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産業用ロボットと協働ロボットの違い|IoT中級

産業用ロボットと協働ロボットの違いを、安全柵・用途・導入の条件で比較。国内の規則と2013年の通達、ISO 10218の2025年版、スマートファクトリーとの関係、IoT中級向けの独自確認問題3問を解説します。

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執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • 協働ロボットは、安全のための方策をとったうえで、人と同じ作業空間で一緒に作業できるように設計・運用される産業用ロボットです。産業用ロボットの反対語ではなく、その一種です。
  • 従来型の産業用ロボットは安全柵で人と隔てて高速・高負荷の作業を行い、協働ロボットは力や速度を抑える仕組みで柵のない運用をめざします。
  • 国内では、労働安全衛生規則第150条の4 が柵や囲いなどの措置を求め、平成25年(2013年)12月の通達で、リスクアセスメントにより危険のおそれがないと評価できる場合の扱いが明確化されました。
  • MCPC の公式ページによると、『IoT技術テキスト 第4版』では産業用ロボットとスマート工場の解説が追記されました。当サイトではIoT中級の「IoTデータ活用技術」(比率25〜30%)の活用事例の範囲として扱います。

産業用ロボットと協働ロボットとは何か?

一言でいうと、産業用ロボットは工場などで溶接・搬送・組立などを自動で行う機械の腕(マニピュレータ)で、そのうち人のそばで一緒に働けるように安全の方策をとったものが協働ロボットです。英語の collaborative robot を略して「コボット」と呼ぶこともあります。

よくある誤解は「協働ロボットなら安全なので、どこでも柵なしで使える」というものです。安全かどうかは、ロボット本体だけでなく、先端に付けるハンド、扱う物(刃物や重い部品)、動く速さ、人の立ち位置などを含めた使い方全体で決まります。

安全柵・用途・導入の条件はどう違うのか?

両者の違いを、安全の考え方・用途・導入の条件で比べます。一般的な傾向の整理で、個々の機種には当てはまらない場合があります。

産業用ロボット(従来型)と協働ロボットの比較(当サイトの整理)
観点従来型の産業用ロボット協働ロボット
安全の考え方安全柵や囲いで人とロボットを隔てる接触時の力を抑える、人の接近で減速・停止するなどの方策をとる
速度・可搬重量高速・高負荷の作業に向く人との協働のため速度や力を抑えた運用が多い
向く用途溶接・塗装・重量物の搬送など、大量で繰り返しの工程人の手作業の補助、ねじ締め・検査・箱詰めなど
設置と配置換え柵を含めた設置スペースが必要で、変更に手間がかかる比較的小さく、配置換えがしやすい機種が多い
導入の条件柵・インターロックなど隔離の方策を整える用途全体のリスクアセスメントに基づき方策を決める

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ロボットの関節を動かすモーターなどの駆動部はアクチュエータとはで、センサから駆動までの流れと合わせて解説しています。

国内の規則と国際規格では何が決められているのか?

国内では、労働安全衛生規則第150条の4 が、運転中の産業用ロボットに接触することで労働者に危険が生ずるおそれのあるときに、さくや囲いを設けるなどの措置を求めています。厚生労働省の平成25年12月24日付け通達(基発1224第2号)では、リスクアセスメントに基づく措置によって「危険が生ずるおそれがない」と評価できる場合は、この条文の「おそれのあるとき」に当たらないことが示されました。これにより、条件を満たせば柵を設けずに人とロボットが協働する運用ができることが明確になりました。

同じ通達では、ISO 10218-1:2011 と ISO 10218-2:2011 に基づいて設計・製造・設置された産業用ロボットで、技術ファイルと適合宣言書を備えたものについての扱いも示されています。また、規則の対象から除かれる機械として、駆動用原動機の定格出力が80W以下のものなどが定められています(厚生労働省の通達、2026年9月確認)。

