この記事の要点
- スマートフォンの決済は、NFCで読み取り機にかざす非接触決済 と、カメラで2次元コードを読むQRコード決済 の2つに大きく分けられます。
- QRコード決済には、店舗が示したコードを利用者が読む 店舗提示型(MPM) と、利用者が示したコードを店舗が読む 利用者提示型(CPM) があります(EMVCo・キャッシュレス推進協議会、2026年9月確認)。
- トークン化 は、カード番号をそのまま使わず、使い道を限った別の値(トークン)に置き換える仕組みです。漏れたときの被害を抑えます。
- モバイル2級では出題カテゴリ「生成AI、IoTシステム及び主要アプリケーションの種類とその概要」(公式の出題比率23%)に当たる範囲です。出題頻度は公表されていません。
モバイル決済・QRコード決済とは、一言でいうと何?
モバイル決済とは、スマートフォンなどの携帯端末を使って代金を支払う仕組みの総称で、QRコード決済はそのうち、画面や店頭に表示した2次元コードをカメラやスキャナで読み取って支払う方式です。
モバイル決済には、端末を読み取り機にかざす非接触決済(NFCやFeliCaを使う)と、2次元コードを使うコード決済があります。どちらも「スマホで払う」点は同じですが、端末と店舗の間で何が起きているかがまったく違います。試験対策では、この違いを「誰が何を読むか」で整理するのが近道です。
QRコードは、デンソーウェーブ(当時は現・デンソーの一事業部)が1994年に発表した2次元コードで、日本ではJIS X 0510、国際的にはISO/IEC 18004として規格化されています。デンソーウェーブは、規格化されたQRコードについて特許の権利を行使しないと明言しています。「QRコード」はデンソーウェーブの登録商標です(いずれも2026年9月確認)。
非接触決済とQRコード決済は、表で比べるとどう違う?
| 観点 | 非接触決済(NFC) | QR決済・店舗提示型(MPM) | QR決済・利用者提示型(CPM) |
|---|---|---|---|
| 誰が何を読むか | 店舗の読み取り機が、カードのふりをする端末を読む | 利用者の端末が、店舗の掲示したコードを読む | 店舗のスキャナなどが、利用者の画面のコードを読む |
| 使う技術 | 13.56MHzの近距離無線(NFC・FeliCa) | 端末のカメラと2次元コード | 2次元コードと店舗側の読み取り機器 |
| 店舗側の設備 | 専用の読み取り機 | コードの掲示(印刷物でもよい) | コードを読む機器 |
| 利用者の操作 | 端末をかざす | アプリでコードを読み、金額を入力・確認する | アプリでコードを表示して見せる |
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店舗提示型と利用者提示型の区別は、国際的な決済の標準化団体EMVCoのQRコードの仕様にも、日本のキャッシュレス推進協議会の「コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン」(利用者提示型・店舗提示型の2つ)にも表れています。EMVCoは、店舗提示型を「店舗がQRコードを表示し、利用者がモバイル端末で読み取る」、利用者提示型を「利用者が携帯電話にQRコードを表示し、店舗が光学スキャナ(またはモバイル端末)で読み取る」と説明しています。
店舗提示型は、コードを印刷して掲示するだけで始められるため、専用の読み取り機を置きにくい小さな店舗でも導入しやすい方式です。日本では、キャッシュレス推進協議会が複数のコード決済をまとめて扱える統一規格「JPQR」を策定しています。
非接触決済の側の技術(NFC-A・B・FやFeliCa、カードエミュレーション)はNFCとおサイフケータイで詳しく解説しています。
トークン化とは何で、不正対策はどう組み合わせる?
