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共通鍵暗号と公開鍵暗号の違い|2級の要点

共通鍵暗号と公開鍵暗号の違いを、鍵の数・処理速度・用途の比較表で整理。ハイブリッド暗号とハッシュの役割、モバイル2級で取り違えやすい鍵の向き、独自の確認問題3問で理解を確かめられます。

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執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • 共通鍵暗号は暗号化と復号に同じ鍵を使う方式、公開鍵暗号は公開してよい鍵と本人だけが持つ鍵の組を使う方式です。
  • 共通鍵暗号は速いが鍵を安全に渡すのが難しく、公開鍵暗号は鍵を渡しやすいが処理が重い。実際の通信は両方を組み合わせる(ハイブリッド暗号)。
  • 機密を守る暗号化は「受信者の公開鍵で暗号化」、なりすましを防ぐ署名は「送信者の秘密鍵で署名」。鍵の向きが逆になる点が一番の取り違えどころです。
  • モバイル2級では、出題カテゴリ「情報セキュリティ管理」(公式の比率は9%)に当たる範囲として押さえます。

共通鍵暗号と公開鍵暗号は、ひと言でいうと何が違うのか?

一言でいうと、共通鍵暗号は「送る側と受ける側が同じ鍵を持つ」方式、公開鍵暗号は「誰に知られてもよい公開鍵と、本人だけが持つ秘密鍵を組で使う」方式です。共通鍵暗号は対称鍵暗号、公開鍵暗号は非対称鍵暗号とも呼ばれます。

共通鍵暗号の代表は AES です。米国標準技術研究所(NIST)の FIPS 197 は、AES-128・AES-192・AES-256 の3種類を定め、いずれも128ビット単位のブロックでデータを変換し、数字は鍵の長さを表すとしています(FIPS 197 は2001年11月に公表、2023年5月に表記を改めた版が出ています)。

公開鍵暗号の代表は RSA と楕円曲線暗号です。公開鍵から秘密鍵を計算で求めることが、現実的な時間では難しいことを安全性の根拠にしています。日本の政府機関が調達時に参照する暗号の一覧として CRYPTREC 暗号リストがあり、直近の改定は2026年3月30日です(2026年9月時点)。

鍵の数・速度・用途はどう違うのか?

4択では、方式の性質を入れ替えた記述が誤りの選択肢になりやすいため、次の観点をセットで覚えておくと判断が速くなります。表は一般的な性質を当サイトが整理したものです。

共通鍵暗号と公開鍵暗号の比較(当サイトの整理)
観点共通鍵暗号公開鍵暗号
使う鍵暗号化と復号で同じ鍵公開鍵と秘密鍵の組(片方で暗号化、もう片方で復号)
n人が互いに通信するときの鍵の数n(n−1)/2 個(相手ごとに別の鍵)2n 個(1人1組)
処理の速さ速い。大きなデータの暗号化に向く遅い。短いデータや鍵の受け渡しに向く
主な課題鍵を相手へ安全に渡す方法(鍵配送)公開鍵が本当に本人のものかの確認
主な用途通信内容・保存データの暗号化鍵の受け渡し、デジタル署名
代表的な方式AES などRSA、楕円曲線暗号など

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鍵の数は計算で問われても対応できるようにしておきます。10人の場合、共通鍵暗号では 10×9÷2=45個、公開鍵暗号では 10×2=20個です。人数が増えるほど差が開くのは、共通鍵暗号が「2人の組ごと」に鍵を必要とするためです。

公開鍵暗号の課題である「その公開鍵は本当に相手のものか」を解決するのが電子証明書と認証局の仕組みです。詳しくは電子証明書とPKIとはで解説しています。

ハイブリッド暗号とハッシュは、どう組み合わさるのか?

