この記事の要点
- 5GC(5G Core)は 5G のコアネットワーク。装置ではなくネットワーク機能(NF)の集まりとして定義され、機能どうしが共通のしくみでサービスを提供し合うサービスベースアーキテクチャ(SBA)をとります。
- 中心は、接続と移動を管理する AMF、セッションを管理する SMF、利用者データを運ぶ UPF の3つ。EPC の MME の役割は AMF と SMF に分かれました。
- 制御(C)と利用者データ(U)の分離が前提なので、UPF だけを利用者の近くに置けます。これがネットワークスライシングや MEC の土台になります。
- 5GC は 3GPP Release 15 で規定されました。NSA の無線仕様が2017年末に先に出され、SA を含む Release 15 の完成に向けた作業は2018年に進められました(3GPP、確認 2026-09-27)。
5GCとは?一言でいうとEPCと何が違う?
5GC は「5G の無線(NR)を独立して動かす SA 構成で使う、ネットワーク機能の組合せとして設計されたコアネットワーク」です。3GPP の説明では、アーキテクチャの要素は従来のような「ネットワーク装置」ではなく「ネットワーク機能(NF)」として定義され、認められた機能どうしが共通の枠組みでサービスを提供し合います(3GPP「5G System Overview」、確認 2026-09-27)。
3GPP は Release 15 を「5G の最初の完全な仕様群」と位置づけています。2017年末に LTE と組み合わせる NSA(ノンスタンドアローン)の NR 仕様が先に出され、その後 Release 15 の範囲が新しいコアネットワークを伴う SA(スタンドアローン)へ広がりました。3GPP は2018年に Release 15 の期限どおりの完成に力を注ぎ、それによって2019年に機器メーカーがチップの設計や初期のネットワーク構築を進められるようになった、と説明しています(3GPP Release 15 の紹介ページ、確認 2026-09-27)。5GC の中心となる仕様 TS 23.501「System architecture for the 5G System」も Release 15 から始まっています。
つまり、5G のスマートフォンでも NSA 構成なら EPC を使い、5GC を使うのは SA 構成です。この区別は5G SAとNSAの違いで詳しく解説しています。
EPCの装置は5GCのどの機能に対応する?
3GPP の 5G System Overview と System Architecture の解説をもとに、EPC の装置と 5GC で主にその役割を引き継ぐ機能を対応させました(確認 2026-09-27)。1対1ではなく、分かれたり統合されたりしている点に注意してください。
| EPCの装置 | 5GCの機能 | 5GCでの役割 |
|---|---|---|
| MME(接続・移動の管理) | AMF | 端末の登録・接続・移動の管理。端末(N1)と基地局(N2)の制御信号の窓口 |
| MME(セッション部分)、S-GW・P-GWの制御部分 | SMF | PDUセッション(データ通信の通り道)の確立と管理、UPFの選択と制御 |
| S-GW・P-GWのデータ転送部分 | UPF | 利用者データの転送。外部のデータ網(DN)との出入り口 |
| HSS | UDM(と AUSF) | UDMは加入者データの管理、AUSFは認証の処理 |
| PCRF | PCF | 通信の品質やポリシーの制御 |
| (該当なし) | NRF | ネットワーク機能の登録と発見(どの機能がどこにあるかの名簿) |
| (該当なし) | NSSF | ネットワークスライスの選択 |
| (該当なし) | NEF | 網の機能を外部のアプリケーションへ安全に公開する |
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4択で狙われやすいのは「MME は AMF だけに対応する」と思い込む点です。MME が担っていた仕事のうち、移動と接続の管理は AMF、セッションの管理は SMF に分かれました。「A は Access and Mobility、S は Session」と頭文字で覚えると区別しやすくなります。
基地局は 5G では gNB と呼ばれ、gNB は中央ユニット(CU)と分散ユニット(DU)に分けて構成することもできます(3GPP「5G System Overview」、確認 2026-09-27)。gNB と UPF の間の利用者データは N3、SMF と UPF の間の制御は N4、UPF と外部のデータ網の間は N6 というインタフェース名で呼ばれます。
サービスベースアーキテクチャとC/U分離とは何か?
