この記事の要点
- 第12章は1級のモバイルシステム科目に当たり、12節で12の法令・制度を扱います(テキストの目次)。電波法・電気通信事業法、個人情報保護法・Pマーク、著作権法、特定商取引法、取引透明化法、電子契約法、電子署名法、資金決済法、迷惑メール対策法、不正アクセス禁止法、携帯電話不正利用防止法、刑法(サイバー犯罪)です。
- 法令ごとに「誰に」「何を義務づけ/禁止し」「違反するとどうなるか」の3点で覚えると、選択肢の入れ替えに強くなります。
- テキストは2023年4月末時点の情報です。その後、外部送信規律の施行(2023年6月16日)、拘禁刑の導入(2025年6月1日)、スマホソフトウェア競争促進法の全面施行(2025年12月18日)、携帯電話のオンライン契約でのICチップ読み取りの原則化(2026年4月1日)などがありました(2026年9月27日確認)。
- この記事の条文と法令番号は e-Gov 法令検索の現行版で確かめたものです。法令の解釈の最終判断は、所管省庁の公表資料や専門家に確認してください。
第12章は、どの科目のどこに当たる?
1級の公式テキストは『モバイルシステム技術テキスト エキスパート編 第9版』(リックテレコム、2023年7月中旬発行、定価5,060円(税込)、ISBN 978-4-86594-367-2)です。出版社ページに第10版の告知は見当たりません(2026年9月27日確認)。記載内容は2023年4月末時点の情報とテキストにあります。改版の有無は公式発表を確認してください。
テキストの第2〜4章がネットワーク科目、第5〜8章が端末・アプリケーション科目、第9〜12章がモバイルシステム科目に当たると当サイトは整理しています(第1章は出題範囲外と当サイトは判断していますが、推定です)。MCPC の1級ページでは、モバイルシステム科目の範囲に「モバイルシステム関連の法制度」が明記されています。試験は1科目43問・60分の4択で、章ごとの出題数は公式に公表されていません(2026年9月27日確認)。
この記事で使うのはテキストの目次(章・節の見出し)だけです。本文・図表・サンプル問題は使っていません。法令の全体像は1級の法制度まとめでも整理します。
2級から、どこが深くなる?
2級のテキスト(第11版)の章見出しには、法制度を独立して扱う章はありません(リックテレコムの目次、2026年9月27日確認)。2級では、技適マークや個人情報の扱いなどを、技術やサービスの話の中で断片的に学んだ人が多いはずです。1級の第12章では、モバイルのサービスを作って提供する事業者として、どの法令のどの義務がかかるかを条文の単位で押さえることが求められる、と当サイトは見ています。
土台として、技適と電波法は電波法と技適マーク、個人情報は個人情報保護法の要点、利用者保護は電気通信事業法の消費者保護ルールで確認できます。
12の法令の要点は?
節の見出しはテキストの目次、法令番号と条文の要点は e-Gov 法令検索の現行版(2026年9月27日確認)です。条文の要点は当サイトが短くまとめたもので、条文そのものではありません。
| 節 | 法令(法令番号) | 押さえる要点 |
|---|---|---|
| 12-1 | 電波法(昭和25年法律第131号)/電気通信事業法(昭和59年法律第86号) | 無線局の開設は原則として総務大臣の免許が要る(電波法第4条)。通信の秘密の保護(事業法第4条)、利用者の情報を外部に送らせる場合の通知・公表(事業法第27条の12) |
| 12-2 | 個人情報保護法(平成15年法律第57号)/プライバシーマーク | 個人データの漏えい等で個人の権利利益を害するおそれが大きい事態は、委員会への報告が要る(第26条)。Pマークは JIPDEC が JIS Q 15001 にもとづく基準で付与し、有効期間は2年 |
| 12-3 | 著作権法(昭和45年法律第48号) | 著作物に表現された思想・感情を享受しない目的の利用(AIの学習など)は、必要な限度で認められる。ただし著作権者の利益を不当に害する場合は除く(第30条の4) |
| 12-4 | 特定商取引法(昭和51年法律第57号) | 通信販売の広告に表示すべき事項(第11条)、申込みの最終確認の画面などでの表示(第12条の6) |
| 12-5 | 取引透明化法(令和2年法律第38号) | 指定された特定デジタルプラットフォーム提供者に、取引条件の開示・運営の公正の確保・報告を義務づける。2021年2月1日施行。対象は総合オンラインモール・アプリストア(2021年)、デジタル広告(2022年追加)だったが、2025年12月にアプリストア分野は除外されスマホ法へ移管 |
| 12-6 | 電子契約法(平成13年法律第95号) | 消費者の操作ミスによる申込みは、事業者が意思を確認する措置を取っていなければ、消費者に重大な過失があっても錯誤による取消しを主張できる(第3条、民法第95条第3項を適用しない特例) |
| 12-7 | 電子署名法(平成12年法律第102号) | 本人だけが行える電子署名が行われた電磁的記録は、真正に成立したものと推定される(第3条) |
| 12-8 | 資金決済法(平成21年法律第59号) | 前払式支払手段の発行者は、基準日の未使用残高が政令で定める額を超えると、その2分の1以上の発行保証金を供託する(第14条) |
