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TCPとUDPの違い|モバイル2級で問われる点

TCPとUDPの違いを接続・再送・順序・ヘッダの比較表で整理。QUICがUDPを使う理由、モバイル2級で取り違えやすい点、全選択肢に解説をつけた独自の確認問題3問で理解を確かめられます。

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執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • TCPは「接続してから送り、欠けたら再送し、順番どおりに渡す」コネクション型。UDPは「接続せずにすぐ送る」コネクションレス型。仕様はTCPがRFC 9293、UDPがRFC 768(2026年9月確認)。
  • 違いは 接続の確立・再送・順序・ヘッダの大きさ(最小20バイト対8バイト) の4点で押さえると、4択の言い換えに強くなります。
  • HTTP/3が使うQUICはUDPの上で再送と暗号化を自前で行います。「UDPでは信頼できる通信は作れない」は誤りです。
  • モバイル2級では出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(公式の出題比率15%)に当たる範囲です。出題頻度は公表されていません。

TCPとUDPは、一言でいうと何が違う?

TCP(Transmission Control Protocol)は、相手と接続を確立し、届かなかったデータを再送して順番どおりに渡すトランスポート層のプロトコルです。UDP(User Datagram Protocol)は、接続を確立せずにデータグラムを送り出す、機能を絞った軽いプロトコルです。

どちらもIPの上で動き、ポート番号で通信相手のアプリを区別する点は同じです。違うのは「届いたかどうかの面倒をプロトコル自身が見るか、上のアプリに任せるか」という役割分担です。TCPは確認と再送の手間をかける代わりに、アプリが欠落を気にせずに済みます。UDPは手間を省く代わりに、必要な確認はアプリ側で行います。

現行の仕様は、TCPが2022年8月発行のRFC 9293(1981年のRFC 793などを置き換えたもの)、UDPが1980年8月発行のRFC 768です。RFC 9293はTCPを「信頼性があり、順序どおりの、バイトストリーム」を提供するものと位置づけています。この「バイトストリーム」という性質は後の表と確認問題で使うので、覚えておいてください。

接続・再送・順序・用途は、表にするとどう違う?

RFC 9293・RFC 768 をもとに当サイトが整理(2026年9月確認)
観点TCPUDP
接続送る前に3ウェイハンドシェイク(SYN → SYN/ACK → ACK)で接続を確立する接続の確立はない。最初のデータからいきなり送る
到達確認と再送シーケンス番号と確認応答(ACK)で欠落を見つけ、再送する行わない。届いたかどうかをUDP自身は確かめない
順序受信側で並べ直してからアプリに渡す保証しない。届いた順にアプリへ渡る
データの単位バイトストリーム。送信側の書き込みの区切りは保たれないデータグラム単位。1回の送信が1つのまとまりになる
流量の調整ウィンドウによるフロー制御と、輻輳制御があるない。必要ならアプリ側で調整する
ヘッダ最小20バイト8バイト(送信元ポート・宛先ポート・長さ・チェックサムの4項目)
主な用途の例Web(HTTP/1.1・HTTP/2)、メール、ファイル転送DNSの問い合わせ、音声・映像のリアルタイム伝送(RTP)、QUIC(HTTP/3)

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用途の欄は「必ずそうなる」という意味ではありません。たとえばDNSはUDPだけで動くと覚えがちですが、RFC 7766(2016年3月)は汎用のDNS実装にUDPとTCPの両方への対応を求めています。「DNSはTCPを使わない」と言い切る選択肢があれば、疑ってよい部分です。

リアルタイムの音声や映像でUDPが選ばれるのは、遅れて届いたデータが役に立たないからです。再送を待っている間に再生のタイミングが過ぎてしまえば、その断片は捨てるしかありません。RTP(RFC 3550)も、多くの場合UDPの上で使われると仕様に書かれています。

HTTP/3のQUICは、なぜTCPではなくUDPを使うの?

