この記事の要点
- 個人情報保護法は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を守るため、事業者などが守るべき義務を定めた法律です(平成15年法律第57号)。
- 「個人情報」「個人データ」「保有個人データ」は範囲が順に狭くなり、かかる義務が増えていきます。どの言葉に、どの義務がかかるかがつまずきどころです。
- 個人データを第三者に渡すには原則として本人の同意が要りますが、委託・事業の承継・共同利用は「第三者」に当たりません(第27条第5項)。
- 一定の漏えい等は、個人情報保護委員会への報告と本人への通知が義務です(第26条)。2026年7月17日に改正法が公布され、施行に向けて政令・規則の整備が進んでいます(2026年9月時点)。
個人情報保護法とは、ひと言でいうと何か?
一言でいうと、個人情報保護法は「個人情報を使ってよい、ただし決められたルールの範囲で」を定めた法律です。第1条は、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的に掲げています。使うことを禁じる法律ではない点を押さえておくと、選択肢の言いすぎに気付きやすくなります。
第2条第1項は、個人情報を「生存する個人に関する情報」で、氏名や生年月日などの記述で特定の個人を識別できるもの、または個人識別符号を含むものと定めています。個人識別符号には、指紋や顔などの身体の特徴をコンピュータで扱うために変換した符号や、個人ごとに異なるよう割り当てられた番号のうち、政令で定めるものが当たります。
モバイルの分野では、アプリが取得する位置情報や端末の識別子、利用履歴が、他の情報と組み合わさって個人を識別できる状態になるかが問題になりやすいところです。端末が位置を求める仕組みは位置情報サービスの仕組みで解説しています。
個人情報・個人データ・保有個人データは、どう違うのか?
三つの言葉は、個人情報 ⊃ 個人データ ⊃ 保有個人データという包含の関係にあります。範囲が狭くなるほど、事業者に課される義務が増えます。次の表は条文をもとに当サイトが要点を整理したもので、条文の正確な文言は e-Gov 法令検索で確認してください。
| 言葉 | 意味(要点) | 主にかかる義務の例 |
|---|---|---|
| 個人情報(第2条第1項) | 生存する個人に関する情報で、特定の個人を識別できるもの | 利用目的をできる限り特定する(第17条)など |
| 個人データ(第16条第3項) | 個人情報データベース等(検索できるよう体系的に構成したもの)を構成する個人情報 | 安全管理措置(第23条)、漏えい等の報告(第26条)、第三者提供の制限(第27条)など |
| 保有個人データ(第16条第4項) | 事業者が開示・訂正・利用停止などを行う権限を持つ個人データ(政令で除くものを除く) | 本人からの開示などの請求への対応 |
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もう一つ押さえたいのが要配慮個人情報(第2条第3項)です。人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実など、不当な差別や偏見が生じないよう取扱いに特に配慮が要る情報を含む個人情報を指し、取得や第三者提供で通常より厳しい扱いが求められます。
第三者提供と、漏えいしたときの報告はどう決まっているのか?
第27条第1項は、法令に基づく場合や、人の生命・身体・財産の保護のために必要で本人の同意を得ることが難しい場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ないで個人データを第三者に提供してはならないと定めています。本人の求めがあれば提供を止めることにして、委員会に届け出る方法(オプトアウト、第27条第2項)もありますが、要配慮個人情報はこの方法では提供できません。
一方、第27条第5項は、次の場合の提供先は「第三者に該当しない」としています。利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託する場合、合併などによる事業の承継の場合、あらかじめ本人に必要な事項を知らせたうえでの共同利用の場合です。委託の場合は、委託先の監督が必要になります。
漏えい等については、第26条が、個人の権利利益を害するおそれが大きい事態が生じたときに、個人情報保護委員会への報告と本人への通知を義務付けています。個人情報保護委員会の説明による、民間事業者の報告の対象と期限は次のとおりです(2026年9月時点)。
| 場合 | 例 |
|---|---|
| 要配慮個人情報を含む個人データの漏えい等 | 病歴を含む健康診断の結果の漏えい |
| 不正に使われると財産的被害が生じるおそれがある個人データの漏えい等 | クレジットカード番号の漏えい |
| 不正の目的をもって行われたおそれがある漏えい等 | 不正アクセスやランサムウェアによる漏えい |
| 本人の数が1,000人を超える漏えい等 | 顧客名簿の大量の誤送信 |
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委員会への報告は、発覚から3〜5日以内の速報と、30日以内(不正の目的によるおそれがある場合は60日以内)の確報の2段階です。報告と通知の義務は、令和2年の改正法(2022年4月1日に全面施行)で設けられました。
業務用スマートフォンの紛失が漏えい等に当たるかは、端末の暗号化や遠隔消去の状況も含めて判断します。端末の管理はMDMとMAMの違いで扱っています。
2026年7月10日に「個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律」が成立し、7月17日に公布されました。個人情報保護委員会は、施行に向けて政令・規則・ガイドラインの整備を進めています(2026年9月時点)。16歳未満の者の個人情報の扱いに関する規定などが含まれ、施行後は上の説明の一部が変わる可能性があります。受検する時期に合わせて、委員会の最新の案内を確認してください。
モバイル2級ではどの範囲で、どう問われそうか?
