この記事の要点
- NFC(Near Field Communication)は 13.56MHz を使う、かざして通信する近距離無線の技術です。国際規格ISO/IEC 18092(NFCIP-1)に由来します。
- NFC Forumは通信方式を NFC-A・NFC-B(ISO/IEC 14443のType A・B)、NFC-F(FeliCa)、NFC-V(ISO/IEC 15693) として扱っています。FeliCaはNFCの枠組みの中の方式の一つです(ソニー、2026年9月確認)。
- スマートフォンのNFCには、カードの代わりになる カードエミュレーション、タグやカードを読む リーダー/ライター、端末同士の ピアツーピア のモードがあります。
- モバイル2級では出題カテゴリ「モバイル端末基本機能と端末周辺技術」(公式の出題比率20%)に当たる範囲です。出題頻度は公表されていません。
NFCとおサイフケータイとは、一言でいうと何?
NFCとは、13.56MHzの電波を使い、機器を近づけたときだけ通信する近距離無線の技術です。おサイフケータイとは、そのうちFeliCaの技術を使い、電子マネーや乗車券などを携帯電話に入れて使うサービスの名称です。
ソニーの説明では、NFCは通信距離10cm程度の近距離無線通信技術で、非接触ICカードとしての通信と、機器同士の通信の両方ができます。「かざす」という分かりやすい動作をきっかけに通信するのが特徴です。NFC Forumは、NFCがかざす側から電力を送る一方向の給電により、電池を持たない動作も可能にすると説明しています。
おサイフケータイは、NTTドコモの説明では「おサイフに入っているお金、定期券、ポイントカードなどをケータイに入れるサービス」です。「おサイフケータイ」は株式会社NTTドコモの登録商標で、フェリカネットワークスが携帯電話向けのFeliCaの基盤(モバイルFeliCaプラットフォーム)を提供しています(いずれも2026年9月確認)。
NFCのType A・BとFeliCaは、どういう関係?
NFCは最初からひとつの方式だったわけではありません。ソニーの説明によれば、NFCはISO/IEC 18092(NFCIP-1)という国際規格で定められた通信技術に始まり、その後ISO/IEC 21481(NFCIP-2)で、ISO/IEC 14443とISO/IEC 15693を含む形に広げられました。NFC Forumは、それらの方式を次の4つの名前で等しく扱う仕様を作っています。
| NFC Forumでの呼び名 | もとになる規格・技術 | 補足 |
|---|---|---|
| NFC-A | ISO/IEC 14443 Type A | 非接触ICカードの国際規格のうちType A |
| NFC-B | ISO/IEC 14443 Type B | 同じ規格のうちType B |
| NFC-F | FeliCa(ISO/IEC 18092、JIS X 6319-4) | ソニーの技術。日本の交通系ICカードや電子マネーで広く使われる |
| NFC-V | ISO/IEC 15693 | 同じ13.56MHzで、比較的長い距離で使うRFIDタグなど |
← 表は横にスクロールできます →
ここで大事なのは 「NFCかFeliCaか」という二者択一ではない という点です。ソニーは、FeliCaの通信方式はソニーとNXPセミコンダクターズが共同提案したISO/IEC 18092に準拠しており、FeliCaはNFCの枠組みの中にある規格のひとつと言える、と説明しています。さらに、NFC-FはNFC Forumのユニバーサルデバイスとリーダーデバイスが必ずサポートすることになっている、としています。
FeliCaの通信は13.56MHzの周波数帯で、212kbpsまたは424kbpsの速度で行われます(ソニー)。SuicaなどのICカード乗車券、Edy・nanaco・WAONといった電子マネーが、ソニーがFeliCaの利用例として挙げているものです。
なお「Type」という言葉は、ISO/IEC 14443のType A・Bのほかに、NFC Forumが定めるNFCタグの種類(Type 1〜5のタグ)にも使われます。ソニーのページは、NFC ForumのType 1タグが必須要件ではなくなったことにも触れています。問題文の「Type」がどちらを指すかを確かめてから読みましょう。
カードエミュレーションなど、3つのモードはどう違う?
