この記事の要点
- このまとめは当サイトの整理です。IoT基礎で計算問題が出るか、どんな形式かは公表されていません。「出る」とは言えませんが、簡単な計算ができると用語の意味を取り違えにくくなります。
- 代表値は平均値・中央値・最頻値の3つ。平均値は外れ値の影響を最も受けやすく、中央値や最頻値は受けにくい。
- ばらつきは分散(偏差の2乗の平均)と標準偏差(分散の正の平方根)。標準偏差は元のデータと同じ単位になる。
- 相関係数は−1から1の値をとり、2つの量の直線的な関係の強さを表す。相関があっても、原因と結果の関係(因果)があるとは限らない。
- 回帰分析は、データに最もよく合う線を式にして、一方の値から他方を予測する方法。代表的な求め方が最小二乗法。
このまとめの使い方(当サイトの整理)
IoT基礎の公式テキスト『IoT技術テキスト 基礎編 改訂4版』では、第6章「IoTでデータを活用する」の中に、統計と確率、相関と回帰の話題があります(当サイトの章別ドリルの章立ては、テキストの目次の見出しだけを参照しています)。公式ページはこの分野を出題カテゴリ「IoTデータ活用技術(AI)」として示していますが、比率や問題数は公表していません(2026年9月27日確認)。
この記事の数値の例は、すべて当サイトが作ったものです。まず例を読んで自分で計算し、最後の練習問題で確かめてください。第6章の全体像はIoT基礎 第6章の要点にまとめています。
| 用語 | 一言でいうと | IoTでの使い道の例 |
|---|---|---|
| 平均値 | 値の合計を個数で割ったもの | 1日の平均室温 |
| 中央値 | 小さい順に並べて真ん中にくる値 | 応答時間の典型的な値 |
| 最頻値 | 最も多く現れる値 | よく出るエラーコード |
| 分散・標準偏差 | 平均からのばらつきの大きさ | センサの測定値の安定性 |
| 相関係数 | 2つの量の直線的な関係の強さ(−1〜1) | 気温と消費電力の関係 |
| 回帰直線 | 一方から他方を予測する直線の式 | 気温から消費電力を予測する |
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代表値(平均・中央値・最頻値)はどう違う?
代表値は、データ全体を1つの値で表すものです。統計局の「なるほど統計学園」は、平均値は3つのうち外れ値の影響を最も受けやすく、中央値はそれほど影響を受けず、最頻値は外れ値の影響をまず受けない、と説明しています(2026年9月27日確認)。
例(当サイトが作成):温度センサが1時間ごとに送った値が、20℃・22℃・22℃・24℃・37℃ だったとします。最後の37℃は、センサに直射日光が当たった異常な値だと考えてください。
| 代表値 | 5つの値で計算 | 37℃を除いた4つで計算 |
|---|---|---|
| 平均値 | (20+22+22+24+37)÷5=125÷5=25℃ | 88÷4=22℃ |
| 中央値 | 小さい順の3番目=22℃ | 真ん中2つ(22と22)の平均=22℃ |
| 最頻値 | 2回出る22℃ | 22℃ |
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外れ値が1つ入るだけで平均値は3℃も上がりますが、中央値と最頻値は変わりません。IoTのデータには、通信の乱れやセンサの故障による異常な値が混ざるので、「平均値だけを見て判断しない」ことが大切です。
データの個数が偶数のときの中央値は、真ん中の2つの値を足して2で割った値です。「真ん中のどちらか一方」を答えてしまうのは、よくある取り違えです。
ばらつき(分散・標準偏差)はどう計算する?
