、3GPP でコアネットワークの進化を検討した作業の名前として使われてきました。その成果として規定されたコアネットワークが EPC です。試験の選択肢では、装置の役割を問う形のほうが重要なので、まず EPC の装置を区別できるようにしましょう。

インタフェース名(S1-MMEなど)まで覚える必要がありますか?

どこまで細かく出るかは公表されていません。少なくとも「制御は MME、データは S-GW・P-GW」の区別と、それに対応する S1-MME と S1-U の対は、仕組みの理解そのものなので押さえておくと安心です。

5Gのスマートフォンでも、EPCを使うことはありますか?

あります。5G の NSA(ノンスタンドアローン)構成では、5G の無線(NR)を LTE と組み合わせて使い、コアネットワークには EPC を使います。5G のコアネットワーク(5GC)を使うのは SA(スタンドアローン)構成です。

出典・参考

  1. [1]MCPC モバイルシステム技術検定 2級(出題カテゴリの図、確認 2026-09-27)
  2. [2]3GPP TS 23.401 GPRS enhancements for E-UTRAN access(Release 8〜、確認 2026-09-27)
  3. [3]3GPP TS 23.214 Architecture enhancements for control and user plane separation of EPC nodes(Release 14〜、確認 2026-09-27)
  4. [4]3GPP: 5G System Overview(EPC と 5GC の対応、確認 2026-09-27)

本番と同じペースで腕試し

記事の次は、本番形式の問題で。

公式の出題カテゴリの比率どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。

モバイルシステム技術検定 2級

100問・100分の模試と章別ドリル・¥4,980(税込・買い切り)

モバイル2級の無料お試し20問
料金と収録内容を見る →

当サイトは、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)とは関係のない個人が運営する非公式の学習教材です。掲載している問題はすべて当サイトのオリジナルで、実際の試験問題・過去問題・再現問題ではありません。試験の日程・受検料・出題範囲は公式サイト(https://www.mcpc-jp.org/license/ )で必ず確認してください。合格を保証するものではありません。合格の目安は当サイトの推定です。技術・制度の記述は「最終確認日」時点のものです。

← 対策記事の一覧へ