| 12-9 | 迷惑メール対策法(特定電子メール法、平成14年法律第26号) | あらかじめ同意した者などにしか広告宣伝のメールを送れない(第3条、オプトイン方式) |
| 12-10 | 不正アクセス禁止法(平成11年法律第128号) | 不正アクセス行為の禁止(第3条)。違反は3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金(第11条) |
| 12-11 | 携帯電話不正利用防止法(平成17年法律第31号) | 携帯音声通信事業者に、契約を結ぶときの本人確認を義務づける(第3条) |
| 12-12 | 刑法(明治40年法律第45号) | 不正指令電磁的記録作成等(第168条の2、3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金)、電子計算機損壊等業務妨害(第234条の2、5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金) |
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表の刑罰の「拘禁刑」は、2025年6月1日に懲役と禁錮をまとめて導入された刑です。e-Gov 法令検索では、不正アクセス禁止法や電子署名法などが「刑法等の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整理等に関する法律」により2025年6月1日施行で改められています(2026年9月27日確認)。2023年時点のテキストでは「懲役」と書かれている箇所がある可能性があるので、読み替えてください。
間違えやすい所は?
| 誤解しやすい言い方 | 正しい整理 | 見分け方 |
|---|---|---|
| 電子署名があれば契約は必ず有効 | 電子署名法第3条は「真正に成立したものと推定する」。推定であって、内容の有効性まで決めるものではない | 「推定」か「みなす」「有効」か |
| 広告メールは断られるまで送ってよい | 特定電子メール法は、原則として同意した相手にだけ送れるオプトイン方式 | 「事前の同意」の有無 |
| パスワードを盗み見ただけなら不正アクセス禁止法の対象外 | 他人の識別符号を不正に取得する行為も禁止されている(第4条) | ログインしたか、符号を取得したか |
| 取引透明化法はアプリストアを今も対象にしている | 2025年12月、スマホ法の施行に伴いアプリストア分野は透明化法の対象から外れ、スマホ法に移った | 時点(2025年12月の前か後か) |
| Pマークは国が付与する認証 | Pマークは一般財団法人 JIPDEC が付与する。有効期間は2年 | 付与する機関の名前 |
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テキストの後に、何が変わった?(2026年9月時点)
テキストは2023年4月末時点の情報です。第12章に関係する主な変化を、一次資料で確かめたものに絞って時系列で挙げます(いずれも2026年9月27日確認)。
| 時期 | 変化 | 確認した資料 |
|---|---|---|
| 2023年6月16日 | 改正電気通信事業法の施行。外部送信規律と特定利用者情報の規律が始まる | 総務省 外部送信規律のページ |
| 2025年6月1日 | 拘禁刑の導入に伴い、刑法と関係法律の刑罰の表記が改まる | e-Gov 法令検索 |
| 2025年6月4日 | AI推進法(人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律、令和7年法律第53号)公布 | e-Gov 法令検索 |
| 2025年12月18日 | スマホソフトウェア競争促進法(令和6年法律第58号)全面施行。取引透明化法の対象からアプリストア分野を除外 | 公正取引委員会・経済産業省 |
| 2026年1月1日 | 下請法が改正され、取適法(中小受託取引適正化法)として施行 | 公正取引委員会 |
| 2026年4月1日 | 携帯電話のオンライン(非対面)契約で、本人確認書類のICチップ読み取りが原則必須に。書類の写真のアップロードやコピーの郵送などは原則廃止 | 総務省 特殊詐欺等対策サイト |
| 2026年7月15日 | 金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律が成立(暗号資産に関する制度整備などを含む) | 金融庁 |
| 2026年7月17日 | 個人情報保護法等の一部を改正する法律が公布(16歳未満の者の個人情報の取扱いの規定などを含む) | 個人情報保護委員会 |
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携帯電話の本人確認は、対面の契約でのICチップ読み取りの原則化や、データ通信専用のSIMを対象に加えることなどが「令和9年(2027年)4月以降」に予定されていると総務省は案内しています。令和8年の個人情報保護法の改正の施行日は、個人情報保護委員会の公表を確認してください。
確認問題1:電子署名法第3条の効果は?
