この記事の要点
- SIMロックとは、携帯電話会社が、自社など特定のSIMカードを差したときだけ動くように端末を設定することです。他社のSIMや、海外の現地のSIMが使えなくなります。
- 総務省の「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」の改正(2021年8月10日公表)により、2021年10月1日以降に発売される端末は、正当な理由がない限りSIMロックを設定せずに販売することになりました(SIMロックの原則禁止)。eSIMもガイドラインの対象に加わりました。
- 2023年10月1日以降は、販売するすべての端末がSIMロックなしになり、過去にSIMロックを設定した端末も、申出に応じていつでもすべての窓口で無料で解除する扱いです(総務省資料、2026年9月27日確認)。
- SIMロックがなくても、乗り換え先の周波数や通信方式に端末が対応しているかは別の問題です。店頭ではこの点を必ず説明します。
SIMロックとは?
SIMカードは、携帯電話会社が発行する、通信サービスを受けるためのICカードです。電話番号などの情報が記録され、端末をネットワークに接続するときの認証に使われます。総務省の資料は、日本では携帯電話会社が自社のSIMカードを差した状態で端末を販売するのが一般的だった、と説明しています。
SIMロックとは、携帯電話会社が、自社のSIMカードなど特定のSIMカードが差し込まれた場合にのみ動作するよう端末を設定することです(総務省資料の定義、2026年9月27日確認)。たとえばA社のSIMロックがかかった端末にB社のSIMカードを差しても動きません。その結果、次のような不便が生じます。
- 携帯電話会社を乗り換えるとき、今の端末をそのまま使えない
- 海外に行ったとき、現地のSIMカードに差し替えて使えない
- 端末を中古で売買しても、買った人が別の会社のSIMで使えない
SIMロックは、端末の画面ロックや、SIMカード自体にかける暗証番号(PINロック)とは別のものです。また、盗難や代金の不払いの端末について通信を制限する「ネットワーク利用制限」とも別の仕組みです。SIMの種類やeSIMの仕組みはSIMとeSIMの違いで説明しています。
SIMロック解除はどう広がってきた?(経緯)
SIMロックの扱いは、総務省のガイドラインで少しずつ変わってきました。総務省のテレコム競争政策ポータルに載っているガイドラインの一覧と、各資料の記載をもとに流れを整理します(2026年9月27日確認)。
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2010年6月 | 「SIMロック解除に関するガイドライン」を策定 |
| 2011年4月1日 | NTTドコモがSIMロック解除の受付を開始(総務省資料の各社の解除開始時期) |
| 2014年12月 | SIMロック解除に関するガイドラインを改正。2015年5月1日以降に発売される端末について、SIMロック解除に応じることを求める |
| 2017年1月 | 「モバイルサービスの提供条件・端末に関する指針」を策定(現行ガイドラインの表紙には平成29年1月10日策定とある) |
| 2019年9月・11月 | 「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」として改正 |
| 2020年4月 | MVNOがSIMロックの設定自体を中止(総務省資料) |
| 2021年8月10日 | ガイドライン改正を公表。2021年10月1日から適用し、SIMロックを原則禁止 |
| 2022年12月23日 | ガイドラインを改正(現行版。同日から適用) |
| 2023年10月1日 | 販売するすべての端末をSIMロックなしに。過去にSIMロックを設定した端末は、申出に応じて全窓口で無料解除 |
← 表は横にスクロールできます →
2021年の改正は、同年5月に公表された「スイッチング円滑化タスクフォース」の報告書を踏まえたものです。SIMロックがあると乗り換えにかかる手間と費用が増え、事業者間の競争を妨げる、という考え方が背景にあります。
2021年10月からの原則禁止で何が変わった?
