この記事の要点
- セルは1つの基地局(アンテナ)が電波でカバーする範囲。ハンドオーバーは、通信中の端末の接続先を別のセルへ切り替えることです。
- 大きいマクロセルで面を覆い、利用者の多い場所に小さいスモールセルを重ねて容量を足すのが基本の構成です。
- 通信していない待ち受け中の移動は、ハンドオーバーではなくセル再選択と位置登録で扱います。主体(網か端末か)と状態(通信中か待ち受けか)で区別します。
- モバイル2級では出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります。記事の最後に独自の確認問題3問を置きました。
ハンドオーバーとセルとは?一言でいうと何のこと?
セルは「1つの基地局のアンテナが電波で受け持つ範囲」、ハンドオーバーは「通信を続けたまま、端末の接続先を今のセルから別のセルへ切り替える手順」です。携帯電話が「セルラー」と呼ばれるのは、サービス区域を多数のセルで細かく分けて覆う方式だからです。
セルを細かく分けると、離れたセルで同じ周波数を繰り返し使えるので、限られた周波数でも多くの利用者を収容できます。一方で、端末が移動すると接続すべきセルが変わるため、通信を途切れさせずに切り替える仕組み(ハンドオーバー)と、待ち受け中の端末の居場所をおおまかに把握する仕組み(位置登録)が必要になります。
| 仕組み | 端末の状態 | 切り替えを決める主体 | 目的 |
|---|---|---|---|
| ハンドオーバー | 通信中(接続状態) | 網(基地局)が、端末の測定報告をもとに決める | 通信を途切れさせずに接続先のセルを変える |
| セル再選択 | 待ち受け中(アイドル状態) | 端末が自分で選ぶ | 待ち受けるセルを電波のよいセルに変える |
| 位置登録 | 主に待ち受け中 | 端末が網に知らせる | 着信時に呼び出す範囲を網が把握する |
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4択で最も多く混ざりやすいのが、この3つの取り違えです。「通信中か、待ち受け中か」「決めるのは網か、端末か」の2つの問いで、選択肢の説明がどれに当たるかを判断できます。
セルはどう組み合わせる?マクロセルとスモールセルの違い
マクロセルは、鉄塔やビルの屋上などに置いた送信出力の大きい基地局が受け持つ、広いセルです。面としてのカバー(どこでもつながる)を担います。スモールセルは、送信出力の小さい基地局が受け持つ狭いセルで、駅や商業施設、屋内など利用者の集中する場所に置いて容量を足します。
大小のセルを重ねて使う構成はヘテロジニアスネットワーク(HetNet)と呼ばれます。小さいセルほど1つのセルを利用する人が少なくなるので、1人あたりに使える無線資源が増えます。ただし、セルが小さいほど端末は短い時間でセルの境界を越えるため、ハンドオーバーの回数が増えます。
1つの基地局のアンテナを方向ごとに分けて、複数のセクタとして運用することも一般的です。試験で「セル」と「セクタ」が並んだら、セクタは基地局のまわりを方向で区切った単位だと整理しておきましょう。
| 観点 | マクロセル | スモールセル |
|---|---|---|
| カバーする範囲 | 広い | 狭い |
| 基地局の送信出力 | 大きい | 小さい |
| 主な役割 | 面としてのカバーを確保する | 混雑する場所の容量を増やす |
| 置く場所の例 | 鉄塔・ビル屋上 | 駅・商業施設・屋内 |
| 移動との関係 | 境界を越える頻度が低い | 境界を越える頻度が高く、ハンドオーバーが増える |
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ハンドオーバーはどう進む?位置登録とは何が違う?