国際規格では、産業用ロボットの安全要求事項を定める ISO 10218 が改訂され、2025年版(ISO 10218-1:2025 ロボット本体、ISO 10218-2:2025 ロボットの用途とロボットセル)が発行されています。協働の要求事項をまとめていた技術仕様書 ISO/TS 15066 の内容は、2025年版の Part 2 に取り込まれたと解説されています(2026年9月時点で確認できた範囲)。国内の通達が参照しているのは2011年版である点に注意してください。

協働の主な方式(当サイトの整理)
方式しくみ例
力・パワーの制限接触したときの力や圧力を、人に危険のない範囲に抑えるぶつかると止まる、力を検知して止まる
速度と間隔の監視人との距離を測り、近づくほど減速し、一定距離で停止するエリアセンサで人の接近を検知する
ハンドガイド人が直接手で動かして位置を教える・導く作業者が腕を持って動作を教える

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スマートファクトリーとはどう関係するのか?

スマートファクトリー(スマート工場)は、設備・ロボット・人の作業から得られるデータをつなぎ、生産の計画・品質・保守を改善し続ける工場のことです。ロボットは「作業をする機械」であると同時に、「データを出す機器」としても IoT につながります。

  • 稼働データによる保守:関節のモーター電流や稼働時間の変化から、故障の兆しを捉えて部品交換の時期を決めます(予知保全とは)。
  • 仮想空間での検証:ラインの配置やロボットの動作を仮想空間で試してから現場を変えます(デジタルツインとは)。
  • 画像による検査:カメラ画像とAIで良否を判定し、ロボットが不良品を取り分けます。
  • 人とロボットの分担:協働ロボットが重い・単調な作業を受け持ち、人は判断や段取りを受け持つといった組み合わせを、稼働データを見ながら調整します。

IoT中級ではどの範囲で、どう問われそうか?

MCPC の公式ページでは、IoTシステム技術検定 中級(80問・90分・4者択一)の出題カテゴリとして「IoTデータ活用技術(AI、ビッグデータ分析、活用事例)」が示され、比率は25〜30%です。当サイトでは、公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』の第3章「IoTデータ活用技術」がこの範囲に当たると推定しています(章名からの当サイトの判断で、産業用ロボットの記述がどの章にあるかは公式に示されていません)。

MCPC のテキスト紹介ページでは、第4版の改訂点として、生成AI、アジャイル開発、DevOps・CI/CD と MLOps・DevSecOps、産業用ロボットとスマート工場の追記が挙げられています。4択の型としては次のようなものが考えられます(出題頻度は公表されていません)。

  • 違いの説明:協働ロボットと従来型の違いとして不適切な記述を選ばせる。
  • 協働の方式:説明文から「速度と間隔の監視」などの方式を選ばせる。
  • 国内の扱い:柵の要否をリスクアセスメントと結び付けて問う。
  • スマート工場での活用:ロボットの稼働データの使い道を事例で問う。

試験全体の形式や日程はIoTシステム技術検定 中級とはで確認できます。

どこで取り違えやすいのか?

協働ロボットの選択肢は「〜なら必ず」「〜だけで」という言い切りに注意して読んでください。

つまずき別の見直し表
取り違え正しい考え方確認する問い
協働ロボットは産業用ロボットではない協働ロボットは産業用ロボットの一種反対語として使っていないか
協働ロボットなら常に柵が不要用途全体のリスクアセスメントで方策を決めるハンドや扱う物まで含めて評価したか
80W以下のロボット=協働ロボット80Wは規則の対象から除く基準で、協働の定義ではない出力の話と協働の話を混ぜていないか
安全は本体の性能だけで決まる速度・配置・人の作業を含めた使い方で決まる使い方全体を見ているか
国内の通達は2025年版ISOを参照2013年の通達が参照するのは ISO 10218 の2011年版規格の版と通達の時期は合っているか

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確認問題1:協働ロボットの誤った説明を見抜けるか?

