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データの前処理とは|欠損値・外れ値・正規化

データの前処理を、欠損値・外れ値・ノイズ・正規化・標準化の手順表で整理。センサデータ特有の注意、独自の数値例での計算、IoT中級で取り違えやすい点と確認問題3問(全選択肢の解説つき)を載せています。

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執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • データの前処理とは、集めたデータを、分析や機械学習にそのまま使える状態へ整える作業です。欠けた値、外れた値、雑音、単位や尺度の違いを直します。
  • 代表的な処理は、欠損値の扱い(削除・補完)、外れ値の扱い(確認・除外・置換)、ノイズの除去、尺度をそろえる正規化(最小0・最大1)と標準化(平均0・標準偏差1)です。
  • センサデータでは、通信断による欠損、時刻のずれ、サンプリング周期の違い、センサ自体の劣化に注意します。外れ値が「見つけたい異常」そのものの場合もあります。
  • IoT中級の出題カテゴリ「IoTデータ活用技術」(公式の比率は25〜30%)に当たる範囲です。

データの前処理とは何をすることか?

一言でいうと、前処理は「データの汚れを落とし、形をそろえる」工程です。どんなに優れた分析手法でも、欠けた値や単位のばらばらなデータを入れると、結果は信頼できません。

IoT のデータは、多数の機器から、途切れやすい通信を通って、さまざまな周期で届きます。事務のデータより欠けや乱れが入りやすく、前処理の重みが大きい分野です。学習の種類ごとの使い道は機械学習の種類で整理しています。

前処理はどんな手順で行うのか?

一般的な流れを、処理の内容と代表的な方法で並べます。順番は目安で、データの性質によって前後します。

前処理の手順表(当サイトの整理)
手順目的代表的な方法注意点
1. 形式・単位をそろえる機器ごとの違いをなくす単位換算、時刻の形式の統一機器ごとの設定の違いを先に一覧にする
2. 欠損値を扱う欠けた値で計算が止まる・偏るのを防ぐ行の削除、平均・中央値での補完、前後の値からの補間欠けた理由(通信断・故障)を記録しておく
3. 外れ値を扱う誤った値に結果が引きずられるのを防ぐ四分位範囲や標準偏差を目安に検出し、確認して除外・置換本物の異常を消してしまわないか確かめる
4. ノイズを減らす細かい揺れを抑えて傾向を見やすくする移動平均、ローパスフィルタ急な変化まで平らにしていないか
5. 尺度をそろえる値の大きい変数に結果が偏るのを防ぐ正規化(最小0・最大1)、標準化(平均0・標準偏差1)変換の基準は学習用データから求める

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ノイズを減らすフィルタの考え方はノイズとフィルタとはで、大量のデータを扱う全体像はビッグデータの3Vで解説しています。

正規化と標準化はどう計算し、どう違うのか?

どちらも「尺度をそろえる」処理ですが、そろえ方が違います。正規化(Min-Max スケーリング)は最小値を0、最大値を1に、標準化は平均を0、標準偏差を1に変換します。scikit-learn の公式ドキュメントでも、標準化は平均を引いて標準偏差で割る処理、Min-Max は値を決まった範囲(多くは0〜1)に収める処理として説明されています。

独自の数値例で確かめます。あるセンサの8回分の値が「2, 4, 4, 4, 5, 5, 7, 9」だったとします。最小2、最大9、平均5、標準偏差(全体を母集団とした場合)2です。

独自の数値例:値9と値2を変換する
変換式値9の結果値2の結果
正規化(Min-Max)(値−最小)÷(最大−最小)(9−2)÷7=1(2−2)÷7=0
標準化(値−平均)÷標準偏差(9−5)÷2=2(2−5)÷2=−1.5

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正規化は範囲が0〜1に収まる代わりに、極端な値が一つあると他の値が狭い範囲に押し込められます。標準化は範囲が決まっていませんが、平均からどれだけ離れているかを標準偏差の何倍かで表せます。外れ値が多いデータでは、平均と標準偏差がその影響を受けるため、中央値などを使う頑健な尺度変換も選択肢になります。

もう一つの大事な点は、変換に使う平均や最大値は学習用データから求め、評価用データには同じ変換を当てはめることです。評価用データの情報を変換に混ぜると、性能を実際より良く見積もってしまいます(データの漏れ)。

センサデータでは何に注意すべきか?

  • 通信断による欠損:電波の状況や電池切れで、ある区間がまとめて欠けます。短ければ前後から補間、長ければ区間ごと除くなど、欠けた長さで扱いを変えます。
  • 時刻のずれと周期の違い:機器の時計がずれていたり、1秒ごとと1分ごとのセンサが混ざっていたりします。時刻を同期し、同じ間隔に集計(リサンプリング)してから組み合わせます。
  • センサ自体の変化:劣化や汚れで値が少しずつずれることがあります。定期的な校正の記録と照らし合わせます。
  • 外れ値が本当の異常の場合:振動の急な増加は、測定の誤りではなく故障の前兆かもしれません。異常検知が目的なら、外れ値を安易に消すと見つけたいものまで消えてしまいます。
  • 起動直後や保守中の値:電源を入れた直後や点検中の値は通常時と性質が違うため、記録を見て区別します。

故障の兆しを捉える使い方は予知保全とはで扱っています。

IoT中級ではどの範囲で、どう問われそうか?