QUIC(RFC 9000、2021年5月)は、QUICパケットをUDPデータグラムの中に入れて運びます。再送・順序制御・フロー制御はQUIC自身が行い、暗号化にはTLS 1.3を組み込んでいます(RFC 9001)。つまり UDPの上に、TCPとTLSが担っていた仕事を作り直した 形です。

UDPを土台にする利点は、次の3つに整理できます。

  • 既存のネットワークを通しやすい:新しいトランスポートプロトコル番号を使うより、広く通っているUDPに載せたほうが、途中の機器に止められにくい。RFC 9000も、既存ネットワークへの展開を容易にするためにUDPに入れると説明しています。
  • 1つの欠落が全体を止めない:TCPはバイトストリームなので、1か所が欠けると後ろのデータも待たされます。QUICはストリームごとに再送と順序制御を行うため、影響をそのストリームに閉じ込められます(HTTP/3のRFC 9114が、HTTP/2の弱点として説明している点です)。
  • IPアドレスが変わっても続けられる:QUICは接続をコネクションIDで識別します。Wi-Fiからモバイル回線に切り替わってアドレスが変わっても、同じ接続として通信を続けられます(RFC 9000の版では、移動できるのはクライアント側)。

HTTPのバージョンとの関係は「HTTP/1.1とHTTP/2はTCPの上、HTTP/3はQUICの上、QUICはUDPの上」と一続きで覚えると混乱しません。HOLブロッキングの詳しい違いはHTTP/2とHTTP/3(QUIC)の違いで整理しています。

モバイル2級では、どの範囲でどう問われる?

TCPとUDPは、モバイル2級の出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」に当たります。MCPCの試験ページの図では、このカテゴリの出題比率は15%です(2026年9月27日確認)。100問・100分の試験なので、カテゴリ全体で15問前後という目安になりますが、その中でTCPとUDPが何問あるかは公表されていません。

公式テキスト(モバイルシステム技術テキスト第11版)の目次では、第5章「インターネット基盤技術」が近い範囲です。ただし章と出題カテゴリの対応は当サイトの推定で、当サイトが使っているのは目次の章名だけです。テキストの本文や公式サンプル問題の文は使っていません。

4択でどう確かめられるかは公表されていないため、以下は当サイトが想定している形です。

  • 説明文から名称を選ぶ:「接続を確立してから送る」「到達確認をしない」といった説明に当てはまるプロトコルを選ぶ。
  • 用途との組合せ:Web閲覧・音声通話・名前解決などと、使われるプロトコルの組合せを選ぶ。
  • 適切でない記述を選ぶ:「のみ」「必ず」「常に」で言い切った記述の誤りを見抜く。
  • 上位プロトコルとの関係:HTTP/3やCoAPのようにUDPの上で動くプロトコルを、TCPと取り違えさせる。

IPの層の違いはIPv4とIPv6の違い、IoTでUDPの上に載るプロトコルの例はCoAPの解説で確認できます。試験全体の形式はモバイルシステム技術検定2級の概要にまとめています。

TCPとUDPで、間違えやすいのはどこ?

当サイトの学習用の整理。公式の出題傾向を示すものではありません
取り違えやすい記述正しい整理見分けるコツ
UDPでは信頼できる通信は作れないUDP自体は再送しないが、QUICのように上の層で再送や順序制御を作れる「UDP自体は」か「UDPを使う仕組み全体は」かを読む
TCPは送信側の区切りを保って届けるTCPはバイトストリーム。区切りはアプリ側(HTTPのヘッダなど)で表す「データグラム」はUDPの側の言葉
DNSはUDPだけを使う汎用のDNS実装はUDPとTCPの両方への対応が必要(RFC 7766)「だけ」「必ず」の言い切りに注意
UDPも3ウェイハンドシェイクで接続する接続を確立するのはTCP。UDPには接続の手順がないSYN・ACKが出たらTCPの話
ポート番号を持つのはTCPだけUDPヘッダにも送信元・宛先のポート番号があるUDPヘッダの4項目を言えるようにする
HTTP/3はTCPの上で動くHTTP/3はQUICの上、QUICはUDPの上で動くTCPを使うのはHTTP/2まで、と区切る
TCPのほうが常に遅い確認や再送の分だけ待ちは生じうるが、速さは回線と用途で変わる「常に」で比べる記述は条件を確かめる

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確認問題1:TCPの説明として最も適切なものは?

次のうち、TCPの説明として最も適切なものを選んでください。

  1. 送る前に接続を確立し、欠落したデータを再送して順序どおりに届ける
  2. 接続を確立せず、データグラム単位で送り出して到達の確認は行わない
  3. ヘッダは8バイトで、送信元・宛先のポート、長さ、チェックサムからなる
  4. 暗号化とストリーム多重化を内蔵し、UDPデータグラムに入れて運ばれる

正解:1。TCPは3ウェイハンドシェイクで接続を確立し、シーケンス番号と確認応答で欠落を見つけて再送し、順序どおりにアプリへ渡します(RFC 9293)。

2は接続を確立しない・到達確認をしないという点でUDPの説明です。3もUDPのヘッダの説明で、TCPのヘッダは最小でも20バイトあります。4はQUICの説明です。QUICは暗号化(TLS 1.3)とストリーム多重化を内蔵し、UDPの上で動きます。

確認問題2:TCPとUDPについて適切でない記述は?