総務省の資料「SIMロック解除に関するルール及び各社の取組」は、ガイドラインの改正(2021年8月)により、2021年10月1日以降に新たに「発売」される携帯電話端末について、正当な理由がない限り、SIMロックを設定せず販売することを義務付けた、と説明しています(2026年9月27日確認)。あわせて次の内容が加わりました。
- 端末にSIMロックが設定されているかを確認できる手段(オンライン、電話での問合せなど)の確保(2021年11月1日以降)
- オンラインでの解除の申込みの24時間化(2022年5月1日以降)
- eSIMをガイドラインの対象に追加
- SIMロック以外の機能制限で、利用者の権利を制限し競争を妨げるものも、ガイドラインに準じて対応
「正当な理由」がある場合とは何かについて、現行のガイドライン(2022年12月23日最終改正)は、端末代金が一括で支払われた場合や、信用確認措置に応じて問題がないと確認できた場合などにSIMロックを設定することは、正当な理由があるとは認められないと定めています。代金の不払いなどのおそれが確認できず、ほかの手段で防ぐのが難しい場合に限り、総務省の確認を得て例外的に設定が認められる場合がある、という整理です。
注意したいのは「発売日」と「販売日」の違いです。2021年10月1日より前に発売された端末は、同日以降に販売されたものでもSIMロックがかかっている場合があり、経過措置で対応されました。2023年10月1日以降は、販売するすべての端末がSIMロックなしになっています。
総務省の携帯電話ポータルサイトには「SIMロック解除の手数料は、ウェブは無料、電話や店舗では3,300円かかる場合が多い」という記載も残っています。一方、2021年の改正内容の資料は、2023年10月1日以降は過去にSIMロックを設定したすべての端末を、申出に応じていつでも全窓口で無料で解除するとしています。実際の手数料は各社の最新の案内を確認してください。
店頭で説明することは?
SIMロックがほぼなくなった今でも、「今の端末を他社で使えるか」という相談はよくあります。当サイトの整理では、次の順に確認すると抜けが少なくなります。
- SIMロックの有無を確かめる:2021年10月1日より前に発売された端末は、設定されている場合がある。事業者の案内や端末の設定画面で確認し、必要なら解除を申し込む。
- 周波数・通信方式の対応を確かめる:SIMロックがなくても、乗り換え先の会社が使う周波数帯や、VoLTEなどの方式に端末が対応していないと、つながりにくい・通話できないことがある。総務省のMNPのページも、端末を引き続き使うには移転先の周波数に対応している必要があると注意している。
- ネットワーク利用制限を確かめる:中古端末などで、代金の不払いなどにより通信が制限されていないかを確認する。総務省資料でも、解除の条件として「ネットワーク制限等がかかっていないこと」が挙げられていた。
- SIMの種類を確かめる:物理SIMのサイズや、eSIMに対応しているか。
- 乗り換えの手続きを案内する:電話番号を持ち運ぶならMNP(ワンストップ方式かどうか)を確認する。
MNPの手続きはMNPワンストップとは、事業者の種類はMVNO・MNO・MVNEの違いにまとめています。
検定で問われやすい点は?
SIMロックとSIMロック解除は、公式テキスト『モバイル基礎テキスト 第9版』第9章の最後の節です(使っているのは目次の見出しだけです)。テキストは2024年6月末時点の情報なので、2021年の原則禁止や2023年10月からの扱いは、総務省の資料で「何年時点か」を意識して覚えてください。
スマートフォン・モバイル実務検定の公式サンプル問題には、SIMカードについて「最も適切な記述」を選ぶ形の問題や、SIMロック解除を空欄に入れる形の問題があります(形式だけ確認し、文は使っていません)。当サイトの作問の観点では、次の点が選択肢になりやすいと考えています(出題の傾向や頻度を示すものではありません)。
- SIMロックの定義(画面ロック・PINロック・ネットワーク利用制限との区別)
- 原則禁止の起点は「2021年10月1日以降に発売される端末」であること
- eSIMもガイドラインの対象であること
- SIMロックがなくても周波数の対応は別に確認が必要なこと
- ガイドラインの名前(移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン)
消費者保護の法令と合わせて整理するならスマホ実務検定の消費者保護まとめ、第9章全体はモバイル技術基礎 第9章の要点へ。
当サイト(ICT模試)は MCPC とは関係のない非公式の個人運営教材で、合格を保証するものではありません。公式テキストの本文・図表・巻末のサンプル問題は使わず、確認問題はすべて独自に作っています。
確認問題1:2021年10月以降に発売された端末の扱いは?
総務省の「移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン」の改正により、2021年10月1日以降に発売される携帯電話端末の扱いとして、最も適切なものはどれか。
- 正当な理由がない限り、SIMロックを設定せずに販売する
- SIMロックを設定して販売し、購入から100日を過ぎたら解除に応じる
- 端末代金を一括で支払った場合に限り、SIMロックを設定せずに販売する
- MVNOと契約する場合に限り、SIMロックを設定せずに販売する
正解:1。2021年8月の改正(10月1日から適用)で、同日以降に発売される端末は、正当な理由がない限りSIMロックを設定せずに販売することになりました。
2 の「購入から100日」は、改正前のルールで分割払いの端末を解除できるまでの期間として使われていた考え方で、原則禁止の内容ではありません。3 は、支払方法にかかわらずSIMロックなしが原則なので誤りです。4 のように契約先で区別するルールではありません。
確認問題2:SIMロックの説明はどれ?
