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パスキー・FIDO2・多要素認証とは|2級の要点

パスキーがフィッシングに強い理由を、認証の3要素・多要素認証・FIDO2の関係から整理。2段階認証との違い、同期パスキーの意味、モバイル2級で迷いやすい点を表にし、独自の確認問題3問で確かめます。

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執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • 多要素認証は、知識・所持・生体のうち異なる種類の要素を2つ以上組み合わせる認証です。同じ種類を2回確かめても多要素にはなりません。
  • FIDO2 は、W3C の WebAuthn(ブラウザの API)と FIDO Alliance の CTAP(認証器との通信)を合わせた標準です。
  • パスキーは FIDO の標準に基づく認証の資格情報で、秘密鍵は端末やセキュリティキーに残り、サーバには公開鍵だけが登録されます。
  • 資格情報が正規サイトのドメインに結び付くため、偽サイトに誘導されても使われません。これがフィッシングに強い理由です。

多要素認証・FIDO2・パスキーは、ひと言でいうと何か?

三つの言葉は階層が違います。多要素認証は「認証の考え方」、FIDO2 は「それを実現する標準」、パスキーは「FIDO の標準で作られる資格情報」です。

FIDO Alliance は、FIDO2 を W3C の WebAuthn と FIDO の CTAP(Client to Authenticator Protocol)の組み合わせとして説明しています。WebAuthn は Web アプリが公開鍵の資格情報を作って使うための API で、W3C では Level 2 が2021年4月、Level 3 が2026年8月に勧告になっています(2026年9月時点)。CTAP は、パソコンやスマートフォンと、外付けのセキュリティキーなどの認証器がやり取りする手順です。

パスキーについて FIDO Alliance は、スマートフォンやパソコン、セキュリティキーに保存でき、端末のロック解除と同じ操作(生体認証・PIN・パターン)でサインインできる資格情報と説明しています。

認証の3要素と多要素認証は、どう関係するのか?

認証に使う要素は、一般に次の3種類に分けられます。多要素認証かどうかは、要素の数ではなく種類の数で判断します。

認証の3要素(当サイトの整理)
要素例主な弱点
知識(知っているもの)パスワード、PIN、秘密の質問の答え推測・使い回し・フィッシングで漏れる
所持(持っているもの)スマートフォン、セキュリティキー、IC カード紛失・盗難、SIM の乗っ取りなど
生体(本人の身体の特徴)指紋、顔、静脈変更できない。読み取りの誤りがある

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よく混同されるのが「2段階認証」です。2段階認証は確認の回数が2回という意味で、パスワードの後に秘密の質問を聞く方式は2段階でも知識の要素しか使っていません。多要素認証に当たるのは、パスワード(知識)とスマートフォンへの確認(所持)のように種類が異なる組み合わせです。

パスキーでは、端末(所持)の中の秘密鍵を使うために、端末の生体認証や PIN(生体または知識)で本人を確かめます。1回の操作で複数の要素を満たせる点が、利用者の手間を増やさずに強度を上げられる理由です。なお生体認証の照合は端末の中で行われ、生体情報そのものはサーバへ送られません。

パスキーは、なぜフィッシングに強いのか?

パスワードやワンタイムパスワードは「同じ値を知っていれば通る」共有の秘密です。偽サイトに入力させれば、攻撃者はその値を正規サイトで使えます。パスキーは仕組みが違います。

  1. 登録時、端末が利用するサイト専用の鍵の組を作り、公開鍵だけをサイトに登録する。秘密鍵は端末やセキュリティキーの中に残る。
  2. サインイン時、サイトは毎回異なる値(チャレンジ)を送り、端末は本人確認のあと秘密鍵で署名して返す。
  3. WebAuthn では、資格情報は登録したサイト(RP ID で示される)にだけ使えるよう、ブラウザと認証器が範囲を限定する。
  4. そのため、よく似たドメインの偽サイトからは正規サイトの資格情報を呼び出せず、署名も得られない。
  5. サイトから公開鍵が漏れても、それだけではサインインに使えない。
認証方式ごとのフィッシングへの強さ(当サイトの整理)
方式サーバが持つもの偽サイトに入力・中継されたとき
パスワードのみパスワード(のハッシュ値)盗まれた値がそのまま使われる
パスワード+SMS などの確認コードパスワードと電話番号攻撃者がリアルタイムで中継すると突破されうる
パスキー公開鍵ドメインが違うため資格情報が使われない

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パスキーには、クラウドを通じて同じ利用者の複数の端末で使える同期パスキーと、一つの端末やセキュリティキーから出ない端末固定のパスキーがあります。FIDO Alliance によれば、同期の際は端から端まで暗号化されます。どちらを使うかは、利便性と管理の厳しさの兼ね合いで選びます。

偽サイトへの誘導そのものの手口はマルウェアとフィッシングの手口、公開鍵と持ち主を結び付ける別の仕組みは電子証明書とPKIとはで扱っています。

モバイル2級ではどの範囲で、どう問われそうか?