TCPとUDPに関する次の記述のうち、適切でないものを選んでください。

  1. UDPのヘッダにも、送信元と宛先のポート番号が含まれている
  2. TCPでは受信側が確認応答を返し、届かなかった部分は再送される
  3. DNSの実装はUDPにだけ対応すればよく、TCPを使う場面はない
  4. リアルタイムの音声では、再送より遅延の小ささを優先してUDPが使われる

正解:3。RFC 7766は、汎用のDNS実装はUDPとTCPの両方に対応しなければならないとしています。問い合わせの多くがUDPで行われることと、「TCPを使う場面はない」ことは別の話です。

1は適切です。UDPヘッダの4項目のうち2つが送信元ポートと宛先ポートです。2も適切で、確認応答と再送はTCPの信頼性の中心です。4も適切です。遅れて届いた音声は再生に間に合わないため、再送を待たないUDPが向いています。

確認問題3:QUICが接続を続けるための仕組みは?

スマートフォンがWi-Fiからモバイル回線に切り替わり、IPアドレスが変わりました。このときQUICが同じ接続として通信を続けるために使う仕組みはどれでしょうか。

  1. 送信元ポート番号
  2. コネクションID
  3. シーケンス番号
  4. 3ウェイハンドシェイク

正解:2。QUICは接続をコネクションIDで識別するため、下の層のIPアドレスやポートが変わっても、同じ接続のパケットだと判断できます(RFC 9000。この版で移動できるのはクライアント側)。

1のポート番号は、アドレスと同じく途中の機器(NATなど)で変わることがあり、接続を識別する目印になりません。3のシーケンス番号は、データの順序と欠落を管理するためのTCPの仕組みです。4の3ウェイハンドシェイクはTCPの接続を確立する手順で、アドレスが変わった通常のTCPは接続を張り直すことになります。

確認問題を解いたら、次に何をする?

3問のうち迷ったものがあれば、比較表の該当する行に戻って「どの言葉で見分けたか」を1行メモしておくと、別の言い回しで出されたときにも使えます。

本番と同じ4択の形式で、ほかの分野と混ぜて解いてみたい場合は、モバイル2級の無料お試し20問が登録不要で使えます。公式の出題比率に合わせた20問で、全問に解説がついています。

関連する用語は、HTTP/2とHTTP/3(QUIC)の違い、IPv4とIPv6の違いの順に読むと、IP→トランスポート→アプリケーションの流れで整理できます。

よくある質問

TCPとUDPは、OSI参照モデルのどの層ですか?

どちらもトランスポート層(第4層)です。下のネットワーク層のIPの上で動き、上のアプリケーション層(HTTPやDNSなど)にデータを渡します。QUICはUDPの上で動きますが、トランスポートの機能を担うため、層の分け方は説明する資料によって異なります。

「UDPは信頼性が低い」と覚えてよいですか?

「UDP自体は到達確認や再送をしない」という意味ならそのとおりです。ただし、UDPの上で再送や順序制御を行うQUICのような仕組みもあるため、「UDPを使う通信はすべて信頼性がない」とまで言い切るのは誤りです。

RFCの番号まで覚える必要はありますか?

出題の細かさは公表されていないため断定できません。当サイトとしては、まず接続・再送・順序・ヘッダの違いを説明できるようにし、RFCの番号は余裕があれば、という順番を勧めます。

出典・参考

  1. [1]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと出題比率の図、2026年9月27日確認)
  2. [2]MCPC 公式テキストの案内(モバイルシステム技術テキスト第11版、2026年9月27日確認)
  3. [3]RFC 9293: Transmission Control Protocol (TCP)(2022年8月)
  4. [4]RFC 768: User Datagram Protocol(1980年8月)
  5. [5]RFC 9000: QUIC: A UDP-Based Multiplexed and Secure Transport(2021年5月)
  6. [6]RFC 9114: HTTP/3(2022年6月)
  7. [7]RFC 7766: DNS Transport over TCP - Implementation Requirements(2016年3月)
  8. [8]RFC 3550: RTP: A Transport Protocol for Real-Time Applications(2003年7月)

本番と同じペースで腕試し

記事の次は、本番形式の問題で。

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