サービスベースアーキテクチャ(SBA)では、制御側の各機能が「サービス」を公開し、ほかの機能がそれを呼び出す形でやりとりします。機能どうしの接続は、装置の組ごとに専用のインタフェースを決める従来の考え方ではなく、共通の枠組み(サービスベースインタフェース)で行われ、ウェブの技術である HTTP をもとにしたプロトコルが使われます。新しい機能は NRF に登録され、ほかの機能は NRF に問い合わせて相手を見つけます。
C/U 分離(制御プレーンと利用者プレーンの分離)は、EPC の時代に Release 14 の CUPS として S-GW・P-GW に取り入れられた考え方です(3GPP TS 23.214、確認 2026-09-27)。5GC では最初から、制御は SMF、利用者データは UPF と分けて設計されています。
| 観点 | EPC(従来型) | 5GC |
|---|---|---|
| 構成の単位 | 役割ごとの装置(ノード) | ネットワーク機能(NF) |
| 制御側の接続 | 装置の組ごとに決めたインタフェース | 共通の枠組みでサービスを呼び出す(SBA) |
| 制御とデータ | Release 14 の CUPS で後から分離 | 最初から SMF と UPF に分離 |
| 用途ごとの網 | 基本は1つの網を共有 | ネットワークスライシングを前提に設計 |
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C/U 分離の利点は、UPF だけを利用者や工場・拠点の近くに置けることです。データが遠くのセンターまで往復しなくて済むので遅延を減らせます。これがMECとはで扱うエッジでの処理につながり、用途ごとに網を分けるネットワークスライシングの土台にもなります。
モバイル2級ではどこで、どう問われる?
モバイル2級の出題カテゴリでは「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります(MCPC 公式ページの図で確認、2026年9月時点)。100問なら約15問の枠です。
公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の章立てでは、第4章「コアネットワーク技術」の範囲と当サイトは見ています。章とカテゴリの対応は当サイトの推定です。出題の頻度や配点は公表されていないため、以下は4択で問われうる観点を当サイトが整理したものです。
- AMF・SMF・UPF の役割の区別(空欄補充や組合せの形)
- EPC の装置との対応(MME が AMF と SMF に分かれたこと、UDM・PCF の対応)
- SBA の特徴(機能がサービスを公開し合う、NRF で相手を見つける)
- C/U 分離の目的と、UPF を分散配置できる利点
- NSA と SA でどちらのコアネットワークを使うか、Release 15 の位置づけ
どこで取り違えやすい?つまずき別の整理
選択肢で迷ったときに見直す点を、つまずき別にまとめました。
| よくある取り違え | 正しい整理 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| MMEの役割はAMFだけが引き継いだ | 移動・接続はAMF、セッションはSMFに分かれた | A=Access and Mobility、S=Session |
| SMFが利用者データを転送する | データを運ぶのはUPF。SMFはUPFを選んで制御する | Uが付くのがUser Plane |
| UDMが端末の移動を管理する | UDMは加入者データの管理。移動の管理はAMF | HSSの後継がUDM |
| 5Gのスマホは必ず5GCを使う | NSA構成ではEPCを使う。5GCはSA構成 | 無線の世代とコアの世代は別 |
| C/U分離は5Gで初めて登場した | EPCでもRelease 14のCUPSで取り入れられた | 5GCは最初から分離して設計 |
| NRFはネットワークスライスを選ぶ | スライスの選択はNSSF。NRFは機能の登録と発見 | R=Repository(名簿) |
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確認問題1:利用者データを転送する機能は?
(当サイトの独自問題)5GC において、利用者データの転送を担い、外部のデータ網との出入り口にもなるネットワーク機能として、最も適切なものはどれか。
- AMF(Access and Mobility Management Function)
- SMF(Session Management Function)
- UPF(User Plane Function)
- UDM(Unified Data Management)
正解:3。UPF は利用者データ(ユーザプレーン)の転送を担い、外部のデータ網との出入り口になります。
1:AMF は端末の登録・接続・移動の管理を担う制御の機能です。2:SMF はセッションを管理し UPF を制御しますが、データそのものは転送しません。4:UDM は加入者データを管理する機能です。
確認問題2:EPCのMMEの役割はどう引き継がれた?
