この記事の要点
- センサとは、温度・圧力・光・加速度などの物理量を検出し、回路で扱える電気信号に変える素子や装置のこと。原理は「何が変わるか」で、抵抗・静電容量・起電力・磁気の4つの型に分けると覚えやすい。
- 熱電対や圧電素子のように自分で電圧や電荷を生む型と、測温抵抗体やひずみゲージのように外から電流を流して変化を読む型がある。
- 感度は「測る量の変化に対する出力の変化の割合」、分解能は「出力に変化が現れる最小の変化」、精確さ(accuracy)は「真の値への近さ」。国際計量用語集(VIM)の定義で区別できる。
- IoT中級では出題カテゴリ「センサ/アクチュエータ技術と通信方式」(25〜30%、2026年9月27日確認)に当たる。
- 独自の確認問題3問で、用語の区別と分解能の計算を練習できる。
センサの原理とは?一言でいうと
センサの原理とは、測りたい物理量の変化を、素子の電気的な性質の変化(抵抗・静電容量・電圧・電荷など)に結びつけ、電気信号として取り出す仕組みです。
IoTデバイスの中では、センサは入口にあたります。素子が出す信号はたいてい小さく、雑音も混じるので、次のような順番で処理されてからマイコンやクラウドに渡ります。
- 検出:センサ素子が物理量の変化を抵抗・容量・電圧などの変化に変える。
- 信号の調整:ブリッジ回路や増幅器で扱いやすい電圧にし、フィルタで不要な成分を減らす。
- A/D変換:アナログの電圧を一定の間隔で読み取り、数値(デジタル値)にする。
- 処理・送信:マイコンが単位をそろえ、必要に応じてゲートウェイやクラウドへ送る。
2の雑音対策はノイズとフィルタとは、3の読み取り方はA/D変換とサンプリング定理で扱っています。この記事では1の「素子の中で何が起きているか」と、センサの性能を表す用語を整理します。
物理量はどうやって電気信号になる?4つの変換の型
センサの種類は非常に多いですが、「素子の何が変わるか」で分けると、試験で見かける代表的なものは次の4つの型に収まります。
| 変換の型 | 何が変わるか | 代表的な素子 | 読み出しの工夫 |
|---|---|---|---|
| 抵抗が変わる | 温度やひずみで電気抵抗の値が変わる | 測温抵抗体(Pt100は0℃で100Ω)、サーミスタ、ひずみゲージ | 電流を流し、電圧の変化として読む(ブリッジ回路など) |
| 静電容量が変わる | 電極の間隔や、間にある物質の誘電率が変わる | 静電容量式の湿度センサ、MEMSの加速度センサ・気圧センサ | 容量の変化を電圧や周波数に変える回路を組み合わせる |
| 自ら起電力・電荷を生む | 温度差・力・光によって電圧や電荷・電流が生じる | 熱電対(ゼーベック効果)、圧電素子(圧電効果)、フォトダイオード | 外部からの電源なしでも信号が出る。微小なので増幅が必要 |
| 磁気で変わる | 磁場によって電圧や抵抗が変わる | ホール素子、磁気抵抗素子(TMRなど) | 地磁気や磁石の位置を電気信号にする |
← 表は横にスクロールできます →
たとえば、村田製作所は加速度センサを「シリコン容量型3D MEMS」、気圧センサを「静電容量型MEMS」として説明しています。Sensirion の温湿度センサ SHT40 は静電容量式で湿度を測り、I2C のデジタル信号で出力します。Bosch Sensortec の地磁気センサ BMM350 は TMR(トンネル磁気抵抗)技術を使っています(いずれも2026年9月27日確認)。
同じ物理量でも原理は1つではありません。温度なら「抵抗が変わる」測温抵抗体・サーミスタと、「起電力を生む」熱電対の両方があります。種類ごとの使い分けは温度・湿度・圧力センサの種類で比較しています。
「アクティブ/パッシブ」という分け方は、①電源が要るかどうか、②自分から光や音を出して反射を測るかどうか(超音波センサなど)、の2つの意味で使われます。問題文がどちらの意味で使っているかを先に確かめてください。
感度・分解能・精確さは何が違う?
