この記事の要点
- 温度センサの代表は、熱電対(温度差で起電力)・測温抵抗体(白金の抵抗変化)・サーミスタ(半導体の大きな抵抗変化)・IC温度センサ(デジタル出力)の4種類。高温なら熱電対、精密さなら測温抵抗体、手軽さと感度ならサーミスタ、と得意分野が違う。
- 湿度センサは多くが相対湿度(%RH)を測る。相対湿度は温度で変わるので、温度と一緒に測るICが多い。
- 圧力は「何を基準にするか」で絶対圧(真空が基準)・ゲージ圧(大気圧が基準)・差圧(2点の差)に分かれる。
- 選ぶときは「量と範囲 → 必要な精確さ → 応答 → 設置環境 → 出力と電源 → 保守」の順に絞る。
- IoT中級では「センサ/アクチュエータ技術と通信方式」(25〜30%、2026年9月27日確認)に当たる。
温度・湿度・圧力センサとは?一言でいうと
温度・湿度・圧力センサは、周りの環境の状態を電気信号に変える、IoTで最も身近なセンサです。工場の設備監視、ビルの空調、農業のハウス管理、物流の保冷など、多くのIoTシステムがこの3つの値から始まります。
どれも「何の変化を電気の変化にするか」で種類が分かれます。抵抗・静電容量・起電力という変換の型そのものはセンサの原理とはで整理しているので、この記事では種類ごとの使い分けに絞ります。
温度センサにはどんな種類がある?比較表で見る
| 種類 | 原理 | 得意なこと | 注意すること |
|---|---|---|---|
| 熱電対 | 2種類の金属の接点どうしの温度差で起電力が生じる(ゼーベック効果) | 高温まで測れる。K熱電対はNISTの熱起電力表で−270〜1,372℃の範囲が示され、1,000℃付近の測定にも使われる。電源が要らない | 出力が小さい(K熱電対で約41μV/℃)。基準接点の温度補償が必要。1℃未満の誤差は出しにくい |
| 測温抵抗体 | 白金などの電気抵抗が温度で変わる。Pt100は0℃で100Ω(IEC 60751) | 精確さと長期の安定性が高い | 導線の抵抗が誤差になるため、3線式・4線式でつなぐことが多い |
| サーミスタ | 半導体の抵抗が温度で大きく変わる。NTCは温度が上がると抵抗が下がり、PTCは上がる | 感度が高く小型・安価 | 温度と抵抗の関係が直線でない。測れる範囲は狭め。流す電流による自己発熱に注意 |
| IC温度センサ | 半導体の性質を利用し、ICの中で数値に変える | I2Cなどのデジタル信号で出せる。電池駆動の機器に組み込みやすい | IC自身や基板の発熱の影響を受けやすい。高温には向かない |
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熱電対の型式は、米国国立標準技術研究所(NIST)の熱起電力表でB・E・J・K・N・R・S・Tの8種類が示されています。IC温度センサの例として、Sensirion の SHT40 は温度の精確さ±0.2℃(標準値)、I2C出力、電源電圧1.08〜3.6V とされています(2026年9月27日確認)。
熱電対が測っているのは「2つの接点の温度差」です。基準側(計器側)の温度を別の温度センサで測って補正し、はじめて測定点の温度が分かります。この点は選択肢で言い換えられやすいところです。
湿度センサと圧力センサは何で分かれる?