実際の通信では、両方式の長所を組み合わせます。公開鍵暗号の仕組みを使って共通鍵を安全に共有し、本文は速い共通鍵暗号で暗号化するのがハイブリッド暗号の考え方です。Web の暗号化通信で使う TLS もこの組み合わせで、TLS 1.3 では鍵共有に Diffie-Hellman 型の方式を使います。流れはTLSとはで図解しています。

もう一つ混同しやすいのがハッシュ関数です。ハッシュ関数は任意の長さのデータから固定長の値(ハッシュ値)を作る関数で、元に戻すための鍵がなく、復号という操作もありません。データが1ビットでも変わるとハッシュ値が大きく変わる性質を、改ざんの検知に使います。

デジタル署名は、ハッシュと公開鍵暗号の組み合わせです。送信者は本文のハッシュ値を自分の秘密鍵で署名し、受信者は送信者の公開鍵で署名を検証して、本文から計算したハッシュ値と照らし合わせます。

目的別に、どちらの鍵を使うか(当サイトの整理)
目的送る側が使う鍵受ける側が使う鍵守れるもの
機密を守る(公開鍵暗号で暗号化)受信者の公開鍵受信者の秘密鍵受信者以外に読まれないこと
送信者を確かめる(デジタル署名)送信者の秘密鍵送信者の公開鍵なりすましと改ざんの検知
本文を速く暗号化する共有した共通鍵同じ共通鍵通信内容の機密

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将来の量子計算機への備えとして、NIST は2024年8月に格子暗号を使う鍵カプセル化方式 ML-KEM を FIPS 203 として公表しました。量子計算機に対しても安全と考えられている方式で、鍵の受け渡しの部分を置き換える候補です。

モバイル2級ではどの範囲で、どう問われそうか?

MCPC の公式ページでは、モバイルシステム技術検定2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリに「情報セキュリティ管理」があり、比率は9%と示されています(2026年9月27日確認)。100問なら9問程度の計算です。当サイトでは、公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の第11章「情報セキュリティ」がこの範囲に当たると推定しています(章名から当サイトが判断した対応で、公式の発表ではありません)。

4択では、次のような観点が考えられます。出題頻度は公表されていないので、特定の型が多いとは言えません。

  • 方式の性質:鍵の数、処理の速さ、鍵配送の課題を入れ替えた記述を見抜かせる。
  • 鍵の向き:暗号化と署名で、誰のどちらの鍵を使うかを選ばせる。
  • 計算:人数から必要な鍵の数を求めさせる。
  • 用語の区別:ハッシュ関数を暗号化と同じものとして扱う記述を不適切として選ばせる。

試験全体の形式・日程・受検料はモバイルシステム技術検定2級とはにまとめています。

どこで取り違えやすいのか?

選択肢を読むとき、次の表の「確認する問い」を当てはめると、入れ替えに気付きやすくなります。

つまずき別の見直し表
取り違え正しい考え方確認する問い
公開鍵暗号のほうが速い処理が重いのは公開鍵暗号。本文の暗号化は共通鍵暗号大きなデータを何で暗号化しているか
暗号化は送信者の秘密鍵で行う機密のための暗号化は受信者の公開鍵で行う目的は機密か、送信者の確認か
署名は受信者の公開鍵で作る署名は送信者の秘密鍵で作り、送信者の公開鍵で検証する署名できるのは誰だけか
ハッシュ値は鍵で復号できるハッシュは一方向で、復号の操作がない元に戻す鍵が存在するか
公開鍵暗号なら鍵の問題はない公開鍵が本人のものかを証明書で確かめる必要があるその公開鍵を誰が保証しているか
共通鍵暗号の鍵は人数分でよい2人の組ごとに必要で n(n−1)/2 個鍵を共有している組は何通りか

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確認問題1:必要な鍵の数を計算できるか?

