この記事の要点
- Arduino UNO は OS を持たないマイコンボード、Raspberry Pi 5 は Linux(Raspberry Pi OS)が動くシングルボードコンピュータ(SBC)。決まったタイミングでの入出力はマイコン、画像処理やネットワークの処理はSBCが得意。
- Arduino UNO R3 はアナログ入力6本(10ビット)を持ち、5Vで動く。Raspberry Pi の40ピンの端子は3.3Vで、公式の機能一覧にアナログ入力はない(2026年9月時点)。
- センサとの接続は、GPIO(1本ずつのオン・オフ)、I2C(データとクロックの2本、アドレスで複数台)、SPI(クロック・送信・受信・選択の線、高速)、UART(送信と受信、クロックなし)を使い分ける。
- 「Raspberry Pi」の名前でも、Raspberry Pi Pico はマイコンボードなので区別が必要。
- IoT中級では「IoTシステムのプロトタイピング技術」(5〜15%、2026年9月27日確認)に当たる。
マイコンとシングルボードコンピュータとは?一言でいうと
マイコン(マイクロコントローラ)は、CPU・メモリ・入出力の回路を1つのチップにまとめた小さなコンピュータで、OSなしで1つのプログラムを動かし続けます。シングルボードコンピュータ(SBC)は、パソコンとしての機能を1枚の基板にまとめたもので、LinuxなどのOSの上で複数のプログラムを動かします。
Arduino UNO はマイコンボードの代表で、UNO R3 は ATmega328P(16MHz)、フラッシュメモリ32KB、SRAM 2KB を載せています。後継の UNO R4 Minima は Arm Cortex-M4 の Renesas RA4M1(48MHz)で、SRAM 32KB、フラッシュ256KB です(Arduino公式、2026年9月時点)。
Raspberry Pi 5 はSBCの代表で、4コアの Arm Cortex-A76(2.4GHz)を載せ、メモリは1GB〜16GB、OSは Raspberry Pi OS が動きます。一方、同じブランドの Raspberry Pi Pico は RP2040(2コアの Cortex-M0+、最大133MHz、SRAM 264KB)を載せたマイコンボードで、C言語や MicroPython で動かします(Raspberry Pi公式、2026年9月時点)。
ArduinoとRaspberry Piは何が違う?比較表で見る
| 項目 | Arduino UNO R3(マイコンボード) | Raspberry Pi 5(SBC) |
|---|---|---|
| OS | なし。書き込んだプログラムだけが動く | Raspberry Pi OS(Linux) |
| 処理の能力 | ATmega328P、16MHz、SRAM 2KB | 4コア Cortex-A76、2.4GHz、メモリ1〜16GB |
| 入出力の電圧 | 5V | 3.3V(入力も3.3Vまで。5Vの信号を直接入れない) |
| アナログ入力 | 6本(10ビット、0〜5Vを0〜1,023で読む) | 40ピンの端子の機能一覧にない。外付けのA/D変換ICを使う |
| タイミング | 決まった周期の入出力を組みやすい | OSが複数の処理を切り替えるため、処理の時刻が揺れることがある |
| 起動と電源 | 電源を入れればすぐ動く | OSの起動を待つ。終了の手順を踏んでから電源を切る |
| 向く役割 | センサの読み取り、モータの制御、低消費電力の端末 | カメラ画像の処理、データの蓄積、クラウドへの送信、ゲートウェイ |
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試作では、両方を組み合わせることもよくあります。決まった周期でセンサを読みモータを動かす部分をマイコンに任せ、集めたデータの処理や送信をSBCに任せる分担です。この「現場の機器とクラウドの間に立つ」役割はIoTゲートウェイとはで解説しています。
アナログ入力の読み取り(ビット数と1段の幅)はA/D変換とサンプリング定理、モータの動かし方はアクチュエータとはへ。
GPIO・I2C・SPI・UARTはどう使い分ける?