NFC Forumが挙げるNFCの使い方を、スマートフォンの立場で整理します。
| モード | スマートフォンの役割 | 使われ方の例 |
|---|---|---|
| カードエミュレーション | 非接触ICカードのふりをする。読み取るのは相手の機器 | 改札機やレジの読み取り機にかざして支払う・乗車する |
| リーダー/ライター | 相手のカードやタグを読む・書く側になる | ポスターのNFCタグを読んでWebページを開く、ICカードの残高を読む |
| ピアツーピア | 端末同士でデータをやり取りする | 近づけて連絡先などを交換する |
← 表は横にスクロールできます →
NFC Forumは、これらに加えてNFCで最大1Wの給電を行うワイヤレス充電の使い方も挙げています。4択で「3つのモード」と出るときは、上の3つを指すことが多いと考えられますが、問題文の定義に従ってください。
カードエミュレーションで、カードの情報をどこに持つかには方式の違いがあります。端末の中の安全な領域(セキュアエレメント)に持つ方式のほか、Androidにはアプリ側でカードの機能を実現するHost-based Card Emulation(HCE)があり、ソニーはNFC-F向けのHCEのアプリ開発ガイドラインも公開しています。
支払いの仕組み全体(トークン化や、QRコード決済との違い)はQRコード決済とモバイル決済の仕組みで解説しています。
モバイル2級では、どの範囲でどう問われる?
NFCとおサイフケータイは、モバイル2級の出題カテゴリ「モバイル端末基本機能と端末周辺技術」に当たります。MCPCの試験ページの図では、このカテゴリの出題比率は20%です(2026年9月27日確認)。カテゴリの中でNFCが何問あるかは公表されていません。
公式テキスト(モバイルシステム技術テキスト第11版)の目次では、第7章「端末周辺技術」が近い範囲です。章と出題カテゴリの対応は当サイトの推定で、使っているのは目次の章名だけです。
4択での確かめられ方は公表されていないため、以下は当サイトの想定です。
- 周波数と距離:13.56MHz・かざす距離という特徴を、Bluetoothや無線LANの値と入れ替えた記述を見抜けるか。
- 方式と規格の組合せ:NFC-A・B・F・Vと、ISO/IEC 14443・18092・15693の対応を結べるか。
- モードの区別:支払い(カードエミュレーション)、タグの読み取り(リーダー/ライター)を取り違えさせる記述に気づけるか。
- おサイフケータイの位置づけ:サービス名と、その土台の技術(FeliCa)を区別できるか。
同じ端末周辺の近距離無線はBluetooth Low Energyで比べられます。端末に入る契約情報の話はSIMとeSIMが近いテーマです。試験全体の形式はモバイルシステム技術検定2級の概要にまとめています。
NFCとおサイフケータイで、間違えやすいのはどこ?
| 取り違えやすい記述 | 正しい整理 | 見分けるコツ |
|---|---|---|
| NFCとFeliCaは別の技術で、両立しない | FeliCaの通信技術はNFC-FとしてNFCの枠組みに含まれる | 「NFCの中にFeliCaがある」 |
| NFCは2.4GHz帯を使う | NFCは13.56MHz。2.4GHz帯はBluetoothや無線LAN | かざす通信は13.56MHz |
| NFCは数十m先の機器ともつながる | 機器を近づけたときだけ通信する近距離の技術 | 「かざす」と「離れて」は両立しない |
| 改札にかざすときスマホはリーダー/ライター | 改札に対してはカードのふりをするカードエミュレーション | 読む側か、読まれる側か |
| おサイフケータイはNFCの国際規格の名前 | NTTドコモの登録商標のサービス名。土台の技術はFeliCa | サービス名と技術名を分ける |
| Type AとType Bは、NFC Forumのタグの種類 | Type A・BはISO/IEC 14443の通信方式。タグのType 1〜5とは別 | 「どのType」かを確かめる |
| NFC-VはFeliCaのこと | NFC-VはISO/IEC 15693。FeliCaはNFC-F | FはFeliCaのF |
← 表は横にスクロールできます →
確認問題1:改札にかざすときのモードは?
スマートフォンを交通系ICカードの代わりに使い、改札機の読み取り部にかざして乗車するとき、スマートフォンのNFCが動いているモードはどれでしょうか。
- リーダー/ライター
- カードエミュレーション
- ピアツーピア
- ワイヤレス充電
正解:2。改札機が読み取る側で、スマートフォンは非接触ICカードのふりをします。NFC Forumは、カードエミュレーションを非接触の読み取り機と通信できるカードのように動く使い方と説明し、支払いや乗車券の用途を挙げています。
1のリーダー/ライターは、スマートフォンがカードやタグを読む側になる使い方で、改札機との関係では役割が逆です。3のピアツーピアは端末同士でデータを交換する使い方です。4のワイヤレス充電はNFCで電力を送る使い方で、乗車の認証を行うものではありません。
確認問題2:FeliCaの通信方式の呼び名と規格は?
