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アジャイルとスクラムとは|IoT中級で問われる点

アジャイル開発とスクラムの違いを一文で整理し、ウォーターフォールとの比較表、スクラムの3つの責任・5つのイベント・3つの作成物を解説。IoTでの注意点と、IoT中級向けの独自確認問題3問つきです。

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執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • アジャイル開発は、短い期間で作って確かめ、変化に合わせて計画を直しながら進める開発の考え方の総称です。スクラムは、その考え方を実践するための代表的な枠組み(フレームワーク)の一つです。
  • スクラムガイド(2020年11月版)では、3つの責任(プロダクトオーナー・スクラムマスター・開発者)、5つのイベント、3つの作成物が定められています。スプリントは1か月以内、デイリースクラムは15分です。
  • ウォーターフォールは工程を順に進める計画重視の進め方、アジャイルは短い周期の繰り返しで変化に対応する進め方です。どちらが常に優れているというものではありません。
  • MCPC の公式ページによると、『IoT技術テキスト 第4版』ではアジャイル開発の解説が強化されました。当サイトではIoT中級の「IoTシステム構成と構築技術」(比率15〜25%)の範囲として扱います。

アジャイルとスクラムとは何か?どう違うのか?

一言でいうと、アジャイルは「考え方」、スクラムは「その考え方を実践する具体的な枠組み」です。

アジャイルの考え方は、2001年に公開された「アジャイルソフトウェア開発宣言」によく表れています。宣言では、プロセスやツールよりも個人と対話を、包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、契約交渉よりも顧客との協調を、計画に従うことよりも変化への対応を価値とする、という4つの価値が示されています。宣言自身が述べているとおり、右側(プロセス、ドキュメントなど)にも価値があることを認めたうえで、左側をより重視するという意味です。

スクラムは、アジャイルの考え方に沿った代表的な枠組みで、公式の解説書「スクラムガイド」で定義されています。アジャイルの実践方法にはスクラムのほかにもさまざまな手法があり、「アジャイル=スクラム」ではありません。

ウォーターフォールとは何が違うのか?

両者の違いを、計画・進め方・変更への対応などで比べます。一般的な説明の整理で、実際の現場では両方を組み合わせることもあります。

ウォーターフォールとアジャイルの比較(当サイトの整理)
観点ウォーターフォールアジャイル(スクラムなど)
進め方要件定義→設計→実装→テストを順に一度ずつ進める短い期間(スプリント)の中で計画・実装・確認を繰り返す
計画最初に全体を詳しく決める全体の方向を決め、細部は周期ごとに見直す
変更への対応後の工程での変更は手戻りが大きくなりやすい次の周期の計画に取り込みやすい
利用者の確認完成に近い段階でまとめて確認することが多い周期ごとに動くものを見せて意見を得る
向く場面要件が固まっていて変わりにくい開発要件が変わりやすい、試しながら決めたい開発

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IoT では、センサや基板などのハードウェアは部品の手配や製造に時間がかかり、短い周期で作り直すのが難しい面があります。そのため、ハードウェアは段階を区切って進め、クラウドやアプリ、遠隔で更新できるファームウェアは短い周期で改善する、という組み合わせがよく検討されます。試作を繰り返す進め方はIoTプロトタイピングの進め方とPoCとはで扱っています。

スクラムの役割とイベントはどうなっているのか?

スクラムガイド(2020年11月版)では、スクラムチームは通常10人以下で、チームの中に下位のチームや上下関係はないとされています。チームには次の3つの責任があります。

  1. スプリント:1か月以内の固定の期間。ほかのイベントはすべてこの中で行います。
  2. スプリントプランニング:スプリントで何をなぜ行うかを計画します(最大8時間)。
  3. デイリースクラム:開発者が15分で、スプリントゴールに向けた進み具合を確かめ、この先の作業の計画(スプリントバックログ)を必要に応じて調整します。
  4. スプリントレビュー:成果を関係者と確かめ、今後の方向を話し合います(最大4時間)。リリースの関門ではないとされています。
  5. スプリントレトロスペクティブ:チームの進め方をふり返り、改善を決めます(最大3時間)。
スクラムの3つの責任(スクラムガイド2020年版に基づく当サイトの要約)
責任担うこと
プロダクトオーナープロダクトの価値を最大化し、プロダクトバックログを管理する
スクラムマスタースクラムを確立し、チームの効果を高める。上司として作業を指示する役ではない
開発者スプリントごとに、利用できるインクリメント(成果)を作る

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イベントは5つで、すべてスプリントという期間の中で行います。時間の上限は1か月のスプリントの場合の値です(スプリントが短ければ、ふつうはこれより短くします)。

作成物は3つで、それぞれに目標となる「確約」があります。プロダクトバックログにはプロダクトゴール、スプリントバックログにはスプリントゴール、インクリメントには完成の定義が対応します。

IoT中級ではどの範囲で、どう問われそうか?

