この記事の要点
- 機械学習の種類は、学習に使うデータに「正解」が付いているか、行動の結果として「報酬」を受け取るかで、教師あり学習・教師なし学習・強化学習の3つに分けて考えます。
- 教師あり学習の課題は、カテゴリを当てる分類と、数値を当てる回帰の2つに分かれます。似たもの同士をまとめるクラスタリングは教師なし学習です。
- 見分けるときは「正解ラベルはあるか」「予測したいのはカテゴリか数値か」「試行錯誤で報酬を増やすのか」の3つを順に確認します。
- IoT中級の出題カテゴリ「IoTデータ活用技術」(公式の比率は25〜30%)に当たる範囲です。
機械学習の種類とは何を基準に分けるのか?
一言でいうと、機械学習の種類は「どんな手がかりから学ぶか」で分けるのが基本です。正解の付いたデータから学ぶのが教師あり学習、正解のないデータから構造を見つけるのが教師なし学習、行動した結果の報酬から学ぶのが強化学習です。
IoT では、センサから大量のデータが集まる一方で、「このデータは故障の前兆だった」という正解が付いているとは限りません。どの種類の学習が使えるかは、手元にどんなデータがあるかで決まることが多いのです。
なお、少しだけ正解の付いたデータと大量の正解なしデータを組み合わせる半教師あり学習のように、3つの中間にあたる方法もあります。まずは3つの基本形を確実に区別できるようにしましょう。
教師あり・教師なし・強化学習の違いは?
3つの違いを、使うデータ・目的・IoTでの例で並べます。
| 種類 | 学習に使うもの | 目的 | IoTでの例 |
|---|---|---|---|
| 教師あり学習 | 入力と正解(ラベル)の組 | 新しい入力に対して正解を予測する | 振動データと故障記録から、故障の有無を予測する |
| 教師なし学習 | 正解のない入力データ | データの中のまとまりや構造を見つける | 電力の使い方が似ている建物をグループに分ける |
| 強化学習 | 行動と、その結果の報酬 | 報酬の合計が大きくなる行動の選び方を学ぶ | 快適さと消費電力を報酬にして空調の操作を学ぶ |
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強化学習の登場人物は、行動する主体(エージェント)、その周り(環境)、とった行動(行動)、結果として得られる評価(報酬)です。教師あり学習と違い、一つひとつの行動に「正解」が与えられるわけではなく、試行錯誤を通じて良い行動を見つけていきます。
センサデータは、学習の前に欠けた値や外れた値を整える必要があります。この工程はデータの前処理とはで解説しています。
分類・回帰・クラスタリングはどう見分けるのか?
4択で迷いやすいのは、種類の名前よりも「課題の名前」です。次の表のように、予測したいものがカテゴリか数値か、正解があるかないかで見分けます。
| 課題 | 学習の種類 | 出力 | IoTでの例 |
|---|---|---|---|
| 分類 | 教師あり | あらかじめ決めたカテゴリ(正常・異常など) | 画像から製品の良品・不良品を判定する |
| 回帰 | 教師あり | 連続した数値 | 気温や曜日から翌日の電力使用量を予測する |
| クラスタリング | 教師なし | 似たデータのグループ(意味づけは人が行う) | 走行データから運転のくせが似た車両をまとめる |
| 次元削減 | 教師なし | 情報をなるべく保った少ない変数 | 多数のセンサの値を少数の指標にまとめて見る |
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よくある混同が「分類」と「クラスタリング」です。分類はカテゴリの種類と正解が先に決まっていて、それを当てます。クラスタリングはグループの数や意味が先に決まっていないことが多く、分けた後で「このグループは夜間に多く使う建物」のように人が解釈します。
異常検知は、故障の記録が十分にあれば分類として扱えますが、故障の事例が少ない現場では、正常時のデータから外れたものを異常とみなす方法がとられます。予測の当たり外れの測り方は適合率と再現率の違いで扱います。
IoT中級ではどの範囲で、どう問われそうか?
MCPC の公式ページでは、IoTシステム技術検定 中級(80問・90分・4者択一)の出題カテゴリの一つとして「IoTデータ活用技術(AI、ビッグデータ分析、活用事例)」が示され、比率は25〜30%です。当サイトでは、公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』の第3章「IoTデータ活用技術」がこの範囲に当たると推定しています(章名からの当サイトの判断で、公式の対応表ではありません)。
4択での問われ方は、次のような型が考えられます。出題頻度の公式データはありません。
- 事例から種類を選ぶ:IoTの活用場面を示し、教師あり・教師なし・強化学習のどれに当たるかを選ばせる。
- 課題の組合せ:「学習の種類」と「課題(分類・回帰・クラスタリング)」の組合せを選ばせる。
- 空欄補充:強化学習の説明の中の「報酬」「エージェント」などを埋めさせる。
- 不適切な記述:「教師なし学習はデータが不要」のような言いすぎを見抜かせる。
多層のニューラルネットワークを使う手法はディープラーニングとはで、CNN・RNN との関係まで整理しています。試験の全体像はIoTシステム技術検定 中級とはへ。
どこで取り違えやすいのか?