センサや周辺の部品とつなぐ方法は、次の4つを押さえておけば試作のほとんどの場面を説明できます。Raspberry Pi の公式ドキュメントでは、40ピンの端子にI2C(データ GPIO2・クロック GPIO3)、SPI(MOSI・MISO・SCLK・CE)、シリアル(TX GPIO14・RX GPIO15)の機能が割り当てられています(2026年9月27日確認)。
| 方式 | 使う信号線 | 特徴 | つなぐものの例 |
|---|---|---|---|
| GPIO | 1本ずつ | オン・オフの入出力。PWMで明るさや速さを調整できる | スイッチ、LED、リレー、モータドライバ |
| I2C | データ(SDA)とクロック(SCL)の2本 | 機器ごとのアドレスで、同じ2本に複数台をつなげる | 温湿度センサ、気圧センサ、加速度センサ |
| SPI | クロック・送信(MOSI)・受信(MISO)・選択(CS/CE) | 送受信を同時に行え、速い。機器ごとに選択の線を分ける | 外付けA/D変換IC、表示パネル、メモリ |
| UART | 送信(TX)と受信(RX) | クロックの線がなく、通信速度を両側で合わせる。基本は1対1 | GNSSモジュール、通信モジュール、パソコンとの接続 |
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たとえば Sensirion の温湿度センサ SHT40 は I2C で値を出力します(2026年9月27日確認)。Raspberry Pi でアナログ出力のセンサを読みたいときは、SPI や I2C でつなぐ A/D 変換 IC を使うのが定番の構成です。
Raspberry Pi の公式ドキュメントは、3.3Vの部品に5Vを使わないこと、モータを端子に直接つながないことを注意しています。5Vで動くセンサの信号をつなぐときは、電圧を変換する回路を入れます。
IoT中級ではどこで問われる?
IoTシステム技術検定 中級の公式ページに示された出題カテゴリのうち、「IoTシステムのプロトタイピング技術」5〜15% に当たります(2026年9月27日確認)。80問に換算すると4〜12問のカテゴリで、その中でボードの違いが何問出るかは公表されていません。
公式テキスト『IoT技術テキスト 第4版』では、第6章「IoTシステムのプロトタイピング開発」に当たる範囲です。章とカテゴリの対応は当サイトの推定で、使っているのは目次の章名だけです。センサの接続の話は「センサ/アクチュエータ技術と通信方式」とも重なります。
4択の形としては、当サイトの作問の観点で次のようなものが考えられます(出題の傾向や頻度を示すものではありません)。
- マイコンとSBCの違いについて適切な記述を選ぶ
- 用途に合うボードや役割分担を選ぶ
- I2C・SPI・UARTの信号線や特徴の組合せを選ぶ
- 試作の配線や電圧についての誤りを見つける
試作全体の進め方はIoTプロトタイピングの進め方、試験の形式はIoTシステム技術検定 中級とはへ。合格基準は公式に非公開です。
取り違えやすい点は?
| つまずき | 正しい整理 | 見分け方 |
|---|---|---|
| Raspberry Piの製品はすべてLinuxが動くと思う | Raspberry Pi Pico はOSを持たないマイコンボード | 製品名に「Pico」があるか |
| Arduino UNOでもLinuxが動くと思う | UNOはOSなしで1つのプログラムを動かす | 「OS」「マルチタスク」の記述 |
| Raspberry Piでアナログ電圧をそのまま読めると思う | 40ピンの端子の機能一覧にアナログ入力はなく、外付けのA/D変換ICを使う | 「アナログ入力」の有無 |
| 5Vのセンサ信号をRaspberry Piに直接つなげると思う | 端子は3.3V。5Vの信号は電圧の変換が必要 | 電圧の数字 |
| I2CとSPIの信号線の数を逆に覚える | I2Cはデータとクロックの2本、SPIは選択線を含めて4本以上 | 「アドレス」ならI2C、「選択線」ならSPI |
| UARTにもクロックの線があると思う | UARTは非同期で、通信速度を両側で合わせる | 「非同期」「ボーレート」の記述 |
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確認問題1:ボードの比較で正しいものは?