LTE を例に、通信中の端末が隣のセルへ移るときの流れを当サイトで簡略化すると、次のようになります(3GPP TS 36.300・TS 36.331 の考え方をもとに整理、確認 2026-09-27)。
- 端末が、今のセルと周りのセルの受信品質を測る
- 条件(例:隣のセルが一定以上よくなった)を満たすと、端末が測定結果を基地局へ報告する
- 今の基地局が切り替えを判断し、移動先の基地局に受け入れの準備を依頼する
- 端末に切り替えを指示し、端末が移動先のセルへ接続し直す
- 通信の経路を移動先の基地局側へ付け替え、元の基地局の資源を解放する
LTE のハンドオーバーは、元のセルとの接続を切ってから新しいセルにつなぐハードハンドオーバーです。第3世代の W-CDMA では、複数の基地局と同時につながりながら切り替えるソフトハンドオーバーが使われていました。世代による違いとして対比しておくと、選択肢の見分けに役立ちます。
LTE では、基地局どうしが X2 インタフェースで直接やりとりする方法と、コアネットワークの MME を経由する S1 の方法があります。5G NR では同じ役割を Xn と N2 が担います(3GPP TS 36.300 / TS 38.300、確認 2026-09-27)。コアネットワーク側の装置はEPCとはと5GCとはで解説しています。
一方、待ち受け中の端末はセルを移るたびに網へ知らせるわけではありません。複数のセルをまとめたトラッキングエリアの単位で居場所を登録し(LTE の位置登録=トラッキングエリア更新)、着信があると網はそのエリアのセルで一斉に端末を呼び出します(ページング)。登録するエリアを細かくすると呼び出しの範囲は狭くなりますが、位置登録の回数が増える、というトレードオフがあります(3GPP TS 23.401、確認 2026-09-27)。
5G NR では、接続状態と待ち受け状態の中間にあたる RRC_INACTIVE という状態も加わりました。端末の情報を網に残したまま無線の接続を休ませ、素早く通信に戻れるようにする状態です(3GPP TS 38.300、確認 2026-09-27)。
モバイル2級ではどこで、どう問われる?
モバイル2級の出題カテゴリでは「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります(MCPC 公式ページの図で確認、2026年9月時点)。100問なら約15問の枠です。
公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の章立てでは、第3章「無線アクセスネットワーク技術」の範囲と当サイトは見ています。章とカテゴリの対応は当サイトの推定です。出題の頻度や配点は公表されていないため、以下は4択で問われうる観点を当サイトが整理したものです。
- ハンドオーバー・セル再選択・位置登録の区別(通信中か待ち受け中か、主体はどちらか)
- マクロセルとスモールセルの役割と、セルを小さくしたときの利点と課題
- ハードハンドオーバーとソフトハンドオーバーの違い(世代との対応)
- トラッキングエリアとページングの関係、エリアの大きさのトレードオフ
- LTE の X2・S1、5G の Xn・N2 など、切り替えに使うインタフェースの名前
どこで取り違えやすい?つまずき別の整理
選択肢で迷ったときに見直す点を、つまずき別にまとめました。
| よくある取り違え | 正しい整理 | 見分けるポイント |
|---|---|---|
| 待ち受け中にセルを移るのもハンドオーバー | 待ち受け中はセル再選択。ハンドオーバーは通信中の切り替え | 通信中かどうか |
| ハンドオーバーは端末が自分で決める | 接続状態では、端末の測定報告をもとに網(基地局)が決める | 決めるのは網、材料を出すのが端末 |
| セルを移るたびに位置登録する | 位置登録はトラッキングエリアの単位で行う | セルよりも大きい単位 |
| LTEもソフトハンドオーバー | LTEはハードハンドオーバー。ソフトはW-CDMAなどCDMA系 | 同時に2つにつながるかどうか |
| スモールセルは面のカバーを広げる | スモールセルは混雑地点の容量を足す。面はマクロセル | 小さいセル=容量、大きいセル=カバー |
| 位置登録エリアは小さいほどよい | 小さいと呼び出し範囲は狭いが、登録の回数が増える | 片方だけ得をする設計はない |
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確認問題1:ハンドオーバーの説明として正しいのは?
(当サイトの独自問題)LTE におけるハンドオーバーの説明として、最も適切なものはどれか。
- 通信中の端末の測定報告をもとに網が判断し、接続先のセルを別のセルへ切り替える
- 待ち受け中の端末が自分で判断し、待ち受けるセルを電波のよいセルへ切り替える
- 待ち受け中の端末が網に知らせ、自分がいるトラッキングエリアの情報を更新する
- 着信があったときに網が一斉に信号を送り、エリア内の端末を探して呼び出す
正解:1。ハンドオーバーは通信中(接続状態)の切り替えで、端末の測定報告をもとに網(基地局)が判断します。
2:待ち受け中に端末が自分で選ぶのはセル再選択です。3:トラッキングエリアの情報を更新するのは位置登録です。4:着信時にエリア内で端末を呼び出すのはページングです。
確認問題2:位置登録のエリアを細かくするとどうなる?
