この記事の要点
- 第5章は、モバイル網の先にあるインターネットの共通ルール を扱う章です。アドレス(IP)、運び方(TCP・UDP・QUIC)、名前の解決(DNS)、Web の通信(HTTP)、暗号化(TLS)が柱になります。
- 数字で問われやすいのは IPv4 が32ビット、IPv6 が128ビット、IPv6 のヘッダは40バイトの固定長 といった基本の値です。
- この記事の説明は、章の見出しを手がかりに当サイトが RFC(IETF の標準文書)で確かめて書いた独自の解説で、テキストの記述ではありません。
第5章の全体像:何を学ぶ章か
テキスト第11版の目次では、第5章は「インターネット基盤技術」です(リックテレコムの書誌ページ、2026年9月27日確認)。当サイトは、出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(MCPC の2級ページの図で15%)に当たると推定しています。
| 階層の目安 | テーマ | 主なプロトコル(RFC) |
|---|---|---|
| ネットワーク層 | アドレスと経路 | IPv4(RFC 791)・IPv6(RFC 8200) |
| トランスポート層 | データの運び方 | TCP(RFC 9293)・UDP(RFC 768)・QUIC(RFC 9000) |
| アプリケーション層 | 名前の解決 | DNS(RFC 1034・1035) |
| アプリケーション層 | Web の通信 | HTTP/2(RFC 9113)・HTTP/3(RFC 9114) |
| セキュリティ | 通信路の暗号化 | TLS 1.3(RFC 8446) |
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第5章を読むときの考え方のコツ
第5章は、階層ごとに「その層が何に責任を持つか」 を言えるようにすることが近道です。IP は「どの宛先へ届けるか」、TCP や QUIC は「欠けずに順番どおり届けるか」、DNS は「名前から宛先を調べる」、HTTP は「何を要求し、何を返すか」、TLS は「途中で盗み見や改ざんをされないか」に責任を持ちます。選択肢の説明がどの層の責任の話かを考えれば、多くの誤りの選択肢は切れます。
モバイルならではの視点も持っておきます。スマートフォンは移動しながら Wi-Fi と携帯電話網を行き来するため、IP アドレスが変わることがあります。QUIC は接続を IP アドレスとポートの組ではなく接続 ID で識別する仕組みを持つので、ネットワークが切り替わっても通信を続けやすい設計です。また、携帯電話網では IPv6 の利用が広がっており、IPv4 のアドレス不足は事業者の NAT などで補われています。
HTTP の世代の違いは、何の上で動くか で整理すると混乱しません。HTTP/1.1 と HTTP/2 は TCP の上、HTTP/3 は UDP の上の QUIC の上で動きます。HTTP/2 は1本の TCP 接続を多重化しますが、TCP の1か所の欠落が全体を待たせる弱点がありました。HTTP/3 はストリームごとに再送と順序制御を行うことで、その影響を小さくしています。
押さえる用語と対比
| 対比 | A | B |
|---|---|---|
| アドレス | IPv4:32ビット。不足をプライベートアドレスと NAT で補う | IPv6:128ビット。ヘッダは40バイト固定、チェックサムなし |
| 運び方 | TCP:接続してから送り、再送と順序制御を行う | UDP:接続せずにすぐ送る。再送はしない |
| 新しい運び方 | HTTP/2:TCP の上で1本の接続を多重化 | HTTP/3:UDP の上の QUIC で動き、ストリームごとに再送 |
| 名前の解決 | スタブリゾルバ:端末側で問合せを出す | フルサービスリゾルバ:権威サーバを順にたどって答えを得る |
| IPv6 への移行 | デュアルスタック:両方を同時に動かす | トンネル・変換:一方の網をもう一方で運ぶ・変換する |
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詳しくは IPv4とIPv6の違い、TCPとUDPの違い、DNSとは、HTTP/2とHTTP/3の違い、TLSとは で解説しています。
間違えやすい点
| 誤解しやすい言い方 | 正しい整理 |
|---|---|
| IPv6 のアドレスは64ビット | IPv6 のアドレスは128ビット。64ビットはよく使われるインタフェース ID の長さ |
| IPv6 でも途中のルータが断片化する | IPv6 の断片化は送信元だけが行う |
| QUIC は TCP の改良版で TCP の上で動く | QUIC は UDP の上で動き、再送や暗号化を自身で行う |
| UDP は信頼性がないので使われない | DNS の問合せや QUIC、音声・動画など、速さを優先する用途で広く使われる |
| TLS を使えば通信先の正しさは確かめなくてよい | TLS は証明書で通信先を確かめる仕組みを含む。証明書の検証が前提 |
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具体例:スマホで https の URL を開くまで
階層ごとの責任は、1回の Web アクセスに並べると確かめやすくなります。HTTP/3 に対応したサイトを開く場合、おおまかに次の順で進みます。