Arduino UNO R3 と Raspberry Pi 5 の比較として、最も適切なものはどれか。
- Arduino UNO R3 はLinuxが動き、Raspberry Pi 5 はOSなしで動く
- Raspberry Pi 5 の端子は5Vの入力に対応し、センサをそのままつなげる
- Arduino UNO R3 はアナログ入力を持ち、Raspberry Pi 5 の端子にはない
- Raspberry Pi 5 は動作中でも、終了の手順なしに電源を切ることが推奨される
正解:3。UNO R3 はアナログ入力を6本持ちます。Raspberry Pi の40ピンの端子の機能一覧にはアナログ入力がなく、外付けのA/D変換ICを使います。
1 は説明が逆で、Linuxが動くのはRaspberry Pi 5、OSなしで動くのがUNOです。2 は端子が3.3Vなので誤りです。4 はOSが動いているため、終了の手順を踏んでから電源を切るのが基本です。
確認問題2:2本の線で複数台をつなぐ方式は?
データとクロックの2本の信号線を共有し、機器ごとのアドレスで相手を区別して、1つのマイコンに複数のセンサをつなげる方式はどれか。
- I2C
- SPI
- UART
- PWM
正解:1。I2Cはデータ(SDA)とクロック(SCL)の2本で、アドレスを使って複数の機器とやり取りします。
2 のSPIは送信・受信・クロックに加えて機器ごとの選択線を使う方式です。3 のUARTはクロックの線がなく、基本は1対1の通信です。4 のPWMは通信方式ではなく、オンとオフの時間の割合で出力を調整する方法です。
確認問題3:試作の構成で誤りはどれ?
マイコンボードとSBCを使ったIoTの試作の構成として、最も適切でないものはどれか。
- 決まった周期でセンサを読み、モータを動かす部分はマイコンに任せる
- カメラ画像の処理やクラウドへの送信は、Linuxが動くボードに任せる
- アナログのセンサを読むため、Raspberry PiにA/D変換ICを外付けする
- 5Vで動くセンサの出力を、Raspberry Piの端子に直接つないで読み取る
正解:4。Raspberry Pi の端子は3.3Vで、5Vの信号を直接入れると壊れるおそれがあります。電圧を変換する回路を入れる必要があります。
1 と 2 は、マイコンとSBCの得意分野に合わせた適切な分担です。3 はアナログ入力を持たない Raspberry Pi でアナログのセンサを読むための適切な構成です。
確認問題のあとは何をすればいい?
迷った問題は「OSがあるか」「端子の電圧は何Vか」「アナログを直接読めるか」の3点で見直してください。ボードの選び方の問題は、ほとんどがこの3点で判断できます。
他のカテゴリと混ぜて本番と同じ4択で確かめるなら、登録不要のIoT中級の無料お試し20問で全問の解説まで確認できます。
よくある質問
IoTの試作はArduinoとRaspberry Piのどちらから始めるべきですか?
何を確かめたいかで決めます。センサの値を読んでモータを動かすなど入出力が中心ならマイコンボード、カメラ画像の処理やネットワーク越しのデータの送受信が中心ならSBCが向きます。両方を組み合わせる構成もよく使われます。
試作で使ったボードをそのまま製品にできますか?
できる場合もありますが、量産では電源・筐体・電波の認証・セキュリティ・長期の供給などを見直す必要があります。試作と量産の違いは、IoTプロトタイピングの進め方の記事で整理しています。
IoT中級でArduinoやRaspberry Piの製品名は出ますか?
公式に示されているのはカテゴリ単位の比率だけで(「IoTシステムのプロトタイピング技術」5〜15%、2026年9月27日確認)、特定の製品名が出るかどうかや問題数は公表されていません。製品名より、マイコンとSBCの違いや接続方式の特徴で理解しておくのが確実です。
出典・参考
- [1]MCPC IoTシステム技術検定 中級(出題カテゴリと比率、2026年9月27日確認)
- [2]Arduino Documentation UNO R3(2026年9月27日確認)
- [3]Arduino Documentation UNO R4 Minima(2026年9月27日確認)
- [4]Arduino Documentation analogRead()(2026年9月27日確認)
- [5]Raspberry Pi 5 製品ページ(2026年9月27日確認)
- [6]Raspberry Pi Pico 製品ページ(2026年9月27日確認)
- [7]Raspberry Pi Documentation GPIO and the 40-pin header(2026年9月27日確認)
- [8]Sensirion SHT40(2026年9月27日確認)
本番と同じペースで腕試し
記事の次は、本番形式の問題で。
公式の出題カテゴリの比率どおりに組んだ無料お試しを、登録不要・カード不要で解けます。続きの模試と章別ドリルは買い切りで、月額はかかりません。
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