次の文の空欄Ⅰ・Ⅱに入る語句の組合せとして適切なものを選んでください。
「FeliCaの通信技術は、NFC Forumの仕様では Ⅰ と呼ばれ、日本の規格では Ⅱ に定められている。」
- Ⅰ:NFC-A Ⅱ:JIS X 0510
- Ⅰ:NFC-A Ⅱ:JIS X 6319-4
- Ⅰ:NFC-F Ⅱ:JIS X 0510
- Ⅰ:NFC-F Ⅱ:JIS X 6319-4
正解:4。ソニーは、FeliCaの通信技術であるNFC-Fが、NFCIP-1、JIS X 6319-4、NFC Forumが定める通信方式の一つとして定義されていると説明しています。
1はⅠ・Ⅱとも誤りです。NFC-AはISO/IEC 14443のType Aにもとづく方式で、JIS X 0510は二次元コード(QRコード)の規格です。2はⅡが正しいものの、Ⅰが Type A の方式です。3はⅠが正しいものの、Ⅱが二次元コードの規格です。
確認問題3:NFCについて適切でない記述は?
NFCとおサイフケータイに関する次の記述のうち、適切でないものを選んでください。
- NFCは2.4GHz帯を使い、数十m離れた機器とも安定して通信できる
- NFC-AとNFC-Bは、ISO/IEC 14443のType AとType Bにもとづく
- おサイフケータイは、FeliCaの技術で電子マネーや乗車券を端末に入れる
- NFCタグを読むとき、スマートフォンはリーダー/ライターとして動く
正解:1。NFCは13.56MHzを使い、機器を近づけたときだけ通信する近距離の技術です。2.4GHz帯で離れて通信するのはBluetoothや無線LANの特徴です。
2は適切で、NFC Forumは14443のType A・BをNFC-A・NFC-Bとして扱っています。3も適切で、フェリカネットワークスはモバイルFeliCaの基盤を提供しており、NTTドコモはおサイフケータイで電子マネーや定期券を携帯電話に入れられると説明しています。4も適切で、タグを読む・書く使い方がリーダー/ライターです。
確認問題を解いたら、次に何をする?
モードの問題で迷った場合は、「スマートフォンは読む側か、読まれる側か」を先に決めてから選択肢を見てください。規格の問題で迷った場合は、NFC-A・B・F・Vの4行の表を、規格番号を隠して言えるか試すのが近道です。
ほかの分野と混ぜて本番と同じ4択で試すなら、モバイル2級の無料お試し20問を登録不要で解けます。公式の出題比率に合わせた20問で、全問に解説がついています。
続けて読むなら、支払いの全体像はQRコード決済とモバイル決済の仕組み、同じ近距離無線はBluetooth Low Energyで整理できます。
よくある質問
iPhoneとAndroidで、NFCの対応は違いますか?
機種や地域によって対応している方式や使える機能が異なります。試験対策としては、端末の機種ごとの違いより、NFC-A・B・Fの区別と3つのモードの役割を押さえることを優先してください。
NFCとRFIDは同じものですか?
RFIDは電波でICタグを読み取る技術の総称で、NFCは13.56MHzを使うその一種と考えられます。ソニーの説明では、NFCが包含するISO/IEC 15693は、通信距離が比較的長く、物流のRFIDタグが主な用途です。
おサイフケータイは電池が切れても使えますか?
サービスや機種、電池の状態によって扱いが異なるため、本記事では断定しません。NTTドコモのおサイフケータイの案内ページなど、提供元の最新の説明を確認してください。
出典・参考
- [1]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと出題比率の図、2026年9月27日確認)
- [2]MCPC 公式テキストの案内(モバイルシステム技術テキスト第11版、2026年9月27日確認)
- [3]NFC Forum: NFC Technology(2026年9月27日確認)
- [4]ソニー: NFCとは(2026年9月27日確認)
- [5]ソニー: FeliCaの通信方式(2026年9月27日確認)
- [6]ソニー: FeliCa 技術情報(NFC-FとHCEのガイドライン、2026年9月27日確認)
- [7]NTTドコモ: おサイフケータイ(2026年9月27日確認)
- [8]フェリカネットワークス(モバイルFeliCaプラットフォーム、2026年9月27日確認)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
公式の出題カテゴリの比率どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。
あわせて読みたい
当サイトは、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)とは関係のない個人が運営する非公式の学習教材です。掲載している問題はすべて当サイトのオリジナルで、実際の試験問題・過去問題・再現問題ではありません。試験の日程・受検料・出題範囲は公式サイト(https://www.mcpc-jp.org/license/ )で必ず確認してください。合格を保証するものではありません。合格の目安は当サイトの推定です。技術・制度の記述は「最終確認日」時点のものです。