モバイル2級の用語モバイル2級

MIMOとビームフォーミングとは|2級の要点

MIMOとビームフォーミングの違いを、空間多重・ダイバーシチ・Massive MIMOの3つの軸で整理。取り違えやすい点の表と独自の確認問題3問で、モバイル2級の4択で迷わない判断手順が身に付きます。

最終更新
公開
読了目安
約11分
執筆
ICT模試 編集部

この記事の要点

  • MIMO は送信側と受信側の両方で複数のアンテナを使う技術。何に使うかで空間多重(速度)とダイバーシチ(安定)に分かれます。
  • ビームフォーミングは、複数アンテナの位相と振幅をそろえて、特定の方向に電波を強める技術です。MIMO と対立する技術ではなく、多数のアンテナを使う点で重なります。
  • Massive MIMO は非常に多くのアンテナ素子で鋭いビームを作り、複数の利用者に同時に送る使い方。5G、特に減衰の大きい高い周波数帯で重要になります。
  • モバイル2級では出題カテゴリ「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります。記事の最後に独自の確認問題3問を置きました。

MIMOとビームフォーミングとは?一言でいうと何をする技術?

MIMO(Multiple Input Multiple Output)は「送信側と受信側の両方に複数のアンテナを置き、複数の電波の通り道を同時に使う技術」です。ビームフォーミングは「複数のアンテナから出す電波の位相と強さを調整し、狙った方向に電波を集める技術」です。

MIMO の規模は「送信アンテナ数×受信アンテナ数」で表し、たとえば 4×4 MIMO は送信4本・受信4本の構成を指します。同時に送れる独立したデータの流れ(レイヤ、ストリーム)の数は、送信と受信のうち少ない方のアンテナ数が上限です。4×2 なら同時に送れるのは最大2レイヤです。

MIMOとビームフォーミングの違い(当サイトの整理)
観点MIMO(空間多重)ビームフォーミング
ねらい同じ周波数・同じ時間で別々のデータを並べて送り、速度を上げる特定の方向に電波を集め、届く距離や受信品質を上げる
アンテナの使い方送受信の両方で複数アンテナを使い、複数の通り道を分けて使う送信側の複数アンテナの位相と振幅を調整して向きを作る
効果が出やすい場面反射が多く、通り道が互いに似ていない環境相手の方向が分かり、距離や減衰が課題になる環境
増えるもの同時に送れるデータの流れ(レイヤ数)狙った方向の受信電力

← 表は横にスクロールできます →

2つは排他的ではありません。5G の基地局は、多数のアンテナでビームを作りながら、同時に複数のレイヤや複数の利用者に送ります。試験では「目的が速度か、届きやすさか」で見分けると整理しやすくなります。

空間多重とダイバーシチは何が違う?

複数アンテナの使い方は大きく2つです。空間多重は、アンテナごとに別々のデータを同じ周波数・同じ時間に送り、受信側で信号処理によって分離します。周波数を増やさずに速度を上げられるのが利点ですが、それぞれの電波の通り道がよく似ていると分離できません。見通しがよく反射の少ない環境より、ビルなどで反射が多い環境のほうが、かえって効果が出やすい技術です。

ダイバーシチは、複数のアンテナで同じデータを送ったり受けたりし、フェージング(電波の強さの揺れ)で一方が弱くなっても、もう一方で補う使い方です。速度より通信の安定を優先します。受信側に複数アンテナを置く受信ダイバーシチは、MIMO という言葉が広まる前から使われてきた考え方です。

もう一つの分け方が SU-MIMO と MU-MIMO です。SU-MIMO(シングルユーザー)は複数のレイヤを1台の端末に送り、MU-MIMO(マルチユーザー)は同じ周波数・時間で複数の端末に別々のデータを送ります。Wi-Fi 6 でも MU-MIMO と送信ビームフォーミングが特長として挙げられています(Wi-Fi Alliance、確認 2026-09-27)。

複数アンテナの使い方の比較
使い方送るデータ主な効果弱点・条件
空間多重アンテナごとに別のデータ速度(容量)が上がる通り道が似ていると分離できない
ダイバーシチ同じデータを複数の経路でフェージングに強くなる速度は上がらない
ビームフォーミング同じ信号の位相・振幅を調整狙った方向の電波が強くなる相手の方向や伝搬の把握が要る
MU-MIMO複数の端末に別々のデータセル全体の容量が上がる端末どうしが空間的に分かれている必要

← 表は横にスクロールできます →

Massive MIMOとは?ビームはどう相手に向けるのか

Massive MIMO は、基地局に非常に多くのアンテナ素子を並べ、鋭いビームを多数作って、複数の利用者に同時に送る使い方です。アンテナ素子が多いほどビームを細く絞れるので、狙った端末には強い電波を、ほかの方向には弱い電波を送れます。結果として、同じ周波数で同時に多くの端末をさばける(MU-MIMO)ようになります。