湿度センサの多くは相対湿度を測ります。相対湿度は、その温度で空気が含める水蒸気の最大量に対して、いまどれだけ含んでいるかの割合です。同じ水蒸気の量でも温度が上がれば相対湿度は下がるため、湿度センサは温度センサと一体になっていることが多くあります。
方式としては、吸湿で誘電率が変わり電極間の静電容量が変わる静電容量式が代表的です。Sensirion の SHT40 は静電容量式で、湿度の精確さは±1.8%RH(標準値)とされています。Bosch Sensortec の BME280 は、湿度・気圧・温度の3つを1つのパッケージで測ります(いずれも2026年9月27日確認)。
圧力センサは、何を基準にした圧力かで呼び方が変わります。
| 区別 | 基準 | IoTでの例 |
|---|---|---|
| 絶対圧 | 真空(圧力ゼロ) | 気圧計、気圧の差から階の移動や高さの変化を推定する |
| ゲージ圧 | その場の大気圧 | タイヤの空気圧、配管やボンベの内圧の監視 |
| 差圧 | 2点のうち一方 | フィルタの目詰まりの監視、タンクの液面の推定 |
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検出方式は、薄い膜(ダイアフラム)が圧力でたわむことを利用するものが中心で、たわみを抵抗の変化として読むピエゾ抵抗式と、電極間の距離の変化として読む静電容量式があります。村田製作所は静電容量型MEMSの気圧センサを、屋内ナビゲーションやエレベーターの階の検出などに使える製品として説明しています(2026年9月27日確認)。小さく作る技術はMEMSとはで解説しています。
センサを選ぶときはどんな順番で考える?
試験の選択肢でも実務でも、次の順番で条件を当てはめると候補を絞りやすくなります。
- 測りたい量と範囲:何を、何℃(何kPa、何%RH)から何まで測るか。
- 必要な精確さと分解能:±何℃の誤差まで許されるか、どこまで細かく読みたいか。
- 応答の速さ:変化にどれだけ速く追従する必要があるか。
- 設置環境:高温・水・振動・薬品・配線の長さ・電気的な雑音。
- 出力と電源:アナログ出力かI2Cなどのデジタル出力か、電池で動かすか。
- 保守:校正の間隔、交換のしやすさ、費用。
当サイトの説明用の例で当てはめると、約1,000℃になる炉は範囲の条件で熱電対、恒温室の精密な管理は精確さの条件で測温抵抗体、電池で動く室内の見守り機器は電源と出力の条件でIC温湿度センサ、が候補になります。ハウス栽培での使い方はスマート農業とはへ。
IoT中級ではどこで問われる?
IoTシステム技術検定 中級の公式ページに示された出題カテゴリのうち、「センサ/アクチュエータ技術と通信方式(デバイス、ネットワーク、LPWA、プロトコル)」25〜30% に当たります(2026年9月27日確認)。この中で温度・湿度・圧力センサが何問出るかは公表されていません。
公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』では、第5章「IoTデバイス」に当たる範囲です。章とカテゴリの対応は当サイトの推定で、使っているのは目次の章名だけです。
4択の形としては、当サイトの作問の観点で次のようなものが考えられます(出題の傾向や頻度を示すものではありません)。
- 用途の条件(高温・精密・電池駆動)に合う温度センサを選ぶ
- 熱電対・測温抵抗体・サーミスタの原理の説明の誤りを見つける
- 絶対圧・ゲージ圧・差圧の区別を選ぶ
- 相対湿度と温度の関係についての記述を判断する
試験の形式はIoTシステム技術検定 中級とはへ。合格基準は公式に非公開です。
取り違えやすい点は?
| つまずき | 正しい整理 | 見分け方 |
|---|---|---|
| NTCとPTCの向きを逆に覚える | NTCは温度が上がると抵抗が下がる(Negative)、PTCは上がる(Positive) | 頭文字の「負・正」で覚える |
| 熱電対は1点の温度をそのまま出すと思う | 接点どうしの温度差に応じた起電力。基準接点の補償が要る | 「温度差」「基準接点」の有無 |
| 測温抵抗体も熱電対も電源が要らないと思う | 測温抵抗体は電流を流して抵抗を読む。自ら起電力を生むのは熱電対 | 抵抗型か起電力型か |
| 相対湿度は温度に関係ないと思う | 同じ水蒸気量でも温度で値が変わる | 「相対」という言葉に注目 |
| ゲージ圧と絶対圧を同じだと思う | ゲージ圧は大気圧が基準、絶対圧は真空が基準 | 基準が何かを問われているか |
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確認問題1:高温の炉に向く温度センサは?