平均が同じでも、ばらつきが違うデータがあります。ばらつきは次の手順で数値にします。
- 平均を出す。
- 偏差を出す:それぞれの値から平均を引く(合計すると必ず0になる)。
- 偏差を2乗して平均する:これが分散。2乗するのはマイナスを消すため。
- 分散の正の平方根をとる:これが標準偏差。元のデータと同じ単位(℃など)に戻る。
| センサ | 5つの値(℃) | 平均 | 偏差の2乗の合計 | 分散 | 標準偏差 |
|---|---|---|---|---|---|
| A | 21, 22, 23, 24, 25 | 23 | 4+1+0+1+4=10 | 10÷5=2 | √2≒1.41℃ |
| B | 17, 20, 23, 26, 29 | 23 | 36+9+0+9+36=90 | 90÷5=18 | √18≒4.24℃ |
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A と B は平均がどちらも23℃ですが、B のほうが標準偏差が大きく、値が安定していません。同じ場所を測っているなら、B のセンサの取り付け方や故障を疑うきっかけになります。
分散を「個数 n」ではなく「n−1」で割る不偏分散もあります。標本から母集団のばらつきを推定するときに使い、A なら 10÷4=2.5 です。問題文に「個数で割る」などの指定があれば、それに従ってください。
データが正規分布(平均を中心にした左右対称の山の形)に近いとき、平均±標準偏差1つ分の範囲に約68%、±2つ分の範囲に約95%のデータが入ります。異常値の目安を決めるときに使われる考え方です。
確率はどこで使う?
IoTでは、機器の故障や通信の失敗を確率で考える場面があります。第6章の「統計と確率」の土台として、次の2つの考え方を押さえておくと役に立ちます(当サイトの整理)。
- 独立な事象が両方起きる確率は掛け算:故障する確率が0.1のセンサ2台が、互いに影響し合わずに両方とも故障する確率は 0.1×0.1=0.01。
- 「少なくとも1つ」は1から引く:2台のうち少なくとも1台が動いている確率は、1−0.01=0.99。センサを二重にすると、止まる確率が大きく下がる。
同じ考え方は、IoT中級やモバイル1級で扱う稼働率の計算にもつながります。IoT中級の計算問題の解き方で、稼働率の例題を練習できます。
相関と相関係数は、何を表す?
相関は、2つの量の間に「一方が大きいと他方も大きい(または小さい)」という関係があるかどうかです。統計局の「なるほど統計学園」は、相関係数は−1から1までの値をとり、2つの変数の共分散を、それぞれの標準偏差を掛け合わせたもので割った値だと説明しています(2026年9月27日確認)。
| 相関係数 | 読み方 | 散布図の形 |
|---|---|---|
| 1に近い | 強い正の相関(一方が大きいほど他方も大きい) | 右上がりの直線に集まる |
| 0に近い | 直線的な関係はほとんどない | 丸く散らばる |
| −1に近い | 強い負の相関(一方が大きいほど他方は小さい) | 右下がりの直線に集まる |
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注意したいのは、相関があっても因果関係があるとは限らないことです。統計局の同じページも、関係のない量どうしで偶然に相関係数が高く出る「見せかけの相関」があると注意しています。たとえば、アイスの売上と水難事故の件数はどちらも気温が高いと増えますが、一方が他方の原因ではありません。
また、相関係数が0に近くても、曲線の関係(山形など)がある場合があります。相関係数は直線的な関係だけを見る指標なので、散布図で形を確かめる習慣をつけてください。
回帰分析の考え方は?
回帰分析は、データに最もよく合う線を式にして、一方の値(説明変数 x)から他方の値(目的変数 y)を予測する方法です。直線なら y=ax+b の形になり、実測値と予測値の差(残差)の2乗の合計が最小になるように a と b を決めるのが最小二乗法です(なるほど統計学園、2026年9月27日確認)。
例(当サイトが作成):ある建物の気温 x(℃)と消費電力 y(kW)を5日分測りました。
| 手順 | 計算 | 結果 |
|---|---|---|
| データ | x:20, 22, 24, 26, 28 / y:31, 33, 36, 38, 42 | — |
| 平均 | x の平均=120÷5、y の平均=180÷5 | x̄=24、ȳ=36 |
| x の偏差の2乗の合計 | 16+4+0+4+16 | 40 |
| x と y の偏差の積の合計 | (−4)(−5)+(−2)(−3)+0+(2)(2)+(4)(6)=20+6+0+4+24 | 54 |
| 傾き a | 54÷40 | 1.35 |
| 切片 b | ȳ − a × x̄=36 − 1.35×24 | 3.6 |
| 回帰直線 | y=1.35x+3.6 | 気温が1℃上がると約1.35kW増える |
| 相関係数 | 54÷√(40×74)(y の偏差の2乗の合計は74) | 約0.99(強い正の相関) |
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この式で気温30℃の日を予測すると、1.35×30+3.6=44.1kW です。ただし、データの範囲(20〜28℃)の外を予測するときは注意が必要です。範囲の外では、関係が直線のまま続くとは限りません。
回帰は機械学習の「回帰」(数値を予測する教師あり学習)の基本でもあります。分類との違いなど、機械学習の全体は機械学習とは、欠損値や外れ値の扱いはデータの前処理で扱っています。
練習問題(オリジナル)
次の3問は当サイトが作った問題で、公式のサンプル問題や本番の問題ではありません。途中の計算を紙に書いてから選択肢を見てください。
確認問題1:外れ値を含むデータの代表値は?