(当サイトの独自問題)電子署名法第3条が定める効果の説明として、最も適切なものはどれか。
- 電子署名がある電磁的記録は、内容にかかわらず契約として必ず有効になる
- 電子署名を行うには、国が認定した認証業務の証明書だけを使わなければならない
- 電子署名がない電磁的記録は、裁判で証拠として一切使うことができない
- 本人だけが行える電子署名がある電磁的記録は、真正に成立したものと推定される
正解:4。電子署名法第3条は、本人による一定の電子署名が行われた電磁的記録について、真正に成立した(本人の意思で作られた)ものと推定すると定めています。
1:推定されるのは文書の成立の真正で、契約の内容まで必ず有効になるわけではありません。2:第3条は、認定を受けた認証業務の証明書だけに限る定めではありません。3:電子署名がないからといって、証拠として一切使えなくなるわけではありません。
確認問題2:特定電子メール法の基本の考え方は?
(当サイトの独自問題)特定電子メール法(迷惑メール対策法)における、広告宣伝のメールの送り方の基本の考え方として、最も適切なものはどれか。
- 受信者が拒否を伝えるまでは、誰に対しても送ってよい
- 送信者の会社の取引先であれば、同意がなくても何通でも送ってよい
- あらかじめ送ることに同意した者などに限って送ってよい
- 件名に「広告」と入れれば、同意がなくても送ってよい
正解:3。特定電子メール法第3条は、あらかじめ送信に同意した者などを除いて、特定電子メールを送ってはならないと定めています(オプトイン方式)。
1:拒否されるまで送ってよい、はオプトアウト方式の考え方で、今の法律の原則ではありません。2:取引先であることだけで、どんな場合も同意なしに送れるわけではありません。4:件名の表示だけで、同意がないまま送れるようにはなりません。
確認問題3:不正アクセス行為の罰則は?
(当サイトの独自問題)2026年9月時点の不正アクセス禁止法で、不正アクセス行為(第3条違反)をした者に対する罰則として、最も適切なものはどれか。
- 1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金
- 3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金
- 30万円以下の罰金のみ
正解:2。不正アクセス禁止法第11条は、第3条に違反した者を3年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金に処すると定めています(2025年6月1日から「懲役」が「拘禁刑」に改まりました)。
1:1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金は、他人の識別符号を不正に取得する行為など第12条の罪の刑です。3:5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金は、刑法の電子計算機損壊等業務妨害(第234条の2)の刑です。4:30万円以下の罰金は、業務などの正当な理由なく他人の識別符号を提供する行為(第13条)の刑です。
確認問題のあとは、何を解けばいい?