約1,000℃になる加熱炉の内部の温度を、連続して測りたい。最も適切なものはどれか。
- NTCサーミスタを使い、抵抗の大きな変化から温度を読み取る
- 静電容量式の素子を使い、容量の変化から温度を読み取る
- 熱電対を使い、接点に生じる起電力から温度を読み取る
- 測温抵抗体を使い、白金の抵抗の変化から温度を読み取る
正解:3。熱電対は高温まで測れるのが特長で、K熱電対はNISTの熱起電力表で1,372℃までの範囲が示されており、1,000℃付近の測定にも使われます。
1 のサーミスタは感度が高い反面、測れる範囲が狭く、1,000℃付近には向きません。2 の静電容量式は湿度や圧力の検出に使われる方式で、炉内の温度測定の方式としては不適切です。4 の測温抵抗体は精確さに優れますが、得意な範囲は数百℃までで、1,000℃付近では熱電対が選ばれます。
確認問題2:大気圧を基準にした圧力は?
タイヤの空気圧計の表示のように、その場の大気圧を基準(ゼロ)として表した圧力を何というか。
- 絶対圧
- ゲージ圧
- 差圧
- 標準大気圧
正解:2。大気圧を基準にした圧力がゲージ圧です。タイヤの中の圧力が大気圧と同じなら、ゲージ圧はゼロと表示されます。
1 の絶対圧は真空を基準にした圧力です。3 の差圧は任意の2点の圧力の差で、基準は大気圧に限りません。4 の標準大気圧は基準として決めた気圧の値の名前で、圧力の表し方の区別ではありません。
確認問題3:湿度についての誤りはどれ?
湿度センサと相対湿度についての記述として、最も適切でないものはどれか。
- 相対湿度は、空気中の水蒸気量が同じでも、温度が変わると値が変わる
- 静電容量式は、吸湿による誘電率の変化を静電容量の変化として読む
- 温度と湿度を1つのICで測り、デジタル信号で出力する製品がある
- 相対湿度は、温度に関係なく空気中の水蒸気の重さを直接表している
正解:4。相対湿度は「その温度で含める最大量に対する割合」なので、温度に関係なく水蒸気の重さを直接表すものではありません。
1 は相対湿度の性質として正しい記述です。2 は静電容量式の原理として正しい記述です。3 は SHT40 や BME280 のように温度と湿度をまとめて測るICがあり、正しい記述です。
確認問題のあとは何をすればいい?
迷った問題は「何を基準にしているか」「何が変わる素子か」の2点で見直してください。温度センサなら抵抗型か起電力型か、圧力なら真空か大気圧か、湿度なら相対か絶対か、の区別でほとんどの選択肢を判断できます。
通信方式など他のカテゴリと混ぜて本番と同じ4択で確かめるなら、登録不要のIoT中級の無料お試し20問で全問の解説まで確認できます。
よくある質問
熱電対・測温抵抗体・サーミスタのうち、どれが一番精確ですか?
一般には測温抵抗体が精確さと安定性に優れるとされます。ただし製品ごとの差が大きいので、試験では「高温なら熱電対」「精密さなら測温抵抗体」「感度と手軽さならサーミスタ」という得意分野の違いで判断するのが確実です。
気圧センサで高さが分かるのはなぜですか?
高い所ほど上にある空気が少なく、気圧が低くなるからです。絶対圧を細かく測れる気圧センサを使うと、気圧の小さな差から階の移動などの高さの変化を推定できます。天気による気圧の変化も入るので、基準の取り直しが必要になります。
IoT中級で温度センサの種類は何問出ますか?
公式に示されているのはカテゴリ単位の比率だけで(「センサ/アクチュエータ技術と通信方式」25〜30%、2026年9月27日確認)、温度センサの問題数は公表されていません。
出典・参考
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
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