SIMロックの説明として、最も適切なものはどれか。
- 端末の画面を、暗証番号や生体認証で開けないようにする設定
- SIMカードに暗証番号を設定し、端末の起動時に入力を求める設定
- 特定のSIMカードが差し込まれた場合にのみ動作するように端末を設定すること
- 盗難や代金の不払いがあった端末について、ネットワーク側で通信を制限すること
正解:3。SIMロックは、自社など特定のSIMカードを差したときだけ端末が動くようにする設定です。他社のSIMや海外の現地のSIMが使えなくなります。
1 は端末の画面ロック、2 はSIMカードのPINロックの説明です。4 はネットワーク利用制限の説明で、SIMロックとは別の仕組みです。どれも「ロック」「制限」という言葉が似ているので、何を制限しているかで見分けてください。
確認問題3:SIMロック解除の説明で誤りはどれ?
SIMロックとSIMロック解除の説明として、適切でないものはどれか(2026年9月時点の総務省資料による)。
- eSIMも、SIMロックに関するガイドラインの対象に含まれている
- SIMロックを解除した端末であれば、乗り換え先の周波数や通信方式にかかわらず、すべての機能を必ず使える
- 2023年10月1日以降、過去にSIMロックを設定した端末は、申出に応じて無料で解除する扱いになった
- 総務省の資料によると、MVNOは2020年4月からSIMロックの設定自体を中止している
正解:2。SIMロックを解除しても、端末が乗り換え先の周波数帯や通信方式(VoLTEなど)に対応していなければ、つながりにくかったり通話できなかったりします。周波数の対応は別に確認が必要です。
1 は2021年の改正でeSIMが対象に加わったことの説明、3 は2023年10月1日以降の扱い、4 は総務省資料の記載で、いずれも適切です。
よくある質問
自分の端末にSIMロックがかかっているか、どうすれば分かりますか?
2021年の改正で、事業者はSIMロックの有無を確認できる手段(オンライン、電話での問合せなど)を用意することになりました(2021年11月1日以降)。購入した事業者の案内を確認してください。2021年10月1日以降に発売された端末は、原則としてSIMロックがありません。
SIMロックの解除に手数料はかかりますか?
総務省の2021年の改正内容の資料では、2023年10月1日以降、過去にSIMロックを設定したすべての端末は、申出に応じていつでもすべての窓口で無料で解除するとされています。携帯電話ポータルサイトには店舗などで手数料がかかる場合があるという古い記載も残っているため、実際の扱いは各社の最新の案内で確認してください。
SIMロック解除とMNPはどう違いますか?
SIMロック解除は「端末」を他社のSIMで使えるようにすること、MNPは「電話番号」をそのまま他社に持ち運ぶことです。どちらも乗り換えに関係しますが、対象が違います。端末を変えずに番号も変えずに乗り換えるなら、両方を確認します。
出典・参考
- [1]総務省 SIMロック解除に関するルール及び各社の取組(2021年10月、2026年9月27日確認)
- [2]総務省 移動端末設備の円滑な流通・利用の確保に関するガイドライン(令和4年12月23日最終改正、2026年9月27日確認)
- [3]総務省 テレコム競争政策ポータルサイト ガイドライン(SIMロック解除関係)(2026年9月27日確認)
- [4]総務省 携帯電話ポータルサイト(2026年9月27日確認)
- [5]総務省 携帯電話ポータルサイト 乗換えの基本と費用(2026年9月27日確認)
- [6]総務省 携帯電話・PHSの番号ポータビリティ(MNP利用の際の注意点、2026年9月27日確認)
- [7]MCPC 検定試験サンプル問題(形式のみ確認、2026年9月27日確認)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
出題カテゴリの配分どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。
あわせて読みたい
当サイトは、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)とは関係のない個人が運営する非公式の学習教材です。掲載している問題はすべて当サイトのオリジナルで、実際の試験問題・過去問題・再現問題ではありません。試験の日程・受検料・出題範囲は公式サイト(https://www.mcpc-jp.org/license/ )で必ず確認してください。合格を保証するものではありません。合格の目安は当サイトの推定です。技術・制度の記述は「最終確認日」時点のものです。