MCPC の公式ページでは、モバイルシステム技術検定2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリに「情報セキュリティ管理」があり、比率は9%と示されています(2026年9月27日確認)。個人情報保護法がこのカテゴリで扱われると当サイトは考えていますが、公式テキストのどの章に当たるかは確認できていないため、章は示しません。
公式テキスト第11版は2026年2月の発刊で、2026年7月の改正法の公布より前に作られています。本番で改正後の内容が問われるかは公表されていません。まず現行の条文の基本(定義・第三者提供・漏えい等報告)を固めるのが確実です。
4択では、次のような観点が考えられます。出題頻度は公表されていないので、特定の型が多いとは言えません。
- 言葉の定義:個人情報・個人データ・保有個人データの違いを問う。
- 第三者提供:同意が要る場合と、委託など第三者に当たらない場合を見分けさせる。
- 漏えい等報告:報告が必要になる場合や期限を問う。
- 要配慮個人情報:オプトアウトで提供できないなど、特別な扱いを問う。
通信サービスの利用者を守る別の法律は電気通信事業法の消費者保護ルール、試験全体の形式・日程・受検料はモバイルシステム技術検定2級とはにまとめています。
どこで取り違えやすいのか?
法律の問題は、範囲の入れ替えと「必ず」「一律に」などの言いすぎで誤答が作られやすい分野です。
| 取り違え | 正しい考え方 | 確認する問い |
|---|---|---|
| 亡くなった人の情報も個人情報 | 個人情報は生存する個人に関する情報 | 対象の人は生存しているか |
| 個人データ=個人情報 | 個人データはデータベース等を構成する個人情報で、範囲が狭い | 検索できるよう整理されているか |
| 委託先に渡すのも第三者提供 | 利用目的の範囲内の委託は第三者に当たらない。委託先の監督は必要 | 委託か、別の事業者への提供か |
| 要配慮個人情報もオプトアウトで提供できる | オプトアウトによる提供の対象外 | 提供するのは要配慮個人情報か |
| 漏えいはどれも報告の対象 | 4つの場合に当たるものが報告の対象 | 要配慮・財産的被害・不正目的・1,000人超のどれかか |
| 報告の期限は一律 | 速報は3〜5日以内、確報は30日以内(不正目的は60日以内) | 速報か、確報か |
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確認問題1:個人データの定義を選べるか?
個人情報保護法における「個人データ」の説明として、最も適切なものはどれか。
- 生存する個人に関する情報のうち、本人が公開に同意しているもの
- 個人情報データベース等を構成する個人情報で、検索できるもの
- 病歴や犯罪の経歴など、取扱いに特に配慮を要する記述を含む情報
- 特定の個人を識別できないよう加工し、元に戻せなくした個人の情報
正解:2。個人データは、特定の個人情報を検索できるよう体系的に構成した個人情報データベース等を構成する個人情報です(第16条第3項)。
1は本人の同意の有無で定義されるものではなく、個人データの説明になっていません。3は要配慮個人情報の説明です。4は匿名加工情報に近い説明で、個人データとは別の区分です。
確認問題2:第三者に当たらない場合を選べるか?
個人データの提供のうち、法律上、提供先が「第三者」に当たらないものとして、最も適切なものはどれか。
- 自社の顧客名簿を、提携先の企業の販売促進のために渡す場合
- アプリの利用履歴を、広告事業者が独自に使うために渡す場合
- 会員の名簿を、本人の同意を得ずに取引先の求めに応じて渡す場合
- 利用目的の範囲で、データの入力作業を外部の事業者に委託する場合
正解:4。利用目的の達成に必要な範囲で取扱いを委託することに伴う提供は、第27条第5項により第三者提供に当たりません。ただし委託元は委託先を監督する必要があります。
1と2は、提供先が自らの目的で使うための提供で、原則として本人の同意が要ります。3は同意を得ずに提供しており、法令に基づく場合などの例外に当たらない限り認められません。
確認問題3:漏えい等報告のルールを判断できるか?
次の記述ア・イの正誤の組合せとして、正しいものはどれか。
ア:委員会への確報の期限は、不正の目的によるおそれがある場合も含めて、一律に発覚から7日以内である。
イ:要配慮個人情報を含む個人データの漏えいは、本人の数にかかわらず委員会への報告の対象となる。
- ア:正 イ:正
- ア:正 イ:誤
- ア:誤 イ:正
- ア:誤 イ:誤
正解:3。アは誤りで、確報は発覚から30日以内、不正の目的によるおそれがある場合は60日以内です(速報は3〜5日以内)。イは正しく、要配慮個人情報を含む場合は人数の条件なく報告の対象です。
1と2はアを正しいとしている点、4はイまで誤りとしている点で当てはまりません。
法律以外の範囲も本番の形式で試したい場合は、登録不要のモバイル2級の無料お試し20問で、4択と解説を確認できます。
よくある質問
スマートフォンの位置情報は個人情報ですか?
位置情報だけで特定の個人を識別できるとは限りませんが、氏名などの情報と結び付けて管理されていたり、他の情報と容易に照合できたりすれば個人情報に当たりえます。どう管理されているかで判断が変わる点に注意してください。
2026年の改正は、試験対策でどう扱えばよいですか?
改正法は2026年7月17日に公布されましたが、施行に向けた政令・規則は整備中です(2026年9月時点)。本番で改正後の内容が問われるかは公表されていないため、まず現行の条文の基本を固め、受検の直前に個人情報保護委員会の案内で施行の状況を確認するのが確実です。
社内の人が個人データを見るのも「第三者提供」ですか?
同じ事業者の中で利用するのは第三者提供ではありません。ただし、利用目的の範囲内で使うことや、従業者を監督すること(第24条)が求められます。
出典・参考
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
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