トークン化(トークナイゼーション) は、クレジットカードなどの番号(PAN:Primary Account Number)の代わりに、別の値を使って支払う仕組みです。EMVCoは、不正を行う者にとって最も価値のあるカード番号を取り除き、固有の代替値であるEMVペイメントトークンに置き換えるものと説明しています。
トークンの肝は、使い道が限られていること です。EMVCoは、トークンの使い方は特定の加盟店・端末・支払いの場面などに制限される、としています。たとえ特定の端末用のトークンが盗まれても、別の場面では使えないため、カード番号そのものが漏れる場合より被害を抑えやすくなります。EMVCoは、トークン化がモバイル決済アプリやアプリ内の購入、QRコード決済の安全性の強化などに使われると説明しています。
不正対策は、1つの仕組みで完結するものではありません。モバイル決済で組み合わされる対策を、守る場面ごとに整理すると次のようになります。
| 守る場面 | 主な対策の例 | ねらい |
|---|---|---|
| カード番号の保管・送信 | トークン化 | 本物の番号を端末や加盟店に渡さない |
| 端末を使う本人の確認 | 画面ロック、生体認証、暗証番号 | 端末を拾った他人に使わせない |
| アカウントの登録 | 銀行口座やカードを登録するときの本人確認 | 他人の口座やカードを勝手に結びつけさせない |
| 店頭のコード | 掲示したコードの管理(差し替えの確認) | 店舗提示型で偽のコードに支払わせない |
| 紛失したとき | 遠隔でのロックや利用停止 | 被害が広がる前に止める |
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キャッシュレス推進協議会は、コード決済における不正な銀行口座の紐づけの防止対策や、不正に流出したクレジットカード番号などの不正利用の防止対策についてもガイドラインを公開しています。端末側の本人確認の技術はパスキーとFIDO2、利用者の情報の扱いは個人情報保護法のポイントが近いテーマです。
法律の面では、チャージして使う残高は、資金決済法が定める「前払式支払手段」に当たる場合があります。金融庁は、前払式支払手段を商品券・プリペイドカード・サーバ型前払式支払手段などの総称と説明しています。どの制度に当たるかはサービスの設計によるため、個別のサービスについて断定はできません。
モバイル2級では、どの範囲でどう問われる?
モバイル決済は、モバイル2級の出題カテゴリ「生成AI、IoTシステム及び主要アプリケーションの種類とその概要」に当たります。MCPCの試験ページの図では、このカテゴリの出題比率は23%で、6つのカテゴリの中で最も大きい比率です(2026年9月27日確認)。ただし、その中で決済が何問あるかは公表されていません。
公式テキスト(モバイルシステム技術テキスト第11版)の目次では、第13章「モバイルシステムを利用したアプリケーション」が近い範囲です。章と出題カテゴリの対応は当サイトの推定で、使っているのは目次の章名だけです。
4択での確かめられ方は公表されていないため、以下は当サイトの想定です。
- 方式の区別:店舗提示型と利用者提示型の「誰が何を読むか」を入れ替えた記述を見抜けるか。
- 技術の組合せ:非接触決済とNFC、コード決済とカメラ・2次元コード、という結びつきを正しく選べるか。
- トークン化の意味:「番号を暗号化して保存すること」と混同させる記述に気づけるか。
- QRコードの基本:開発の経緯や規格(JIS X 0510・ISO/IEC 18004)の取り違えを見抜けるか。
位置と組み合わせたサービスの例は位置情報サービスの仕組みで扱っています。試験全体の形式はモバイルシステム技術検定2級の概要にまとめています。
モバイル決済で、間違えやすいのはどこ?
| 取り違えやすい記述 | 正しい整理 | 見分けるコツ |
|---|---|---|
| 店舗提示型は、利用者の画面を店が読む方式 | 店舗提示型は、店のコードを利用者が読む方式。逆が利用者提示型 | 「提示する側」の名前がついている |
| QRコード決済はNFCで通信する | コード決済は2次元コードを読む方式。NFCを使うのは非接触決済 | かざすか、読むか |
| トークン化はカード番号を暗号化して端末に保存すること | 番号そのものを、使い道を限った別の値に置き換えること | 置き換え+使い道の制限 |
| トークンが漏れればカード番号と同じ被害になる | トークンは特定の加盟店・端末・場面に制限される | 「どこでも使える」かどうか |
| QRコードは決済のために作られた規格 | 1994年にデンソーウェーブが発表した汎用の2次元コード | 決済は用途の一つ |
| JPQRは国際規格の名前 | キャッシュレス推進協議会が策定したコード決済の統一規格 | 「JP」は日本の取り組み |
| おサイフケータイはQRコード決済の一種 | おサイフケータイはFeliCaを使う非接触の仕組み | 技術の土台で分ける |
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確認問題1:店舗提示型(MPM)の説明は?
コード決済の店舗提示型(MPM)の説明として、最も適切なものを選んでください。
- 利用者が端末に表示したコードを、店舗がスキャナなどで読み取って支払う
- 店舗が掲示したコードを、利用者が端末のカメラで読み取って支払う
- 利用者が端末を読み取り機にかざし、13.56MHzの無線で支払いを行う
- 店舗の端末と利用者の端末が、Bluetoothで金額を直接やり取りする
正解:2。EMVCoは店舗提示型(Merchant-Presented Mode)を、店舗がQRコードを表示し、利用者がモバイル端末で読み取る方式と説明しています。
1は利用者提示型(CPM)の説明で、読む側と読まれる側が逆です。3はNFCを使う非接触決済の説明で、コード決済ではありません。4のような方式はコード決済の店舗提示型の説明には当たりません。
確認問題2:トークン化の説明として最も適切なものは?