MCPC の公式ページでは、モバイルシステム技術検定2級(100問・100分・4者択一)の出題カテゴリに「情報セキュリティ管理」があり、比率は9%と示されています(2026年9月27日確認)。当サイトでは、公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の第11章「情報セキュリティ」がこの範囲に当たると推定しています(章名から当サイトが判断した対応で、公式の発表ではありません)。

4択では、次のような観点が考えられます。出題頻度は公表されていないので、特定の型が多いとは言えません。

  • 要素の分類:組み合わせが多要素認証に当たるかを判断させる。
  • 仕組みの理解:サーバに登録されるのが公開鍵であることや、生体情報の扱いを問う。
  • 標準の構成:FIDO2 を構成する規格と、それぞれを策定した団体を問う。
  • フィッシング耐性:パスキーが偽サイトに強い理由を、似た説明の中から選ばせる。

試験全体の形式・日程・受検料はモバイルシステム技術検定2級とはにまとめています。

どこで取り違えやすいのか?

選択肢の説明が、次の左の列の考え方になっていないかを確かめてください。

つまずき別の見直し表
取り違え正しい考え方確認する問い
2段階認証=多要素認証種類の違う要素を組み合わせたときだけ多要素要素の種類はいくつあるか
指紋と顔の組み合わせは多要素どちらも生体で、要素の種類は一つ同じ種類を重ねていないか
パスキーは生体情報をサーバで照合する照合は端末内。サーバには公開鍵だけが登録されるサーバに何が送られているか
パスキーは長く複雑なパスワード共有の秘密ではなく、公開鍵暗号の鍵の組同じ値を相手も持っているか
FIDO2 は FIDO Alliance だけの規格WebAuthn は W3C、CTAP は FIDO Allianceどの部分を誰が定めたか
SMS の確認コードなら偽サイトにも強い入力させた値を中継されると突破されうる値を人が入力する方式か

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アクセスのたびに利用者と端末を確かめる考え方は、ゼロトラストとはで扱う設計の土台にもなっています。

確認問題1:多要素認証の組み合わせを選べるか?

次の認証の組み合わせのうち、多要素認証に当たるものはどれか。

  1. パスワードの入力と、あらかじめ登録した秘密の質問への回答
  2. 指紋による生体認証と、顔による生体認証を続けて行う方法
  3. パスワードの入力と、スマートフォンに届いた確認コードの入力
  4. 端末の PIN の入力と、登録した長いパスフレーズの入力

正解:3。パスワードは知識、確認コードを受け取るスマートフォンは所持の要素で、種類の異なる二つを組み合わせています。

1はどちらも知識の要素です。2はどちらも生体の要素で、確認は2回でも種類は一つです。4も PIN とパスフレーズがともに知識の要素です。

確認問題2:FIDO2とパスキーの説明を見分けられるか?

次の記述ア・イの正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

ア:FIDO2 は、W3C の WebAuthn と、FIDO Alliance の CTAP を組み合わせた標準である。

イ:パスキーでは、端末で読み取った生体情報をサーバへ送り、サーバ側で本人と照合する。

  1. ア:正 イ:正
  2. ア:正 イ:誤
  3. ア:誤 イ:正
  4. ア:誤 イ:誤

正解:2。アは FIDO Alliance の説明どおりで正しい記述です。イは誤りで、生体認証は端末の中で行い、サーバには公開鍵の登録と、秘密鍵による署名の検証だけが関わります。

1と3はイを正しいとしている点、4はアまで誤りとしている点で当てはまりません。

確認問題3:パスキーがフィッシングに強い理由を選べるか?

パスキーがフィッシングに強いとされる理由として、最も適切なものはどれか。

  1. パスワードを長く複雑にすることで、推測されにくくしているから
  2. サインインのたびに、SMS で使い捨ての確認コードを送るから
  3. サーバに生体情報を保存し、アクセスのたびに照合しているから
  4. 資格情報が正規サイトのドメインに結び付き、偽サイトで使えないから

正解:4。パスキーの資格情報は登録したサイトにだけ使えるよう範囲が限定されるため、ドメインの違う偽サイトでは署名を得られません。

1はパスワードの強化で、偽サイトに入力させられれば盗まれます。2は確認コードを人が入力する方式で、偽サイトに入力させて中継される危険が残ります。3は仕組みが誤りで、生体情報はサーバに保存されません。

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よくある質問

パスキーを使うと、パスワードは完全に不要になりますか?

サイトによっては、パスキーを追加してもパスワードでのサインインを残しています。パスワードが残っていればその経路は狙われうるため、サイトの設定で何が有効になっているかを確認することが大切です。

スマートフォンを紛失したら、パスキーは使えなくなりますか?

同期パスキーなら、同じアカウントで使っている別の端末から引き続き使えます。端末固定のパスキーだけを登録している場合は、予備の認証手段や別の端末での登録を用意しておく必要があります。

「FIDO2」と「パスキー」は同じ意味ですか?

FIDO2 は規格の名前、パスキーはその規格で作られる資格情報の呼び名です。パスキーを実現するために FIDO2 の規格が使われる、という関係です。

出典・参考

  1. [1]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと比率、確認 2026-09-27)
  2. [2]FIDO Alliance FIDO2(確認 2026-09-27)
  3. [3]FIDO Alliance Passkeys(確認 2026-09-27)
  4. [4]W3C Web Authentication Level 3(勧告 2026-08-25、確認 2026-09-27)
  5. [5]W3C Web Authentication Level 2(勧告 2021-04-08、確認 2026-09-27)

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