センサの性能を表す言葉は、日常語の「精度が高い」でひとまとめにされがちです。国際度量衡局(BIPM)などがまとめた国際計量用語集(VIM)では、次のように区別されています。
| 用語 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 感度 | 測る量の変化に対する、出力(指示値)の変化の割合 | 温度が1℃上がると出力が10mV増える → 10mV/℃ |
| 分解能 | 出力に目に見える変化が現れる、測る量の最小の変化 | 0.5℃未満の変化では表示が変わらない |
| 精確さ(accuracy) | 測定値が真の値にどれだけ近いか | 真の値25.0℃に対して25.3℃と出る |
| 精密さ(precision) | 同じ条件で繰り返し測った値どうしのそろい具合 | 何度測っても25.3℃前後にそろう |
← 表は横にスクロールできます →
日本語では accuracy を「精確さ」「正確さ」、precision を「精密さ」と訳すことが多く、日常語の「精度」はどちらの意味にも使われます。試験では、選択肢の説明文がどの意味を指しているかで判断してください。
独自の計算例:感度10mV/℃の温度センサを、0〜5Vを10ビット(1,024段階)で読むA/D変換につなぐとします。Arduino の公式リファレンスでは、UNO R3 の読み取りの1段が「5V÷1,024=約4.9mV」と説明されています。1段の4.9mVは温度に直すと約0.49℃なので、この組合せの分解能は約0.5℃です。
ここで注意したいのは、分解能が0.5℃でも、センサ自体の誤差が±1℃なら精確さは±1℃程度にとどまることです。細かく読めることと、正しい値が出ることは別の性能です。
IoT中級ではどこで問われる?
IoTシステム技術検定 中級の公式ページに示された出題カテゴリのうち、「センサ/アクチュエータ技術と通信方式(デバイス、ネットワーク、LPWA、プロトコル)」25〜30% に当たります(2026年9月27日確認)。80問に換算すると20〜24問のカテゴリですが、その中でセンサの原理が何問出るかは公表されていません。
公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』では、第5章「IoTデバイス」に当たる範囲です。章とカテゴリの対応は当サイトの推定で、使っているのは目次の章名だけです。
4択の形としては、当サイトの作問の観点で次のようなものが考えられます(出題の傾向や頻度を示すものではありません)。
- センサ素子と検出原理(抵抗・容量・起電力など)の組合せを選ぶ
- 感度・分解能・精確さの説明として適切なものを選ぶ
- ビット数と入力範囲から分解能を計算する
- 用途に合うセンサと、その原理の説明の誤りを見つける
試験の形式や日程はIoTシステム技術検定 中級とはにまとめています。合格基準は公式に非公開です。
取り違えやすい点は?
| つまずき | 正しい整理 | 見分け方 |
|---|---|---|
| サーミスタも熱電対も「温度で電圧を生む」と思う | サーミスタは抵抗が変わる型、熱電対は起電力を生む型 | 外から電流を流して読むかどうか |
| 熱電対は温度そのものを測ると思う | 2つの接点の温度差に応じた起電力が出る。基準側の温度を補正して温度を求める | 「温度差」「基準接点」という言葉があるか |
| 分解能が細かければ精確だと思う | 分解能は読みの細かさ、精確さは真の値への近さで別の性能 | 「最小の変化」か「真の値」か |
| 感度が高いほど常に良いと思う | 感度が高いと測れる範囲が狭くなったり、雑音も大きく拾ったりすることがある | 測定範囲と雑音の条件が書かれているか |
| アクティブセンサは必ず電源が要るものだと思う | 「自分から光や音を出す」の意味で使う場合もある | 問題文の定義を先に読む |
← 表は横にスクロールできます →
確認問題1:分解能の説明はどれ?
センサの分解能の説明として、最も適切なものはどれか。
- 測る量の変化に対して、出力がどれだけ変化するかの割合のこと
- 出力に変化が現れる、測る量の最も小さな変化の大きさのこと
- 測定した値が、真の値にどれだけ近いかを表す度合いのこと
- 同じ条件で繰り返し測った値が、どれだけそろうかの度合いのこと
正解:2。分解能は「どこまで細かい変化を読み分けられるか」を表します。
1 は感度の説明です。3 は精確さ(accuracy)、4 は精密さ(precision)の説明で、どちらも分解能とは別の性能です。
確認問題2:素子と原理の組合せで誤りはどれ?