10人のグループで、どの2人の間の通信もほかの8人に読まれないよう、共通鍵暗号だけで暗号化したい。必要な共通鍵の数として、正しいものはどれか。

  1. 10個
  2. 20個
  3. 45個
  4. 90個

正解:3。共通鍵は2人の組ごとに1つ必要なので、10人から2人を選ぶ組の数 10×9÷2=45個です。

1は1人に1つと数えた場合で、同じ鍵を持つ相手が複数いると他の組の通信を読めてしまいます。2は公開鍵暗号で1人1組を用意した場合の数です。4は同じ組を「AとB」「BとA」の2回数えた場合の数です。

確認問題2:暗号化に使う鍵を選べるか?

A さんが B さんに機密の文書を送る。公開鍵暗号を使い、B さん以外には読めないように暗号化するとき、A さんが暗号化に使う鍵として、正しいものはどれか。

  1. B さんの公開鍵
  2. B さんの秘密鍵
  3. A さんの公開鍵
  4. A さんの秘密鍵

正解:1。B さんの公開鍵で暗号化すると、対になる B さんの秘密鍵を持つ B さんだけが復号できます。

2は B さん本人しか持っていない鍵なので、A さんは使えません。3で暗号化すると、復号できるのは A さん自身になります。4で処理したデータは A さんの公開鍵で誰でも元に戻せるため、機密を守れません(送信者の確認に使う署名の考え方です)。

確認問題3:暗号とハッシュの説明を見分けられるか?

暗号とハッシュに関する記述として、最も適切なものはどれか。

  1. ハッシュ関数の出力は、正しい鍵を使えば元のデータに復号できる
  2. ハイブリッド暗号では、本文を公開鍵暗号、鍵を共通鍵暗号で送る
  3. デジタル署名は、送信者が受信者の公開鍵を使って作成するものである
  4. 共通鍵暗号は同じ鍵で暗号化と復号を行うため、鍵の受け渡しが課題になる

正解:4。共通鍵暗号は相手と同じ鍵を持つ必要があり、その鍵を盗まれずに渡す方法が課題になります。

1はハッシュ関数が一方向の関数で、復号の操作がない点で誤りです。2は役割が逆で、本文を速い共通鍵暗号で暗号化し、その鍵の共有に公開鍵暗号の仕組みを使います。3は署名に使う鍵が誤りで、署名は送信者の秘密鍵で作り、送信者の公開鍵で検証します。

同じ章の範囲をほかの用語でも試したい場合は、登録不要のモバイル2級の無料お試し20問で、本番と同じ4択の形式と解説を確認できます。

よくある質問

公開鍵暗号があれば、共通鍵暗号は不要ではありませんか?

公開鍵暗号は処理が重く、大きなデータをそのまま暗号化するのには向きません。そのため実際の通信では、公開鍵暗号の仕組みで共通鍵を共有し、本文は共通鍵暗号で暗号化する組み合わせが使われます。

「暗号化は公開鍵、署名は秘密鍵」と覚えてよいですか?

覚え方としては使えますが、「誰の鍵か」を落とすと誤答します。暗号化は受信者の公開鍵、署名は送信者の秘密鍵です。目的(機密を守るのか、送信者を確かめるのか)から考えると迷いにくくなります。

量子計算機が実用化されると、今の暗号はすべて使えなくなるのですか?

影響の大きさは方式によって異なり、特に RSA や楕円曲線暗号のような公開鍵暗号への影響が懸念されています。そのため NIST は ML-KEM(FIPS 203)などの新しい方式を標準化しました。移行の時期や範囲は方式と用途ごとに検討が進んでいる段階です。

出典・参考

  1. [1]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと比率、確認 2026-09-27)
  2. [2]MCPC 公式テキスト(モバイルシステム技術テキスト 第11版、確認 2026-09-27)
  3. [3]NIST FIPS 197 Advanced Encryption Standard (AES)(確認 2026-09-27)
  4. [4]NIST FIPS 203 Module-Lattice-Based Key-Encapsulation Mechanism Standard(確認 2026-09-27)
  5. [5]CRYPTREC 暗号リスト(確認 2026-09-27)

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