この記事の要点
- VoLTE(Voice over LTE)は、LTE の上で音声をIPパケットとして運ぶ通話の方式です。IMS(IP Multimedia Subsystem)は、その通話の呼び出し・接続・切断を制御するコアネットワーク側の仕組みです。
- IMS の骨格を定めた3GPP の仕様 TS 23.228 の最初のリリースは Release 5、呼の制御に使う SIP は IETF の RFC 3261(2002年6月)で定められています(2026年9月27日確認)。
- 3Gの音声は回線交換でした。ドコモの FOMA(3G)と iモードの終了日は 2026年3月31日で(ドコモ報道発表)、VoLTE に対応しない端末では通話できなくなる影響がありました。
- モバイル2級の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(公式の比率は15%)に当たる範囲です。
VoLTE と IMS は、それぞれ何を指すのか?
一言でいうと、VoLTE は「LTE で音声をIPとして運ぶ通話の方式」、IMS は「IPの通話やメッセージを制御するための共通の土台」です。VoLTE は IMS を使って実現される、という関係です。
LTE は、データ通信をIPで運ぶことを前提に作られた方式で、3Gまでのような音声専用の回線交換の仕組みを持ちません。そのため、LTE の上で電話をするには、音声をIPパケットにし、呼び出しや接続の制御を別の仕組みで行う必要があります。この制御を担うのが IMS です。
3GPP の仕様ページでは、IMS の全体構成を定めた TS 23.228 の名称は「IP Multimedia Subsystem (IMS); Stage 2」で、最初に計画されたリリースは Release 5 と示されています(2026年9月27日確認)。IMS 自体は LTE より前から仕様化されており、音声以外のマルチメディアのサービスも想定した土台だという点を押さえてください。
回線交換の音声と、IPの音声(VoLTE)は何が違うのか?
違いは「通話中に回線を占有するか」「制御を何で行うか」の2点に集約できます。
| 観点 | 回線交換の音声(3Gまで) | VoLTE(4G) |
|---|---|---|
| 音声の運び方 | 通話の間、専用の回線(通り道)を確保し続ける | 音声を小さなIPパケットに分けて運ぶ |
| 呼の制御 | 回線交換のための制御の仕組み | IMS が SIP を使って制御する |
| 使う無線 | 3G(W-CDMA など) | LTE |
| 品質の確保 | 専用の回線を占有して確保 | 音声のパケットを優先して扱う仕組みで確保 |
| ほかのサービスとの関係 | 音声とデータが別の仕組み | 音声もデータと同じIPの上で扱える |
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VoLTE では、音声のパケットが遅れたり途切れたりしないよう、LTE の中で音声用に優先度の高い通り道(ベアラ)を用意します。IPで運ぶからといって、インターネットの一般的な通話アプリと同じ扱いではない点が、試験で問われやすい区別になります。
LTE のコアネットワーク(EPC)の構成はEPCとはで扱います。
IMS は、通話の呼をどう制御しているのか?
IMS では、呼の制御に SIP(Session Initiation Protocol) を使います。IETF の RFC 3261 は SIP を、1人以上の参加者とのセッションを作成・変更・終了するためのアプリケーション層の制御(シグナリング)プロトコルと説明しています(2026年9月27日確認)。
IMS の中で SIP を扱う中心の機能が CSCF(Call Session Control Function) です。役割の違う3つを区別します。
| 機能 | 役割 | 覚え方 |
|---|---|---|
| P-CSCF(Proxy) | 端末から見た IMS の最初の窓口。SIP のメッセージを受け渡す | 入口の受付 |
| I-CSCF(Interrogating) | 他の網からの呼を受け、担当の S-CSCF を探して振り分ける | 問い合わせ係 |
| S-CSCF(Serving) | 利用者の登録を扱い、呼の制御の中心になる | 担当の世話役 |
| HSS | 加入者の情報や認証に使う情報を持つ | 加入者の台帳 |
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発信の流れを単純化すると、次のようになります。
①端末が IMS に登録する(SIP の登録)→ ②発信側が SIP で相手を呼び出す → ③IMS が相手を探して呼び出しを届ける → ④相手が応答すると、音声のパケットの通り道が確立する → ⑤通話が終わると、SIP で切断する。制御(SIP)と音声のパケットは別の流れで運ばれる、という点が要点です。
3G の終了と5G では、音声の仕組みはどう変わるのか?
LTE の端末でも、VoLTE を使わない場合は、通話のときだけ3Gの回線交換に切り替えて通話する方法(CSFB:Circuit Switched Fallback)がありました。しかし、3Gが終了すると、この切り替え先がなくなります。
ドコモは2019年10月の報道発表で、FOMA(3G)と iモードを2026年3月31日に終了すると公表しており、2026年9月時点ではその終了日を過ぎています(2026年9月27日確認)。3Gの終了後は、携帯電話の通話は VoLTE などIPの音声が前提になります。世代ごとの変化は移動体通信の世代(1G〜6G)とはで整理しています。
5Gでも、音声の制御に IMS を使う考え方は続きます。5G SA で NR の上で直接音声を運ぶ方式は VoNR(Voice over NR) と呼ばれます。VoNR を使わない5G SA の構成では、通話のときに LTE に切り替えて VoLTE で通話する方法(EPS fallback)もあります。5Gのコアとの関係は5GCとはで扱います。
モバイル2級では、どの範囲で、どう問われそうか?