決済におけるトークン化の説明として、最も適切なものを選んでください。
- カード番号を暗号化して端末に保存し、支払いのたびに復号して送る
- カード番号の下4桁だけを加盟店に送り、残りは利用者が口頭で伝える
- カード番号を別の値に置き換え、使える端末や加盟店などを限定する
- カード番号を2次元コードに変換し、誰でも読める形で店頭に掲示する
正解:3。EMVCoは、カード番号を固有の代替値(ペイメントトークン)に置き換え、その使い方を特定の加盟店・端末・支払いの場面などに制限する仕組みと説明しています。
1は暗号化の説明で、最終的に本物の番号を送るため、トークン化のねらいである「番号を渡さない」ことになりません。2は番号の一部を伏せるだけで、残りを伝えれば番号がそろってしまいます。4は番号を誰でも読める形にするもので、保護とは逆の方向です。
確認問題3:モバイル決済について適切でない記述は?
モバイル決済とQRコードに関する次の記述のうち、適切でないものを選んでください。
- QRコードは、2000年代後半に通信事業者が共同で開発した決済専用の規格である
- JPQRは、キャッシュレス推進協議会が策定したコード決済の統一規格である
- チャージした残高は、資金決済法の前払式支払手段に当たることがある
- 店舗提示型では、掲示したコードが差し替えられていないかの管理が要る
正解:1。QRコードは1994年にデンソーウェーブが発表した汎用の2次元コードで、JIS X 0510・ISO/IEC 18004として規格化されています。決済専用に作られたものではありません。
2は適切で、JPQRはキャッシュレス推進協議会が策定したQRコード決済の統一規格です。3も適切で、金融庁は前払式支払手段にサーバ型のものも含まれると説明しています。4も適切で、店舗提示型は利用者が店のコードを読むため、偽のコードに差し替えられていないかの確認が安全の前提になります。
確認問題を解いたら、次に何をする?
方式の問題で迷った場合は、「かざすのか、読むのか」「読むのは客か、店か」の2つの質問を順に当てはめてください。この2つで、非接触・店舗提示型・利用者提示型の3つにきれいに分かれます。
ほかの分野と混ぜて本番と同じ4択で試すなら、モバイル2級の無料お試し20問を登録不要で解けます。公式の出題比率に合わせた20問で、全問に解説がついています。
続けて読むなら、非接触決済の土台はNFCとおサイフケータイ、本人確認の技術はパスキーとFIDO2が近いテーマです。
よくある質問
クレジットカードのタッチ決済は、非接触決済とQRコード決済のどちらですか?
読み取り機にカードや端末をかざして支払うため、非接触決済の側に入ります。QRコード決済のように2次元コードを読み取る方式とは仕組みが異なります。
QRコード決済は、利用者の端末がインターネットにつながっていないと使えませんか?
方式やサービスの設計によって異なるため、本記事では一律に断定しません。店舗提示型では利用者の端末から支払いの指示を送る必要があるなど、方式ごとに「どこで通信が必要か」を考えると整理しやすくなります。
キャッシュレス決済の比率など、統計の数字も覚えるべきですか?
統計は毎年更新されるため、試験で扱われるかどうかや、どの年の値が使われるかは公表されていません。当サイトとしては、まず方式の違いと不正対策の考え方を押さえ、数字は公表元の最新の資料で確認することを勧めます。
出典・参考
- [1]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと出題比率の図、2026年9月27日確認)
- [2]MCPC 公式テキストの案内(モバイルシステム技術テキスト第11版、2026年9月27日確認)
- [3]EMVCo: EMV Payment Tokenisation(2026年9月27日確認)
- [4]EMVCo: EMV QR Codes(2026年9月27日確認)
- [5]キャッシュレス推進協議会: ガイドライン類(コード決済に関する統一技術仕様ガイドライン等、2026年9月27日確認)
- [6]JPQR総合情報サイト(キャッシュレス推進協議会、2026年9月27日確認)
- [7]デンソーウェーブ QRコードドットコム:道のり(2026年9月27日確認)
- [8]デンソーウェーブ QRコードドットコム:規格化(2026年9月27日確認)
- [9]金融庁: 商品券(プリペイドカード)の払戻しについて(前払式支払手段の説明、2026年9月27日確認)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
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