高い周波数ほど電波は減衰しやすく、遠くへ届きにくくなります。日本では 2019年4月10日に、総務省が 3.7GHz 帯・4.5GHz 帯・28GHz 帯を使う 5G の開設計画を認定しました(総務省報道資料、確認 2026-09-27)。28GHz 帯のようなミリ波では、ビームフォーミングで電波を集めて距離を補うことが特に重要になります。

ビームの向け方は、ざっくり次の流れで考えると理解しやすくなります。5G NR では、基地局が同期用の信号を方向を変えながら順に送り(ビームスイープ)、端末がどのビームをよく受信できたかを返すことで、使うビームを決めて追従させます(3GPP TS 38.300 の NR 全体記述、確認 2026-09-27)。

  1. 基地局が、同期や報知の信号を複数の方向のビームで順番に送る
  2. 端末が、受信品質のよいビームを測って報告する
  3. 基地局が、そのビームを使ってデータを送る
  4. 端末の移動や遮へいに合わせて、ビームを切り替え・調整し続ける

ビームが細いほど、人や車が間に入っただけで受信品質が落ちやすくなります。「ビームを細くすれば必ず安定する」という言い方は正しくありません。

モバイル2級ではどこで、どう問われる?

モバイル2級の出題カテゴリでは「ワイヤレス通信の原理とネットワーク技術」(15%)に当たります(MCPC 公式ページの図で確認、2026年9月時点)。100問なら約15問の枠です。

公式テキスト『モバイルシステム技術テキスト 第11版』の章立てでは、第3章「無線アクセスネットワーク技術」の範囲と当サイトは見ています。章とカテゴリの対応は当サイトの推定です。出題の頻度や配点は公表されていないので、以下は4択で問われうる観点を当サイトが整理したものです。

  • 空間多重とダイバーシチを、目的(速度か安定か)で区別できるか
  • 送受信アンテナ数と、同時に送れるレイヤ数の関係
  • SU-MIMO と MU-MIMO の違い(1台に複数レイヤか、複数台に同時か)
  • ビームフォーミングの目的と、ミリ波で重要になる理由
  • Massive MIMO が 5G でセルの容量を上げる仕組み

どこで取り違えやすい?つまずき別の整理

選択肢で迷ったときに見直す点を、つまずき別にまとめました。

よくある取り違え正しい整理見分けるポイント
MIMOは周波数を束ねて速くする技術MIMOは空間(アンテナ)を増やす。周波数を束ねるのはキャリアアグリゲーション増やしている軸が空間か周波数か
ダイバーシチは速度を上げる技術ダイバーシチは同じデータで安定させる技術。速度は空間多重送るデータが同じか別か
見通しのよい環境ほど空間多重が効く通り道が似ていると分離できず、反射の多い環境のほうが効きやすい「通り道の違い」を利用している
4×2 MIMOなら4レイヤ送れるレイヤ数の上限は送受信の少ない方のアンテナ数(この例では2)小さい方の数で止まる
ビームフォーミングは受信側だけの技術送信側の位相・振幅を調整して向きを作るのが基本「向きを作る」のは送る側
ビームを細くすれば必ず安定する細いビームは遮へいに弱く、切り替えや追従が要る「必ず」の言い切りを疑う

← 表は横にスクロールできます →

確認問題1:空間多重を正しく説明しているのは?

(当サイトの独自問題)MIMO の空間多重の説明として、最も適切なものはどれか。

  1. 複数のアンテナで同じデータを送り、どれか1つが弱くなっても受信を続けられるようにする
  2. 複数のアンテナから別々のデータを同じ周波数・時間に送り、受信側で分離して速度を上げる
  3. 複数の周波数帯の搬送波をまとめて1台の端末に割り当て、使える帯域幅を広げて速度を上げる
  4. 複数のアンテナの位相をそろえて特定の方向に電波を集め、遠くの端末まで届きやすくする

正解:2。空間多重は、アンテナごとに別のデータを同じ周波数・同じ時間に送り、受信側の信号処理で分離して速度を上げます。

1:同じデータを複数の経路で送って安定させるのはダイバーシチです。3:周波数帯をまとめるのはキャリアアグリゲーションで、増やしている軸が違います。4:特定の方向に電波を集めるのはビームフォーミングの説明です。

確認問題2:送受信アンテナ数とレイヤ数の関係は?