MCPC の公式ページの図では、モバイルシステム技術検定 2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」の比率が15%と示されています(2026年9月27日確認)。どの用語が何問出るかは公表されていません。
当サイトでは、公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の第4章「コアネットワーク技術」がこの範囲に当たると推定しています(章名から当サイトが判断したもので、公式の対応表ではありません)。
4択での問われ方は、次のような型が考えられます。出題頻度の公式データはないため、型の整理として読んでください。
- 定義:VoLTE・IMS・SIP の説明を入れ替えた選択肢から、正しいものを選ばせる。
- 方式の比較:回線交換とIPの音声の違いとして適切な記述を選ばせる。
- 機能の対応:P-CSCF・I-CSCF・S-CSCF と役割の組合せ。
- 移行の影響:3G終了と CSFB・VoLTE の関係を問う。
試験全体の形式はモバイルシステム技術検定2級とはにまとめています。
どこで取り違えやすいのか?
VoLTE の問題は、「方式」「制御の土台」「プロトコル」の層を混ぜた選択肢で迷いやすくなります。
| 取り違え | 正しい考え方 | 確認する問い |
|---|---|---|
| VoLTE は回線交換の音声 | VoLTE は音声をIPパケットとして運ぶ | 回線を占有するか、パケットで運ぶか |
| IMS は LTE の無線方式の名前 | IMS はコア側で呼を制御する仕組み | 無線の話か、コアの話か |
| SIP は音声そのものを運ぶ | SIP は呼の開始・変更・終了の制御。音声は別の流れ | 制御か、中身か |
| IMS は LTE と同時に初めて作られた | IMS の仕様(TS 23.228)の最初のリリースは Release 5 | IMS と LTE の順番 |
| 3G終了後も CSFB で通話できる | CSFB は3Gの回線交換に切り替える方式。3Gがなければ使えない | 切り替え先の網は残っているか |
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確認問題1:VoLTE の説明を選べるか?
VoLTE の説明として、最も適切なものはどれか。
- 通話の間は専用の回線を確保し続け、3Gの網で音声を運ぶ通話の方式
- LTE の上で音声をIPパケットとして運び、IMS で呼を制御する通話の方式
- 音声の通話を行わず、LTE でデータ通信だけを行うための契約の方式
- スマートフォンのアプリが、インターネット経由で無料通話を行う方式
正解:2。VoLTE は LTE の上で音声をIPパケットとして運び、呼の制御は IMS が SIP を使って行います。
1は3Gまでの回線交換の音声の説明です。3は通話を行わないとしている点が VoLTE の定義と逆です。4は一般的なインターネットの通話アプリの説明で、事業者のネットワークが音声用の通り道を優先して扱う VoLTE とは仕組みが違います。
確認問題2:IMS の機能の役割を対応できるか?
IMS の機能と役割の組合せとして、最も適切なものはどれか。
- P-CSCF:端末から見た最初の窓口 S-CSCF:呼の制御の中心 HSS:加入者の情報を保持
- P-CSCF:加入者の情報を保持 S-CSCF:端末から見た最初の窓口 HSS:呼の制御の中心
- P-CSCF:呼の制御の中心 S-CSCF:加入者の情報を保持 HSS:端末から見た最初の窓口
- P-CSCF:端末から見た最初の窓口 S-CSCF:加入者の情報を保持 HSS:呼の制御の中心
正解:1。P(Proxy)-CSCF は端末から見た IMS の入口、S(Serving)-CSCF は利用者の登録と呼の制御の中心、HSS は加入者の情報を持つ台帳です。
2と3は、3つの役割をすべて入れ替えています。4は、P-CSCF は正しいものの、S-CSCF と HSS の役割が逆になっています。
確認問題3:3G終了の影響を説明できるか?
次の文の空欄 ア・イ に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。
「VoLTE に対応しない LTE 端末は、通話のときに3Gの( ア )へ切り替える( イ )で通話していた。そのため、3Gが終了すると通話ができなくなるおそれがあった。」
- ア:回線交換 イ:VoNR
- ア:パケット交換 イ:CSFB
- ア:回線交換 イ:CSFB
- ア:パケット交換 イ:VoNR
正解:3。CSFB(Circuit Switched Fallback)は、通話のときだけ3Gの回線交換に切り替える方式です。切り替え先の3Gがなくなると、この方法は使えません。
1と4の VoNR は5Gの NR の上で音声を運ぶ方式で、3Gへ切り替える仕組みではありません。2と4のパケット交換は、3Gの音声を運んでいた回線交換とは別の方式です。
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よくある質問
VoLTE は、LINE などのアプリの通話と同じものですか?
どちらも音声をIPで運びますが、VoLTE は携帯電話事業者のネットワークが IMS で呼を制御し、音声用の優先度の高い通り道を用意して品質を確保します。電話番号で発着信する事業者の通話サービスである点も違います。
IMS は VoLTE のためだけの仕組みですか?
いいえ。IMS はIPの上で音声・映像・メッセージなどのマルチメディアのサービスを制御する土台として作られました。VoLTE はその代表的な使い方です。5Gの VoNR でも IMS が使われます。
出典・参考
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