MCPC の公式ページでは、IoTシステム技術検定 中級(80問・90分・4者択一)の出題カテゴリとして「IoTシステム構成と構築技術(アーキテクチャ、サービスプラットフォーム)」が示され、比率は15〜25%です。当サイトでは、公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』の第8章「IoTシステムの開発・運用・保守上の留意点」がこの範囲に当たると推定しています。章とカテゴリの対応は、章名から当サイトが判断した推定です。

MCPC のテキスト紹介ページでは、第4版の改訂点として、生成AI、アジャイル開発の解説の強化、DevOps・CI/CD の解説と MLOps・DevSecOps への言及、産業用ロボットとスマート工場の追記が挙げられています。4択の型としては次のようなものが考えられます(出題頻度は公表されていません)。

  • イベントや役割の説明:説明文からデイリースクラムやスクラムマスターなどを選ばせる。
  • 不適切な記述:スクラムマスターを上司と説明するなど、役割の誤りを見抜かせる。
  • 開発手法の比較:ウォーターフォールとアジャイルの特徴を組み合わせで問う。
  • 運用とのつながり:短い周期の開発を支える自動化(CI/CD)と結び付けて問う。

開発と運用をつなぐ自動化はDevOpsとCI/CDとはで扱っています。試験全体の形式はIoTシステム技術検定 中級とはを確認してください。

どこで取り違えやすいのか?

用語の取り違えは、選択肢の「誰が」「何を」を分けて読むと見つけやすくなります。

つまずき別の見直し表
取り違え正しい考え方確認する問い
アジャイル=スクラムアジャイルは考え方の総称、スクラムはその枠組みの一つ考え方か、具体的な枠組みか
アジャイルは計画も文書も作らない計画は周期ごとに見直す。文書にも価値を認めたうえで動く成果を重視する「不要」と言い切っていないか
スクラムマスター=管理職スクラムの実践を助け、チームの効果を高める役割作業を指示する上司として書かれていないか
レビューとレトロスペクティブの混同レビューは成果の確認、レトロスペクティブは進め方のふり返り見直す対象は成果か、進め方か
スプリントの長さは自由1か月以内の固定の期間期間の上限を超えていないか

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確認問題1:スクラムのイベントを説明から選べるか?

スクラムのイベントのうち、開発者が毎日15分で、スプリントゴールに向けた進み具合を確かめ、必要に応じてこの先の作業の計画を調整するものはどれか。

  1. スプリントプランニング
  2. スプリントレビュー
  3. スプリントレトロスペクティブ
  4. デイリースクラム

正解:4。毎日15分で進み具合を確かめ、計画を調整するのはデイリースクラムです。

1はスプリントの初めに、何をなぜ行うかを計画するイベントです。2はスプリントの成果を関係者と確かめ、今後の方向を話し合うイベントです。3はチームの進め方(人・やり取り・道具など)をふり返り、改善を決めるイベントです。

確認問題2:スクラムの役割の誤りを見抜けるか?

スクラムの責任(役割)に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. スクラムマスターはチームの上司として、開発者一人ひとりの作業の割り当てを決めて指示する
  2. プロダクトオーナーは、プロダクトの価値の最大化と、プロダクトバックログの管理を担う
  3. スクラムマスターは、スクラムの理解と実践を助け、チームの効果を高めることを担う
  4. 開発者は、スプリントごとに、完成の定義を満たす利用可能なインクリメントを作る

正解:1。スクラムガイドでは、スクラムチームの中に上下関係はなく、チームは誰が何をどう行うかを自分たちで決めるとされています。スクラムマスターは作業を指示する上司ではありません。

2はプロダクトオーナーの説明として適切です。3はスクラムマスターの説明として適切です。4は開発者の説明として適切です。

確認問題3:ウォーターフォールとアジャイルを区別できるか?

次の記述ア・イの正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

ア:ウォーターフォールは、要件定義から設計・実装・テストへと工程を順に進める進め方で、後の工程での変更は手戻りが大きくなりやすい。

イ:アジャイル開発では、変化に対応することを重視するため、計画は立てず、文書も一切作成しない。

  1. ア:正 イ:正
  2. ア:正 イ:誤
  3. ア:誤 イ:正
  4. ア:誤 イ:誤

正解:2。アはウォーターフォールの一般的な説明として正しい内容です。イは誤りで、アジャイルでも計画は立て、短い周期ごとに見直します。アジャイル宣言も文書などに価値があることを認めたうえで、動くソフトウェアをより重視するという立場です。

1はイを正しいとしている点、3はアを誤り・イを正しいとしている点、4はアまで誤りとしている点で当てはまりません。

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よくある質問

スクラムの「開発チーム」という言い方は間違いですか?

以前の版のスクラムガイドでは「開発チーム」という言葉が使われていましたが、2020年11月版では「開発者」という責任として整理されています。古い資料と表現が違う場合があるので、選択肢では役割の中身で判断してください。

IoTのハードウェア開発にもスクラムは使えますか?

使えないわけではありませんが、部品の手配や製造には時間がかかるため、ソフトウェアほど短い周期で作り直せない場合があります。ハードウェアは段階を区切り、ソフトウェアやクラウドは短い周期で改善する組み合わせがよく検討されます。

時間の上限(8時間・4時間・3時間)まで覚える必要がありますか?

出題の細かさは公表されていないため断定できませんが、スプリントが1か月以内、デイリースクラムが15分という基本は押さえておくと、説明文からイベントを選ぶ問題に対応しやすくなります。

出典・参考

  1. [1]MCPC IoTシステム技術検定 中級(出題カテゴリ・形式)確認 2026-09-27
  2. [2]MCPC 検定テキスト(IoT技術テキスト 第4版の改訂点)確認 2026-09-27
  3. [3]The Scrum Guide(2020年11月版)確認 2026-09-27
  4. [4]アジャイルソフトウェア開発宣言(2001年)確認 2026-09-27

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