5つのデータ 3, 5, 5, 6, 21 についての記述として、最も適切なものはどれか。
- 平均値は8で、中央値より大きい
- 中央値は6である
- 最頻値は21である
- 21を除いて計算し直すと、平均値は8より大きくなる
正解:1。平均値は(3+5+5+6+21)÷5=40÷5=8、中央値は小さい順の3番目の5なので、平均値のほうが大きくなります。大きな外れ値21に平均値が引っ張られています。
2 の6は小さい順の4番目で、中央値は3番目の5です。3 の最頻値は2回現れる5で、21ではありません。4 は、21を除くと(3+5+5+6)÷4=4.75 となり、8より小さくなります。
確認問題2:標準偏差はいくつ?
5つのデータ 4, 6, 8, 10, 12 の標準偏差として、最も適切なものはどれか。ただし、分散は偏差の2乗の合計をデータの個数で割って求めるものとする。
- 8
- 40
- 10
- 約2.83
正解:4。平均は40÷5=8、偏差は −4, −2, 0, 2, 4 で、2乗の合計は 16+4+0+4+16=40。分散は40÷5=8、標準偏差は √8≒2.83 です。
1 の8は分散(または平均)で、平方根をとる前の値です。2 の40は偏差の2乗の合計で、個数で割る前の値です。3 の10は、個数5ではなく4(n−1)で割った不偏分散で、問題文の指定と違います。
確認問題3:相関の説明として正しいのは?
相関と相関係数についての説明として、最も適切なものはどれか。
- 相関係数が0.9であれば、一方の量が原因で、もう一方の量が結果であると言える
- 相関係数が−0.8のとき、一方の量が大きいほど、もう一方の量は小さくなる傾向が強い
- 相関係数は0から100までの値をとり、100に近いほど関係が強い
- 相関係数が0であれば、2つの量の間にはどのような関係もないと言える
正解:2。相関係数が−1に近いほど、強い負の相関(一方が大きいと他方が小さい)を表します。
1 は、相関があっても因果関係があるとは限らないので誤りです(見せかけの相関の可能性もあります)。3 は、相関係数の範囲は−1から1なので誤りです。4 は、相関係数は直線的な関係だけを見るので、0でも曲線の関係がある場合があり、誤りです。
よくある質問
IoT基礎で計算問題は出ますか?
出題形式の詳細は公表されていないため、当サイトは「出る」とは言いません。ただ、平均・中央値のような簡単な計算ができると、用語の定義を取り違えにくくなるので、手を動かして練習しておくことをすすめます。
分散と標準偏差は、どちらを覚えればよいですか?
両方です。分散は偏差を2乗して平均したもの、標準偏差はその正の平方根です。標準偏差は元のデータと同じ単位になるので、「平均からどのくらい離れるのが普通か」を直感的に読めます。
相関係数や回帰直線の式を覚える必要はありますか?
当サイトとしては、式を丸暗記するより、相関係数の範囲(−1〜1)と読み方、相関と因果の違い、回帰は予測に使う直線である、という意味を説明できることを優先してすすめます。計算の手順は、この記事の例を1回自分で追えば十分です。
機械学習の問題とどうつながりますか?
回帰分析は、数値を予測する教師あり学習の「回帰」の基本です。平均や標準偏差は、データの前処理(標準化など)でも使います。統計の用語を押さえておくと、第6章の機械学習の節も読みやすくなります。
出典・参考
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
出題カテゴリの配分どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。
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