(当サイトの独自問題)位置登録の単位となるエリアを、今より細かく(1エリアあたりのセル数を少なく)した場合の影響として、最も適切なものはどれか。
- 呼び出しの範囲も位置登録の回数も減り、網の負担がどちらの面でも軽くなる
- 呼び出しの範囲が広がる一方で、端末が位置登録を行う回数は減る
- 呼び出しの範囲は狭くなる一方で、端末が位置登録を行う回数は増える
- 呼び出しの範囲は変わらず、ハンドオーバーの回数だけが大きく増える
正解:3。エリアが細かいほど着信時に呼び出すセルは少なくて済みますが、端末はエリアの境界を越えやすくなり、位置登録が増えます。
1:両方が同時に減ることはなく、トレードオフの関係です。2:影響の向きが逆です。4:位置登録のエリアは待ち受け中の話で、通信中の切り替えであるハンドオーバーの回数を直接決めるものではありません。
確認問題3:スモールセルを置く主な目的は?
(当サイトの独自問題)マクロセルの範囲内にスモールセルを重ねて置く主な目的として、最も適切なものはどれか。
- マクロセルの送信出力を下げて、面としてのサービス区域を小さくするため
- 利用者の集中する場所の容量を増やし、1人あたりの無線資源を増やすため
- 端末が境界を越える頻度を下げて、ハンドオーバーの回数を減らすため
- 待ち受け中の端末の位置登録を不要にして、網の信号を減らすため
正解:2。スモールセルは、駅や商業施設など利用者の集中する場所の容量を足すために置きます。
1:面のカバーはマクロセルが引き続き担います。区域を小さくすることが目的ではありません。3:セルが小さいほど境界を越える頻度は上がり、ハンドオーバーは増える方向です。4:スモールセルを置いても位置登録の仕組みはなくなりません。
読んだあと、次に何をすればいい?
「通信中はハンドオーバー、待ち受け中はセル再選択と位置登録」を即答できたら、似た説明が並ぶ4択で確かめます。モバイル2級の無料お試し20問は登録不要で、公式カテゴリの比率に合わせた問題と全問の解説を確認できます。
ハンドオーバーや位置登録を裏で支えるのはコアネットワークです。LTE のEPCとはで MME の役割を、5G の5GCとはで AMF の役割を確認すると、無線と網のつながりが見えてきます。世代ごとの無線の違いはLTEと5G NRの違い、試験全体はモバイル2級の試験概要へ。
よくある質問
ハンドオーバーの判断は、端末と基地局のどちらがしますか?
接続状態(通信中)の LTE・5G では、端末が周りのセルの受信品質を測って報告し、その報告をもとに基地局側が判断して指示します。待ち受け中のセル再選択は、端末が自分で決めます。
「位置登録」と「ハンドオーバー」は同時に起きることがありますか?
目的と状態が違う別の手順です。位置登録は主に待ち受け中の端末の居場所をエリア単位で網に知らせるもので、ハンドオーバーは通信中の接続先の切り替えです。4択では、この2つを入れ替えた説明が誤りの選択肢になりやすいので注意してください。
マクロセルやスモールセルの半径の数値は覚える必要がありますか?
セルの大きさは周波数・地形・基地局の出力で大きく変わり、一律の数値はありません。この記事では、確認できた一次資料がないため具体的な数値は示していません。役割(カバーか容量か)で覚えるのがおすすめです。
出典・参考
- [1]MCPC モバイルシステム技術検定 2級(出題カテゴリの図、確認 2026-09-27)
- [2]3GPP TS 36.300 E-UTRA and E-UTRAN Overall description(確認 2026-09-27)
- [3]3GPP TS 36.331 E-UTRA Radio Resource Control (RRC)(確認 2026-09-27)
- [4]3GPP TS 38.300 NR and NG-RAN Overall description(確認 2026-09-27)
- [5]3GPP TS 23.401 GPRS enhancements for E-UTRAN access(確認 2026-09-27)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
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