MCPC の公式ページでは、IoTシステム技術検定 中級(80問・90分・4者択一)の出題カテゴリとして「IoTデータ活用技術(AI、ビッグデータ分析、活用事例)」が示され、比率は25〜30%です。当サイトでは、公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』の第3章「IoTデータ活用技術」がこの範囲に当たると推定しています(章名からの当サイトの判断です)。

4択では次のような型が考えられます。出題頻度は公表されていません。

  • 用語と説明の対応:正規化・標準化・補間などの名前と説明を組み合わせで選ばせる。
  • 簡単な計算:平均と標準偏差を与えて、標準化した値を求めさせる。
  • 扱いの妥当性:外れ値をすべて削除する、全データで変換の基準を求める、といった不適切な処理を見抜かせる。
  • センサ特有の事情:通信断・時刻ずれへの対処として適切なものを選ばせる。

試験全体の形式や日程はIoTシステム技術検定 中級とはで確認できます。

どこで取り違えやすいのか?

「正規化」は、分野によっては尺度をそろえる処理全般の意味で使われることもあります。選択肢に式や範囲が書かれていれば、それを手がかりに判断してください。

つまずき別の見直し表
取り違え正しい考え方確認する問い
正規化と標準化を逆に覚える正規化は最小0・最大1、標準化は平均0・標準偏差1範囲をそろえるのか、平均と散らばりをそろえるのか
外れ値は必ず削除する測定の誤りか、本物の異常かを確かめてから扱うその値は見つけたい異常ではないか
欠損値は0で埋めればよい0が意味を持つ値なら結果をゆがめる。目的に合う補完を選ぶ0は実際に起こり得る値か
変換の基準は全データから求める学習用データから求め、評価用に同じ変換を当てはめる評価用の情報が混ざっていないか
標準化の計算で割り算を忘れる平均を引いた後、標準偏差で割る式の最後まで計算したか

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確認問題1:標準化した値を計算できるか?

あるセンサの値の平均が5、標準偏差が2であった。値9を標準化(平均0、標準偏差1になるよう変換)した値として、正しいものはどれか。

  1. 1.0
  2. 2.0
  3. 4.0
  4. 4.5

正解:2。標準化は(値−平均)÷標準偏差なので、(9−5)÷2=2.0 です。

1は、データの最小値を2・最大値を9とした場合の正規化(Min-Max)の結果に当たり、標準化ではありません。3は平均を引いただけで標準偏差で割るのを忘れた値です。4は平均を引かずに値を標準偏差で割っただけの値です。

確認問題2:正規化と標準化の組合せを選べるか?

次の文の空欄Ⅰ・Ⅱに入る語句の組合せとして、最も適切なものはどれか。

「データの最小値が0、最大値が1になるように変換する処理を(Ⅰ)、平均が0、標準偏差が1になるように変換する処理を(Ⅱ)という。」

  1. Ⅰ:標準化 Ⅱ:正規化
  2. Ⅰ:離散化 Ⅱ:標準化
  3. Ⅰ:正規化 Ⅱ:標準化
  4. Ⅰ:正規化 Ⅱ:離散化

正解:3。最小0・最大1にそろえるのが正規化(Min-Max スケーリング)、平均0・標準偏差1にそろえるのが標準化です。

1は二つを逆にしています。2と4の離散化は、連続した値を「低・中・高」のような区分に分ける処理で、範囲や平均をそろえる変換ではありません。

確認問題3:前処理の誤りを見抜けるか?

IoT のセンサデータの前処理に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. 標準化に使う平均と標準偏差は、学習用と評価用を合わせた全データから求めるのが望ましい
  2. 通信が途切れて欠けた区間は、欠けた長さに応じて前後の値から補間するか区間ごと除く
  3. 外れ値は測定の誤りとは限らず、異常検知では見つけたい対象そのものである場合がある
  4. サンプリング周期が異なる複数のセンサは、時刻と間隔をそろえてから組み合わせて使う

正解:1。変換の基準に評価用データの情報を混ぜると、評価の時点で「未知のはずのデータ」の情報を使ったことになり、性能を実際より良く見積もってしまいます。基準は学習用データから求めます。

2は欠損の扱いとして適切です。3は外れ値を安易に削除しないための考え方として適切です。4は時刻ずれや周期の違いへの対処として適切です。

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よくある質問

標準偏差は、試験で計算させられますか?

出題の形式は公表されていないため断定できません。ただ、平均と標準偏差が与えられた標準化の計算は短時間でできるので、式を正しく使えるようにしておくと安心です。

欠損値はいつ削除し、いつ補完するのですか?

欠けたデータが少なく、削除しても偏りが生じにくいなら削除、多い場合や時系列を途切れさせたくない場合は補完、というのが一つの目安です。どちらを選んだかを記録しておくと、後で結果を解釈しやすくなります。

前処理は分析の前に一度だけ行えばよいのですか?

運用中も新しいデータに同じ前処理を当てはめ続ける必要があります。機器の入れ替えやセンサの劣化でデータの性質が変わることもあるため、定期的な見直しが大切です。

出典・参考

  1. [1]MCPC IoTシステム技術検定 中級(出題カテゴリ・形式)確認 2026-09-27
  2. [2]MCPC 検定テキスト(IoT技術テキスト 第4版)確認 2026-09-27
  3. [3]scikit-learn User Guide: Preprocessing data(標準化・Min-Max・外れ値に強い変換)確認 2026-09-27

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