(当サイトの独自問題)基地局の送信アンテナが8本、端末の受信アンテナが2本のとき、この組合せで1台の端末に同時に送れる独立したデータの流れ(レイヤ)の数の上限として、最も適切なものはどれか。

  1. 送信と受信のアンテナ数を掛け合わせた16レイヤが上限になる
  2. 送信と受信のアンテナ数を足し合わせた10レイヤが上限になる
  3. 送信側のアンテナ数で決まり、8レイヤが上限になる
  4. 送信と受信のうち少ない方で決まり、2レイヤが上限になる

正解:4。空間多重で同時に送れるレイヤ数は、送信と受信のうち少ない方のアンテナ数を超えられません。受信アンテナが2本なら、分離できるデータの流れは最大2つです。

1・2:アンテナ数を掛けたり足したりしてもレイヤ数にはなりません。8×2 は構成の表し方です。3:送信側が8本あっても、受信側が2本では2つより多い流れを分離できません。余った送信アンテナはビームフォーミングなどに使えます。

確認問題3:ミリ波でビームフォーミングが重要な理由は?

(当サイトの独自問題)5G で 28GHz 帯のようなミリ波を使う場合に、ビームフォーミングが特に重要とされる理由として、最も適切なものはどれか。

  1. 高い周波数は減衰しやすいため、電波を狙った方向に集めて届く距離を補う必要があるため
  2. 高い周波数は回り込みやすいため、電波を広い範囲に均一に広げて干渉を減らす必要があるため
  3. 高い周波数はアンテナを大きくする必要があるため、素子の数を減らして装置を小さくするため
  4. 高い周波数は空間多重が使えないため、代わりに同じデータを繰り返し送って補う必要があるため

正解:1。ミリ波は減衰が大きく届きにくいため、多数のアンテナ素子でビームを作り、電波を集めて補います。

2:高い周波数ほど回り込みにくく、広く均一に広げる発想とは逆です。3:周波数が高いほど波長が短く、1つの素子は小さくできるため、同じ大きさにより多くの素子を並べやすくなります。4:ミリ波でも空間多重は使えます。「使えない」とする前提が誤りです。

読んだあと、次に何をすればいい?

「速度・安定・向き」の3つの目的で説明できるようになったら、似た選択肢が並ぶ4択で確かめます。モバイル2級の無料お試し20問は登録不要で、公式カテゴリの比率に合わせた問題と全問の解説を確認できます。

周波数の軸で速度を上げるキャリアアグリゲーション、サブキャリアで利用者を分けるOFDMAとSC-FDMAの違いと並べると、「空間・周波数・利用者の分け方」の3軸で無線技術を整理できます。Wi-Fi 側の MU-MIMO はWi-Fi 6とWi-Fi 7の違い、試験全体はモバイル2級の試験概要へ。

よくある質問

MIMOとビームフォーミングは、どちらが新しい技術ですか?

新旧で分けるより、目的で分けて覚えるほうが試験では役立ちます。空間多重は速度、ダイバーシチは安定、ビームフォーミングは電波の向き、と整理してください。5G の Massive MIMO は、多数のアンテナでこれらを組み合わせて使います。

「4×4 MIMO」の数字はどちらが送信側ですか?

一般に「送信アンテナ数×受信アンテナ数」の順で書きます。ただし資料によって表し方が異なる場合もあるので、問題文の定義を先に確認してください。レイヤ数の上限が少ない方の数で決まる点は、順番に関係なく同じです。

Massive MIMOのアンテナ数に決まった基準はありますか?

「何本以上なら Massive」という一律の線は、この記事では確認できた一次資料がないため示していません。数値を覚えるより、多数の素子で鋭いビームを作り、複数の利用者に同時に送る、という仕組みを説明できるようにしておきましょう。

出典・参考

  1. [1]MCPC モバイルシステム技術検定 2級(出題カテゴリの図、確認 2026-09-27)
  2. [2]3GPP TS 38.300 NR and NG-RAN Overall description(Release 15〜、確認 2026-09-27)
  3. [3]3GPP TS 38.211 NR Physical channels and modulation(確認 2026-09-27)
  4. [4]Wi-Fi Alliance: Wi-Fi CERTIFIED 6(MU-MIMO・送信ビームフォーミング、確認 2026-09-27)
  5. [5]総務省 第5世代移動通信システムの導入のための特定基地局の開設計画の認定(2019年4月10日、確認 2026-09-27)

本番と同じペースで腕試し

記事の次は、本番形式の問題で。

公式の出題カテゴリの比率どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。

モバイルシステム技術検定 2級

100問・100分の模試と章別ドリル・¥4,980(税込・買い切り)

モバイル2級の無料お試し20問
料金と収録内容を見る →

当サイトは、モバイルコンピューティング推進コンソーシアム(MCPC)とは関係のない個人が運営する非公式の学習教材です。掲載している問題はすべて当サイトのオリジナルで、実際の試験問題・過去問題・再現問題ではありません。試験の日程・受検料・出題範囲は公式サイト(https://www.mcpc-jp.org/license/ )で必ず確認してください。合格を保証するものではありません。合格の目安は当サイトの推定です。技術・制度の記述は「最終確認日」時点のものです。

← 対策記事の一覧へ