センサ素子と検出の原理の組合せとして、最も適切でないものはどれか。
- 熱電対 ― 2種類の金属の接点どうしの温度差に応じて起電力が生じる
- ひずみゲージ ― 素子が伸び縮みすると、電気抵抗の値が変化する
- 静電容量式湿度センサ ― 吸湿によって電極間の静電容量が変化する
- サーミスタ ― 温度差によって、素子が自ら電圧を発生させて出力する
正解:4。サーミスタは温度によって抵抗の値が変わる素子で、読むときは外から電流を流します。温度差で自ら起電力を生むのは熱電対です。
1・2・3 はいずれも正しい組合せです。1 はゼーベック効果、2 は抵抗が変わる型、3 は静電容量が変わる型に当たります。
確認問題3:温度の分解能を計算できる?
感度が20mV/℃の温度センサの出力を、入力範囲0〜5V・10ビットのA/D変換で読み取る。A/D変換の1段で読み分けられる温度の変化として、最も近いものはどれか。センサの誤差と雑音は考えないものとする。
- 約0.24℃
- 約0.49℃
- 約0.98℃
- 約4.9℃
正解:1。10ビットは2の10乗で1,024段階です。1段の電圧は5V÷1,024=約4.9mVで、これを感度20mV/℃で割ると約0.24℃になります。
2 は感度を10mV/℃として計算した値です。3 は8ビット(256段階、1段約19.5mV)として計算した値です。4 は1段の電圧4.9mVを、単位を変えずにそのまま温度と読んだ値です。
確認問題のあとは何をすればいい?
間違えた問題は「素子の何が変わるか」「その用語は何を比べているか」の2点に戻って見直してください。原理の型が言えれば、初めて見るセンサ名の選択肢でも判断しやすくなります。
本番と同じ4択で、通信方式やセキュリティなど他のカテゴリと混ぜて解くなら、登録不要のIoT中級の無料お試し20問で全問の解説まで確認できます。センサを小さく加工する技術はMEMSとはへ進んでください。
よくある質問
センサとトランスデューサは同じ意味ですか?
重なる部分が大きい言葉です。トランスデューサはエネルギーや信号の形を別の形に変える素子全般を指し、測るためのもの(センサ)と動かすためのもの(スピーカーなど)の両方を含む使われ方をします。試験では、問題文が「検出」を指しているか「変換」全般を指しているかで判断してください。
感度と分解能はどちらが大事ですか?
用途によります。小さな変化を見分けたいなら分解能が、限られた電圧の範囲で大きな信号を得たいなら感度が効きます。ただし、どちらが良くても精確さ(真の値への近さ)は別に確かめる必要があります。
IoT中級でセンサの原理は何問出ますか?
公式に示されているのはカテゴリ単位の比率だけで(「センサ/アクチュエータ技術と通信方式」25〜30%、2026年9月27日確認)、センサの原理の問題数は公表されていません。
出典・参考
- [1]MCPC IoTシステム技術検定 中級(出題カテゴリと比率、2026年9月27日確認)
- [2]BIPM/JCGM VIM3 4.12 sensitivity of a measuring system(2026年9月27日確認)
- [3]BIPM/JCGM VIM3 4.14 resolution(2026年9月27日確認)
- [4]BIPM/JCGM VIM3 2.13 measurement accuracy(2026年9月27日確認)
- [5]BIPM/JCGM VIM3 2.15 measurement precision(2026年9月27日確認)
- [6]Arduino Documentation analogRead()(2026年9月27日確認)
- [7]村田製作所 加速度センサ(2026年9月27日確認)
- [8]村田製作所 圧力センサ(2026年9月27日確認)
- [9]Sensirion SHT40(2026年9月27日確認)
- [10]Bosch Sensortec BMM350(2026年9月27日確認)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
公式の出題カテゴリの比率どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。
あわせて読みたい
当サイトは、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)とは関係のない個人が運営する非公式の学習教材です。掲載している問題はすべて当サイトのオリジナルで、実際の試験問題・過去問題・再現問題ではありません。試験の日程・受検料・出題範囲は公式サイト(https://www.mcpc-jp.org/license/ )で必ず確認してください。合格を保証するものではありません。合格の目安は当サイトの推定です。技術・制度の記述は「最終確認日」時点のものです。