間違えた問題は「誰の義務か」「禁止か推定か」「どの時点の条文か」で見直してください。法令は改正で数字や言葉が変わるので、問題を解くときは「〇年時点」を意識する習慣をつけるのが安全です。
本番と同じ4択で確かめるなら、登録不要のモバイルシステム科目の無料お試し10問で解説まで読めます。科目ごとの模試と章別ドリルはモバイル1級の対策ページへ。前の章は第11章 システム運用、科目全体の進め方はモバイルシステム科目の勉強法です。
当サイトはMCPCとは関係のない個人運営の非公式教材です。合格を保証するものではありません。公式テキストの本文・図表・巻末のサンプル問題は使っていません。この記事は法律相談ではありません。
よくある質問
テキストより新しい法改正は、試験に出ますか?
試験がどの時点の法令で作られるかは公表されていません。当サイトでは、テキストの時点(2023年4月末)の内容を土台にしつつ、拘禁刑やスマホ法のように2023年以降に変わった点は「いつ・何が変わったか」まで押さえておくことをすすめています。選択肢に時点が書かれていれば、その時点で判断します。
条文の番号まで覚える必要はありますか?
章ごとの出題内容は公表されていません。当サイトでは、番号より「誰に何を義務づける法律か」を優先し、よく引用される条文(電子署名法第3条、著作権法第30条の4、個人情報保護法の漏えい等報告など)は番号と中身を結びつけておくことをすすめています。
AI推進法やスマホ法は、どの節で学べばいいですか?
どちらもテキストの発行後にできた法律なので、テキストの節には入っていません。当サイトでは、スマホ法は取引透明化法(12-5)の続き、AI推進法は著作権法(12-3)や個人情報保護法(12-2)と合わせて、AIを使うサービスの論点として押さえることをすすめています。
携帯電話の本人確認の変更は、事業者側のシステムにも関係しますか?
関係します。総務省は、2026年4月1日からオンライン契約でのICチップ読み取りが原則必須となり、書類の写真のアップロードなどが原則廃止されたと案内しています。契約の受付システムの要件(第9章)にも直結する話です。
出典・参考
- [1]リックテレコム『モバイルシステム技術テキスト エキスパート編 第9版』(目次・発行・価格、2026年9月27日確認)
- [2]リックテレコム『モバイルシステム技術テキスト 第11版』(2級の目次、2026年9月27日確認)
- [3]MCPC モバイルシステム技術検定[1級](科目・範囲・形式、2026年9月27日確認)
- [4]e-Gov 法令検索: 電波法(昭和25年法律第131号)
- [5]e-Gov 法令検索: 電気通信事業法(昭和59年法律第86号)
- [6]e-Gov 法令検索: 個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号)
- [7]e-Gov 法令検索: 著作権法(昭和45年法律第48号)
- [8]e-Gov 法令検索: 特定商取引に関する法律(昭和51年法律第57号)
- [9]e-Gov 法令検索: 特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律(令和2年法律第38号)
- [10]e-Gov 法令検索: 電子消費者契約に関する民法の特例に関する法律(平成13年法律第95号)
- [11]e-Gov 法令検索: 電子署名及び認証業務に関する法律(平成12年法律第102号)
- [12]e-Gov 法令検索: 資金決済に関する法律(平成21年法律第59号)
- [13]e-Gov 法令検索: 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(平成14年法律第26号)
- [14]e-Gov 法令検索: 不正アクセス行為の禁止等に関する法律(平成11年法律第128号)
- [15]e-Gov 法令検索: 携帯電話不正利用防止法(平成17年法律第31号)
- [16]e-Gov 法令検索: 刑法(明治40年法律第45号)
- [17]e-Gov 法令検索: 人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(令和7年法律第53号)
- [18]プライバシーマーク制度: 制度概要(2026年9月27日確認)
- [19]総務省: 外部送信規律(2026年9月27日確認)
- [20]総務省 特殊詐欺等対策サイト: 携帯電話の本人確認ルール(2026年9月27日確認)
- [21]公正取引委員会: スマホソフトウェア競争促進法(2026年9月27日確認)
- [22]経済産業省: デジタルプラットフォーム取引透明化法の概要(2026年9月27日確認)
- [23]公正取引委員会: 取適法(2026年9月27日確認)
- [24]金融庁: 国会提出法案等(2026年9月27日確認)
- [25]個人情報保護委員会: 令和8年 改正個人情報保護法について(2026年9月27日確認)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
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