協働ロボットに関する記述として、最も不適切なものはどれか。

  1. 協働ロボットであっても、導入時には使い方に応じたリスクアセスメントを行う必要がある
  2. 協働ロボットとして販売された機種なら、用途にかかわらず安全柵を設けずに使ってよい
  3. 人と作業空間を共有する運用では、接触時の力の制限や人の接近の監視などの方策をとる
  4. 協働ロボットは配置換えが比較的しやすく、多品種少量の工程に使われることがある

正解:2。柵なしで使えるかは、ロボット本体の種類だけでなく、ハンドや扱う物、速度、人の作業を含めた用途全体の評価で決まります。「用途にかかわらず」は言いすぎです。

1は安全の前提として適切です。3は協働の代表的な方策として適切です。4は協働ロボットの特徴の説明として適切です。

確認問題2:協働の方式を説明から選べるか?

ロボットの周囲に設けたセンサで人との距離を測り、人が近づくほど動作を遅くし、一定の距離まで近づくと停止させる方式として、最も適切なものはどれか。

  1. 力・パワーの制限
  2. ハンドガイド
  3. 速度と間隔の監視
  4. 安全柵による隔離

正解:3。人との距離に応じて速度を変え、近づきすぎたら止めるのは、速度と間隔の監視の考え方です。

1は接触したときの力を危険のない範囲に抑える方式で、距離を測って減速する説明とは違います。2は人が直接手でロボットを動かして導く方式です。4は人とロボットを物理的に隔てる従来型の方策で、人が近づくことを前提にしていません。

確認問題3:国内の扱いと安全評価の範囲を説明できるか?

次の記述ア・イの正誤の組合せとして、正しいものはどれか。

ア:国内では2013年の厚生労働省の通達により、リスクアセスメントに基づく措置で危険のおそれがないと評価できる場合は、柵を設けずに人と協働させる運用ができることが明確になった。

イ:協働ロボットの安全の評価では、ロボット本体だけでなく、先端のハンドや扱う物、周囲の設備を含めた用途全体を対象にする。

  1. ア:正 イ:正
  2. ア:正 イ:誤
  3. ア:誤 イ:正
  4. ア:誤 イ:誤

正解:1。アは平成25年12月24日付けの通達(基発1224第2号)の趣旨に合っています。イも正しく、刃物や重い部品を扱えば同じロボットでも危険の大きさが変わるため、用途全体で評価します。

2はイを、3はアを、4は両方を誤りとしている点で当てはまりません。

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よくある質問

協働ロボットは柵がいらないので、導入の手続きは簡単ですか?

柵を省けるかどうかはリスクアセスメントの結果しだいで、評価と記録、必要な方策の実施が前提です。機種の仕様だけで判断せず、用途ごとに評価する必要があります。

ISO/TS 15066 はもう使われていないのですか?

協働の要求事項は ISO 10218 の2025年版の Part 2 に取り込まれたと解説されています。一方で国内の通達は2011年版を参照しているため、現場や試験で扱う資料がどの版を前提にしているかを確認してください。規格の版は今後も改訂され得ます。

AGV や AMR も協働ロボットですか?

AGV(無人搬送車)や AMR(自律走行搬送ロボット)は、主に物を運ぶ移動型の機械で、腕型の産業用ロボットとは分けて扱われることが多いものです。スマートファクトリーでは両者を組み合わせて使うこともあります。

出典・参考

  1. [1]MCPC IoTシステム技術検定 中級(出題カテゴリ・形式)確認 2026-09-27
  2. [2]MCPC 検定テキスト(IoT技術テキスト 第4版の改訂点)確認 2026-09-27
  3. [3]厚生労働省 産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第150条の4の施行通達の一部改正について(平成25年12月24日 基発1224第2号)確認 2026-09-27
  4. [4]ISO 10218-1:2025 Robotics — Safety requirements — Part 1: Industrial robots 確認 2026-09-27
  5. [5]IBF Solutions: New standards for industrial robots EN ISO 10218-1 and -2(ISO/TS 15066 の取り込み)確認 2026-09-27

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