- DNS:ドメイン名から IP アドレス(IPv6 なら AAAA レコード)を調べる
- QUIC:UDP の上で接続を作り、同時に TLS 1.3 の鍵交換を行う
- TLS:サーバの証明書を検証し、通信先が正しいことを確かめる
- HTTP/3:ストリームごとにページや画像を要求し、受け取る
HTTP/2 の場合は、手順2が「TCP の3ウェイハンドシェイク → TLS のハンドシェイク」の2段階になります。QUIC はこの2つをまとめるため、接続の開始までの往復が少なくて済むのが利点です。どの手順がどのプロトコルの仕事かを言えるようにしておくと、「DNS が暗号化する」のような責任の取り違えの選択肢に気づけます。
学習の順番と時間の目安
次の時間は 当サイトの目安 で、公式の推奨ではありません。すでにネットワークの基礎を学んだ人は、表の再現から始めて短縮できます。
- 階層(ネットワーク・トランスポート・アプリケーション)ごとにプロトコルを並べる:30分
- IPv4 と IPv6 の違いを、アドレス長・ヘッダ・断片化の3点で説明する:45分
- TCP・UDP・QUIC の違いと、HTTP/2 と HTTP/3 の関係を整理する:60分
- DNS の名前解決の流れと TLS の役割を確認する:45分
- 確認問題と モバイル2級 無料お試し20問 で仕上げる:30分
合計でおよそ3〜4時間が当サイトの目安です。RFC 番号は暗記の対象というより、正しい説明を探すときの手がかりとして使ってください。
確認問題1:IPv6
(当サイトの独自問題)IPv6 の説明として、最も適切なものはどれか。
- アドレスは32ビットで、ヘッダの長さは可変である
- アドレスは128ビットで、基本ヘッダは40バイトである
- アドレスは64ビットで、ヘッダにチェックサムを持つ
- アドレスは128ビットで、途中のルータが断片化する
正解:2。IPv6 のアドレスは128ビット、基本ヘッダは40バイトの固定長です。
1:32ビットは IPv4 です。3:アドレスは128ビットで、ヘッダチェックサムはありません。4:IPv6 の断片化は送信元だけが行います。
確認問題2:トランスポート層
(当サイトの独自問題)HTTP/3 が使うトランスポートの説明として、最も適切なものはどれか。
- TCP の上で TLS 1.2 を使って暗号化する
- UDP の上の QUIC を使い、TLS 1.3 を組み込む
- SCTP を使い、複数の経路を同時に利用する
- TCP の上で1本の接続を多重化して使う
正解:2。HTTP/3(RFC 9114)は QUIC(RFC 9000)の上で動き、QUIC は UDP を使い TLS 1.3 を組み込みます。
1:HTTP/3 は TCP を使いません。3:SCTP は HTTP/3 の土台ではありません。4:TCP 上の多重化は HTTP/2 の説明です。
確認問題3:DNS
(当サイトの独自問題)DNS の役割として、最も適切なものはどれか。
- ドメイン名などから IP アドレスを調べて答える
- 通信路を暗号化して盗聴や改ざんを防いでいる
- 端末に IP アドレスを自動的に割り当てている
- パケットの再送と順序の制御を行って届けている
正解:1。DNS は名前と IP アドレスなどの対応を調べる仕組みです。
2:暗号化は TLS の役割です。3:アドレスの自動割当ては DHCP などの役割です。4:再送と順序制御は TCP や QUIC の役割です。
よくある質問
NAT はなぜ必要なのですか?
IPv4 のアドレスは32ビットで数に限りがあるため、家庭や事業者の網の中ではプライベートアドレスを使い、外へ出るときに NAT でグローバルアドレスに変換して、少ないアドレスを多くの端末で共有します。IPv6 は128ビットの広いアドレス空間を持つため、この工夫に頼らずに済むのが大きな違いです。
基本情報技術者試験のネットワーク分野と同じですか?
重なる部分は多いと当サイトは考えています。ただしモバイル2級はモバイル網とのつながり(IPv6 やモバイルでの HTTP/3 など)も意識して学ぶのがおすすめです。
RFC 番号は覚える必要がありますか?
出題形式の詳細は公表されていません。当サイトでは、まず各プロトコルの役割と特徴を優先し、RFC 番号は補助的に確認することをおすすめしています。
第5章は第11章(情報セキュリティ)とどう関係しますか?
TLS や DNS はセキュリティの話にもつながります。第5章で仕組みを押さえておくと、第11章の脅威と対策が理解しやすくなります。
出典・参考
- [1]リックテレコム モバイルシステム技術テキスト 第11版(目次、2026年9月27日確認)
- [2]MCPC モバイルシステム技術検定[2級](出題カテゴリと比率、2026年9月27日確認)
- [3]RFC 8200 Internet Protocol, Version 6 (IPv6) Specification
- [4]RFC 9293 Transmission Control Protocol (TCP)
- [5]RFC 9000 QUIC: A UDP-Based Multiplexed and Secure Transport
- [6]RFC 9114 HTTP/3
- [7]RFC 1034 Domain Names - Concepts and Facilities
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