この記事の要点
- LTE は4G系の無線方式、5G NR(New Radio)は5Gのために新しく作られた無線方式です。どちらもOFDMを土台にしますが、NR はサブキャリア間隔を選べる柔軟な設計と、ミリ波まで含む広い周波数が特徴です。
- 5Gの利用シナリオは eMBB(高速大容量)・URLLC(高信頼・低遅延)・mMTC(多数同時接続) の3つです(ITU-R、2026年9月27日確認)。
- 3GPP では、NSA の NR 仕様が2017年12月に承認され、SA を含む Release 15 が5Gの最初の完全な仕様群になりました(3GPP 公式、2026年9月27日確認)。
- モバイル2級の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(公式の比率は15%)に当たる範囲です。
LTE と 5G NR は、それぞれ何を指すのか?
一言でいうと、LTE は4Gの時代を支えた無線アクセス方式、NR は5Gのために一から設計された無線アクセス方式です。どちらも「端末と基地局の間の無線区間」の名前で、その奥にあるコアネットワーク(LTE なら EPC、5G なら 5GC)とは別の層です。
LTE は3GPPの Release 8 から仕様化され、Release 10 以降の LTE-Advanced が ITU-R の4Gの枠組み(IMT-Advanced)に当たります。NR は Release 15 で最初に仕様化され、ITU-R の5Gの枠組み(IMT-2020)を満たす技術として位置づけられています。
4択でまず確かめたいのは、選択肢が無線の話(LTE・NR)をしているのか、コアの話(EPC・5GC)をしているのかです。ここを混ぜた記述は誤りになりやすくなります。
LTE と 5G NR を比べると、どこが違うのか?
主な違いを表にまとめます。数値は3GPPの仕様で定められた代表的な値で、実際の商用サービスで使われる値は事業者や周波数ごとに異なります。
| 観点 | LTE | 5G NR |
|---|---|---|
| 位置づけ | 4G系の無線方式(Release 8〜) | 5Gの無線方式(Release 15〜) |
| 多元接続 | 下りOFDMA、上りSC-FDMA | OFDMベース(上りはOFDMとDFT-s-OFDMを使い分け) |
| サブキャリア間隔 | 15kHz が基本 | 15kHz を基準に 30kHz・60kHz・120kHz などから選ぶ |
| 1キャリアの帯域幅 | 最大20MHz(束ねて広げるのがキャリアアグリゲーション) | 低い周波数帯で最大100MHz、ミリ波で最大400MHz |
| 周波数 | 国内では主に数百MHz〜3.5GHz帯 | サブ6(6GHz未満の帯域)に加え、28GHz帯などのミリ波 |
| つながるコア | EPC | 5GC(SA)、または LTE と組み合わせて EPC(NSA) |
| 遅延への工夫 | 1ms の時間単位で割り当て | サブキャリア間隔を広げると時間単位が短くなり、低遅延に向く |
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表で特に大事なのはサブキャリア間隔(ヌメロロジー)です。NR では、サブキャリア間隔を2倍にすると、1スロット(14シンボル)の時間が半分になります。15kHz なら1ms、30kHz なら0.5ms、120kHz なら0.125ms です。広い間隔は高い周波数や低遅延の用途に、狭い間隔は広いエリアを覆う用途に向きます。
LTE で帯域幅を広げる手段だったキャリアアグリゲーションはキャリアアグリゲーションとは、OFDMA そのものの仕組みはOFDMAとはで扱います。
5G の3つの利用シナリオ(eMBB・URLLC・mMTC)は、どう区別するのか?
ITU-R は、5G(IMT-2020)で想定する主な利用シナリオを eMBB(enhanced Mobile Broadband)・URLLC(Ultra-Reliable and Low Latency Communications)・mMTC(massive Machine Type Communications) の3つと示しています(2026年9月27日確認)。総務省も5Gの特長を「超高速・大容量」「超低遅延」「多数同時接続」と説明しています。
| シナリオ | 重視する性能 | 向いている使い方の例 |
|---|---|---|
| eMBB | 高速・大容量 | 高精細な動画の配信、多人数が集まる会場での通信 |
| URLLC | 高い信頼性と低い遅延 | 機械の遠隔制御、工場の自動化 |
| mMTC | 多数の端末の同時接続 | たくさんのセンサからの少量データの収集 |
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区別のこつは、「速さ」「確実さと速い応答」「数」の3語に置き換えることです。遅延の小ささを求める用途に mMTC を当てたり、センサの数を求める用途に eMBB を当てたりする選択肢は、シナリオの取り違えです。
5Gの3シナリオが6Gでどう広がるかは6Gとは、世代全体の流れは移動体通信の世代とはで整理しています。
モバイル2級では、どの範囲で、どう問われそうか?
MCPC の公式ページの図では、モバイルシステム技術検定 2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」の比率が15%と示されています(2026年9月27日確認)。どの用語が何問出るかは公表されていません。
当サイトでは、公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の第3章「無線アクセスネットワーク技術」がこの範囲に当たると推定しています(章名から当サイトが判断したもので、公式の対応表ではありません)。
4択での問われ方は、次のような型が考えられます。出題頻度の公式データはないため、型の整理として読んでください。
- 方式の対応:LTE の上り・下りの多元接続、NR のOFDMベースの設計を入れ替えた記述の正誤。
- シナリオの対応:用途の例と eMBB・URLLC・mMTC の組合せ。
- 層の区別:無線方式(NR)とコア(5GC・EPC)を混ぜた記述を見抜く。
- 標準化の時期:Release 15 と NSA・SA の順番を問う。
NSA と SA の違いは5G SAとNSAの違い、試験全体はモバイルシステム技術検定2級とはで扱います。
どこで取り違えやすいのか?