迷ったら、表の「確認する問い」を上から順に当てはめてください。
| 取り違え | 正しい考え方 | 確認する問い |
|---|---|---|
| 分類とクラスタリングを混同 | 分類は正解ありでカテゴリを当てる。クラスタリングは正解なしでまとめる | 正解のラベルは用意されているか |
| 数値の予測を分類と呼ぶ | 連続した数値を予測するのは回帰 | 出力はカテゴリか、数値か |
| 強化学習にも正解ラベルがある | 行動ごとの正解はなく、報酬を手がかりに学ぶ | 学ぶ手がかりは正解か、報酬か |
| 教師なし学習はデータ不要 | 正解は不要だが、学習するデータ自体は必要 | 不要なのはデータか、ラベルか |
| クラスタの意味は自動で決まる | 分けた後の意味づけは人が行う | グループの名前は誰が付けるか |
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確認問題1:事例から学習の種類と課題を選べるか?
工場の設備から集めた過去の振動・温度のデータと、「その後に故障した/しなかった」という記録を使い、新しいデータから故障の有無を予測するモデルを作る。学習の種類と課題の組合せとして、最も適切なものはどれか。
- 教師なし学習による、クラスタリング
- 強化学習による、回帰
- 教師あり学習による、回帰
- 教師あり学習による、分類
正解:4。「故障した/しなかった」という正解の付いたデータで学ぶので教師あり学習、出力が「故障あり・なし」のカテゴリなので分類です。
1は正解の記録を使っている点と、グループ分けではなく有無の予測である点が合いません。2は報酬を手がかりに行動を学ぶ設定がなく、出力も数値ではありません。3は教師あり学習までは合っていますが、回帰は連続した数値を予測する課題なので当てはまりません。
確認問題2:強化学習の説明を埋められるか?
次の文の空欄に入る語句として、最も適切なものはどれか。
「強化学習では、エージェントが環境の中で行動を選び、その結果として得られる( )の合計が大きくなるような行動の選び方を学習する。」
- 正解ラベル
- 報酬
- クラスタ
- 特徴量
正解:2。強化学習は、行動の結果として与えられる報酬を手がかりに、将来にわたる報酬の合計が大きくなる行動の選び方を学びます。
1は教師あり学習で入力に付ける正解で、強化学習では行動ごとの正解は与えられません。3は教師なし学習のクラスタリングで得られるグループの名前です。4はモデルに入力する変数(温度、振動の大きさなど)のことで、行動の良し悪しを表すものではありません。
確認問題3:言いすぎの記述を見抜けるか?
機械学習の種類に関する記述として、最も不適切なものはどれか。
- 教師なし学習は正解ラベルを使わないため、学習に使うデータそのものも用意する必要がない
- クラスタリングで分けたグループが何を意味するかは、分けた後に人が解釈することが多い
- 翌日の電力使用量のような連続した数値を予測する課題は、回帰として扱うことが多い
- 強化学習では、行動ごとの正解ではなく、行動の結果として得られる報酬を手がかりに学ぶ
正解:1。教師なし学習で不要なのは正解ラベルであって、学習に使うデータは必要です。データの中からまとまりや構造を見つけるのが教師なし学習です。
2はクラスタリングの特徴として適切です。3は連続値の予測=回帰という対応どおりで適切です。4は強化学習の学び方の説明として適切です。
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よくある質問
ディープラーニングは3種類のどれに当たりますか?
ディープラーニングは「多層のニューラルネットワークを使う手法」の名前で、3種類とは別の軸です。教師あり学習にも、教師なし学習にも、強化学習にも使われます。詳しくはディープラーニングとはを参照してください。
異常検知は教師あり学習ですか、教師なし学習ですか?
どちらもあり得ます。異常の事例に正解が付いて十分にそろっていれば分類(教師あり)として扱え、異常の事例が少なければ正常時のデータから外れたものを異常とみなす方法(正解ラベルに頼らない方法)がとられます。選択肢では「正解ラベルがあるか」で判断してください。
計算式まで覚える必要はありますか?
種類の区別を問う範囲では、式よりも「何を手がかりに、何を出力するか」を説明できることが大切です。評価指標の計算は適合率と再現率の違いで練習できます。
出典・参考
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