(当サイトの独自問題)EPC の MME が担っていた役割の、5GC での引き継ぎ方の説明として、最も適切なものはどれか。
- 接続と移動の管理はAMF、セッションの管理はSMFが、主に分担して引き継いでいる
- 接続と移動の管理もセッションの管理も、主にUPFが1つの機能でまとめて引き継いでいる
- 接続と移動の管理はUDM、セッションの管理はPCFが、主に分担して引き継いでいる
- 接続と移動の管理はNRF、セッションの管理はNSSFが、主に分担して引き継いでいる
正解:1。MME の役割は、AMF(接続と移動)と SMF(セッション)に分かれて引き継がれています(3GPP「5G System Overview」)。
2:UPF は利用者データの転送を担う機能で、制御の役割はまとめて引き継いでいません。3:UDM は加入者データ、PCF はポリシーの制御を担います。4:NRF は機能の登録と発見、NSSF はスライスの選択を担います。
確認問題3:サービスベースアーキテクチャの説明として正しいのは?
(当サイトの独自問題)5GC のサービスベースアーキテクチャ(SBA)の説明として、最も適切なものはどれか。
- 利用者データの通り道を1つの装置に集め、制御と転送を同じ場所で処理する設計である
- 端末と基地局の間の無線区間を、サービスごとに別の周波数帯へ分けて使う設計である
- 音声とデータのそれぞれに専用の交換網を用意し、サービスごとに網を分ける設計である
- 制御側の各機能がサービスを公開し、ほかの機能が共通の枠組みで呼び出す設計である
正解:4。SBA では、制御側のネットワーク機能がサービスを公開し、認められた機能が共通の枠組みでそれを呼び出します。
1:5GC は制御(SMF など)と利用者データ(UPF)を分ける設計で、同じ場所に集める考え方とは逆です。2:無線の周波数の分け方の話で、コアネットワークの SBA とは関係ありません。3:音声用とデータ用の交換網を分けるのは回線交換を持っていた時代の構成で、5GC はパケットの網です。
読んだあと、次に何をすればいい?
「AMF は移動、SMF はセッション、UPF はデータ」を即答できたら、機能名が並ぶ4択で確かめます。モバイル2級の無料お試し20問は登録不要で、公式カテゴリの比率に合わせた問題と全問の解説を確認できます。
LTE 側の装置はEPCとはで対比できます。5GC の設計が生きる応用として、用途ごとに網を分けるネットワークスライシングと、UPF を近くに置いて処理するMECとはを続けて読むと、試験の選択肢で「何のための仕組みか」まで説明できるようになります。NSA と SA の区別は5G SAとNSAの違い、試験全体はモバイル2級の試験概要へ。
よくある質問
5GCの機能名は全部覚える必要がありますか?
どこまで細かく出るかは公表されていません。まず AMF・SMF・UPF の3つを確実にし、次に EPC との対応(UDM・PCF)、最後に NRF・NSSF・NEF の順に広げるのが効率的です。
5GCと5G SAは同じ意味ですか?
同じではありません。5GC はコアネットワークの名前で、SA は 5G の無線(NR)を 5GC につないで単独で動かす構成の名前です。NSA は NR を LTE と組み合わせ、コアネットワークに EPC を使う構成です。
サービスベースアーキテクチャは、利用者データの転送にも使われますか?
SBA は主に制御側の機能どうしのやりとりのしくみです。利用者データは gNB から UPF(N3)、UPF から外部網(N6)へ流れ、SMF は N4 で UPF を制御します。制御とデータを分けて考えるのが 5GC 理解の基本です。
出典・参考
- [1]MCPC モバイルシステム技術検定 2級(出題カテゴリの図、確認 2026-09-27)
- [2]3GPP Release 15(5G の最初の完全な仕様群、確認 2026-09-27)
- [3]3GPP: 5G System Overview(確認 2026-09-27)
- [4]3GPP: System Architecture for the 5G System の解説(確認 2026-09-27)
- [5]3GPP TS 23.501 System architecture for the 5G System(Release 15〜、確認 2026-09-27)
- [6]3GPP TS 23.214 control and user plane separation of EPC nodes(Release 14〜、確認 2026-09-27)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
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