LTE と NR は共通点が多いため、1語だけ差し替えた選択肢が作りやすい組合せです。
| 取り違え | 正しい考え方 | 確認する問い |
|---|---|---|
| NR はOFDMをやめた新方式 | NR もOFDMベース。変わったのは設計の柔軟さ | やめたのか、柔軟にしたのか |
| LTE の上りもOFDMA | LTE の上りは SC-FDMA(端末の電力効率を考えた方式) | 上りと下りを分けて書いているか |
| 5Gはすべてミリ波を使う | サブ6でも5Gは提供される。ミリ波は選択肢の一つ | 周波数帯を限定する根拠があるか |
| URLLC は大容量のためのシナリオ | URLLC は信頼性と低遅延。大容量は eMBB | 求めているのは速さか、応答か、数か |
| NR なら必ず5GCにつながる | NSA では NR も LTE と組み合わせて EPC を使う | SA の話か、NSA の話か |
| Release 15 から NR は SA だけ | Release 15 は先に NSA、続いて SA を仕様化した | NSA と SA の順番 |
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確認問題1:5Gの利用シナリオを選べるか?
工場で機械を遠隔から制御するように、通信の途切れにくさと応答の速さを特に重視する5Gの利用シナリオとして、最も適切なものはどれか。
- eMBB
- mMTC
- URLLC
- LPWA
正解:3。URLLC は高い信頼性と低い遅延を重視するシナリオで、機械の制御のように遅れや途切れが問題になる用途に当たります。
1の eMBB は高速・大容量を重視するシナリオで、動画配信などが代表です。2の mMTC は多数の端末の同時接続を重視します。4の LPWA は省電力で広い範囲を覆う通信方式の総称で、ITU-R が示した5Gの3シナリオの名前ではありません。
確認問題2:LTE と NR の方式の違いを説明できるか?
LTE と 5G NR の無線方式に関する記述として、最も適切なものはどれか。
- NR はOFDMを使わず、3Gと同じ符号分割の方式に戻して設計されている
- LTE は上りも下りもOFDMAを使い、端末の送信方式も基地局と同じである
- NR はサブキャリア間隔を固定にし、LTE より設計の選択肢を少なくしている
- NR はサブキャリア間隔を複数から選べ、広げるほど1スロットの時間が短くなる
正解:4。NR は15kHz を基準に30kHz・60kHz・120kHz などのサブキャリア間隔を選べ、間隔を2倍にすると1スロットの時間は半分になります。
1は誤りで、NR もOFDMをベースにしています。2は、LTE の上りが SC-FDMA である点を取り違えています。3は逆で、固定だったのは LTE の側(15kHz が基本)であり、NR は選択肢を増やしています。
確認問題3:Release 15 の順番を答えられるか?
次の文の空欄 ア・イ に入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。
「3GPP では、LTE の基地局と組み合わせて使う( ア )の NR 仕様が2017年12月に先に承認され、その後、新しいコアネットワークと組み合わせる( イ )を含めた Release 15 が、5Gの最初の完全な仕様群となった。」
- ア:SA イ:NSA
- ア:NSA イ:SA
- ア:NSA イ:LTE-Advanced
- ア:LTE-Advanced イ:SA
正解:2。3GPP は、LTE をアンカーに使う NSA の NR 仕様を2017年12月に承認し、その後、NR と次世代のコア(5GC)を組み合わせる SA を含めて Release 15 を仕上げました。
1は NSA と SA の順番が逆です。3と4の LTE-Advanced は4Gの枠組みに当たる LTE の発展形で、Release 15 で追加された5Gの構成の名前ではありません。
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よくある質問
スマホに「5G」と出ていれば、必ず NR と 5GC を使っていますか?
そうとは限りません。NSA の構成では、NR の電波を使っていても、制御には LTE とそのコア(EPC)を使います。表示だけからコアの種類は判断できません。5G SAとNSAの違いで構成を整理しています。
5Gの速度や遅延の数値は覚える必要がありますか?
数値は、国際的な目標値、仕様上の最大値、実際のサービスの値で意味が変わります。試験対策では、まず eMBB・URLLC・mMTC の区別と、サブキャリア間隔と遅延の関係のような「理由」を説明できるようにしてください。数値を覚える場合は、何の値かと出典を一緒に確認します。
LTE と LTE-Advanced はどう違いますか?
LTE-Advanced は、キャリアアグリゲーションなどを加えて LTE を発展させたもので、3GPP の Release 10 以降に当たります。ITU-R の4Gの枠組み(IMT-Advanced)の対象は LTE-Advanced です。
出典・参考
- [1]MCPC モバイルシステム技術検定 2級(出題カテゴリの図)
- [2]3GPP Release 15
- [3]3GPP First NR specs & 5G system progress(NSA の承認と SA の予定)
- [4]3GPP Releases(各リリースの凍結時期)
- [5]3GPP 5G System Overview
- [6]3GPP Release 10(LTE-Advanced)
- [7]ITU-R IMT-2020(3つの利用シナリオ)
- [8]総務省 報道資料「5G国際シンポジウム2020」の開催(5Gの特長の説明)
- [9]総務省 電波利用ポータル 第4世代移動通信システム(4G)
- [10]総務省 電波利用ポータル ローカル5G(サブ6・ミリ波の説明)
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